「彼女の人生は間違いじゃない」無理に前を向かされても何も見えないですよね。当たり前よ。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「彼女の人生は間違いじゃない」を観てきました。

 

ストーリーは、

仮設住宅で父と2人で暮らすみゆきは市役所に勤務しながら、週末は高速バスで渋谷に向かい、デリヘルのアルバイトをしている。父には東京の英会話教室に通っていると嘘をついている彼女は、月曜になるとまたいつもの市役所勤めの日常へと戻っていく。福島と渋谷、ふたつの都市を行き来する日々の繰り返しから何かを求め続けるみゆき。彼女を取り巻く未来の見えない日々を送る者たちが、もがきながらも光を探し続けるが・・・。

というお話です。

 

 

福島の市役所に勤めているみゆきは、週末のみ高速バスで東京・渋谷へ向かい、デリヘルのアルバイトをしています。父親には英会話教室に通っていると話しています。仮設住宅に父親と二人で住み、母親は震災で亡くなったのですが、遺体は見つかっていません。

 

父親は、農家をしていたのですが、今は福島の土地で農作物を作る事が出来ず、補助金をもらって暮らしています。やる事も無く、パチンコに通う毎日。みゆきは、そんな父親に、パチンコで補助金を食いつぶす気なのかと怒りますが、父親は言い返しません。父親は、毎日のように母親の事を話し、忘れられない様子。

 

 

同じ市役所に通う新田は、広報の仕事をしています。震災で墓を失くした夫婦に墓を探したり、写真を撮りたいという写真家に被災地を案内したりの毎日。震災により家族はバラバラになり、小さな弟と二人で家に暮らしています。ある日、新田が良く行く飲み屋に、東京から来た学生アルバイトの女の子が居て、新田が市役所職員と知ると、卒論の為に被災地の人の声を聴きたいというので、話を聞くと、”被災後はどうして行ったら良いと思うか。”とか、”どんな未来のビジョンを持っているのか。”など、質問を浴びせます。今を必死で生きている新田は、悪酔いをしてしまい、家に帰ります。

 

 

みゆきは、福島での暗い毎日を忘れるように、渋谷で人と出会い、ふれあい、人間が生きているという実感を味わって行きます。一度死んだ町で、一度潰れてしまった生活を取り戻す為、もがいて、求めて、自分を探し、人を探し、彼女の世界に見えてくる物は何なのか。後は、映画を観て下さいね。

 

この映画、良かったです。私たち、震災の被害に遇っていない人間は、被災地の人々に、”可哀想”とか”未来を見て”とか”これからの目標は”とか、何も考えずに言ってしまいますが、自分が被災者で、もがいていたとしたら、今生きるので精いっぱいなんだよ!って言いたくなるかも知れません。考えて見たら申し訳ない事ばかりを言っていたのかも知れない。相手の気持ちを解ってなかったのかなと、この映画をみて、本当にそう思いました。

 

 

だって、何もかも失くしてしまったんですもん。未来は?と聞かれても、そんな簡単には見つかりませんよ。今までの思い出も何もかも無いんですから。家族も減ってしまい、子供の為にとか、お母さんの為にと思っていたことも出来なくなっちゃって、どうしろって言うのよっ!て思うよねぇ。立ち直れないのに立ち上がれって周りから言われて、無理に立ち上がって、必死で仕事をしていれば、未来はどうするんですか?って聞かれて、そんなもん、今、考えられねーよっ!て言いたくなるよねぇ。なんか、本当に悲しくなってきちゃった。なんでそういう気持ちを解ってあげられなかったんだろう。

 

 

週末に渋谷でデリヘルをするみゆきは、別に、お金に困っている訳では無く、そういう風俗が好きな訳では無く、ただ、何をして良いのか分からなくて、人と関わりたいんだけど、どう関わって良いのか分らず、何となく流されて、この仕事を始めたんだと思うんです。そんな仕事だけど、ちゃんとシステムが決まっていて、慣れれば快適だし、沢山の人が溢れている渋谷で泳ぐのは心地好くなっていったのかなと思いました。でも、それは週末だけだから良いというのも、きっと彼女は解っているんです。

 

 

そんな渋谷で心を癒して行く内に、いつまでも苦しんでいる父親の気持ちも理解出来てきて、ちょっとした優しさを最後に見せます。とってもステキなお父さんへの愛なんです。ここも泣かされました。うんうん、お父さん、良かったよねぇ。でもね、どう考えても、それ、捨てられてないからっ!(笑)

 

新田という市役所職員が、一番、今の福島の人の気持ちを表しているのではないかなと思いました。この役、凄く良かったです。職員だから、地域の人の為に、必死で色々な事を考えて、探して、動いているんです。だけど、今出来る事をするだけで精一杯で、それでも頑張っている姿が描かれていて、今、皆さん、こんな風に仕事をしていらっしゃるんだろうなぁと思ったら、また泣きたくなっちゃいました。

 

 

私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。これこそ、本当の、今の被災地の人々の気持ちを表しているんじゃないかと思えるような映画でした。チャラチャラ、TVが被災地に行って、あーだこーだって騒いで、直ぐに撤退してくるのはどーかと思うよ。ずーっとそこで一緒に生活を育むなら良いけど、そうじゃないならかき混ぜるのは辞めて、彼らの気持ちがゆっくり進めるように見守るべきなんじゃないの?と思う今日この頃。ぜひ、この映画、観に行ってみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

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