舞台「業音」を観てきました。
ストーリーは、
限りなく深い人間の”業”が奏でる物語。
母の介護をネタに、演歌歌手として斉木を目指す落ちぶれた元アイドルの土屋みどりは、借金を返す為に、マネージャー・末井明と共に地震が運転する車で目的地に向かっていた。途中、自殺願望を持つ夫・堂本こういちと、夫をこの世につなぎ止める聡明な妻・杏子と遭遇し、不注意から杏子を車えはねてしまう。怒り狂った胴元は責任を迫って、みどりを拉致連行し、”有罪婚”と称し、二人は結婚。奇妙な共同生活が始まる。
芸能界を夢見て東京に出て来たものの、結局身体を売る事でしか生きていく事の出来ない堕落した兄妹・克夫とぽんた。年を偽ってまでも孤児院に入る事に執着する屈折したゲイ・丈太郎。正体不明の老婆・財前らを。不幸のループに巻き込み、負の連鎖は更に奇怪にうねってゆく。
やがて、末井とも関係を持つみどりは、父親がわからない子を身ごもり出産するのだが、堂本との時間に執着し、子供の命を引き換えにしてまでも「10か月の夫婦生活の下を取るため」と、堂本とのわずかなふれあいを選択するのだった。
”それ”をやらなければ物事は上手く運ぶのに、どうしてもやらずには先に進めない各自の”固執”。その”固執”が”業”を海、空回りするそれぞれのエネルギーは不協和音のような音楽を響かせてゆく・・・。
というお話です。
人間の”業”に抗う事が出来ない人々を描いていて、とってもドロドロしているんです。大人計画なので、とっても面白いし、笑っちゃうんですけど、真剣に考えると、超コワい話で、後からゾッとしてしまいました。
だって、交通事故を起こして、その罪の償いに監禁されたり、何で事故を起こしたかって言うとメールしてたり、何でメールに依存しているかっていうと、借金で首が回らなくなり一般人を引っかけてお金を借りようとして知り合った人と親密になってメール依存になったり、何で借金が膨らんだかっていうと、パチンコなどのギャンブルにハマってたり、それ以外にも演歌で売り出したいからCDを作るって言ってお金を取られたりと、何だか、もう、はぁ~???っていうくらい、メチャなんです。私も、書いていて、良く解らなくなってきちゃった。(笑)
誰もが、抗えない”業”って持っていると思うんです。でも、何処かで自分に厳しくして断ち切らない限り、何も変わらないんですよね。自分の事だから、どうしても、何か理由を付けて先延ばしにしようとしたり、人のせいにして騒いだりしちゃって、人間って、本当にダメダメです。それでも、何とかして幸せになりたいともがくんですよね。そんな人間の姿を、この舞台で描いていて、何とも言えない気持ちになりました。
幸せになりたくても、何処までもこじれちゃって、どんどん泥沼にハマって行くような様子が、生々しくて凄かったです。平岩紙さんが、元アイドルで演歌歌手に転身する役なのですが、すっごくドロドロしている内容なのに、何故か、笑ってしまうところが、この大人計画の上手いところで、辛辣な事を描いていながらも楽しめてしまう、それが、素晴らしいと思いました。
私は、この舞台、お薦めしたいと思います。面白くて、考えさせられました。うん、どこかで断ち切らないと、いつまでも自分は変われないですよね。うんうん、納得してしまいました。もし、チケットが取れるようでしたら、ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
大人計画「業音」 http://otonakeikaku.jp/2017go_on/
業音
Amazon |