舞台「黒塚家の娘」を観てきました。
ストーリーは、
若き牧師の小洋手治は、失恋の傷心から失踪同然の旅に出た。ところがいつしか見知らぬ森に足を踏み入れ、突然の深い霧の中で彷徨っている。
ふと気配を感じるとキノコ採りの老婆が現れた。小洋手は老婆に教えられた森の中の洋館で人よの宿を求める事にする。
「一夜が一世。一睡の夢が如し」
謎めいた言葉を残して老婆は姿を消した。
さながら廃屋のような館にたどり着くと、出迎えた若い女性は黒塚華南と名乗り、母親だという”烏鷺”という女性の車椅子を押している。
そしてささやかな夕餉の後、小洋手は計らずも開かずの扉の中を見てしまう。そこへ盲目の先輩牧師、馬浜博士が現れて・・・。
というお話です。
この舞台、面白かったです。「黒塚」というのは、その昔、安達ケ原の鬼婆伝説に出てくる鬼婆を葬った場所を言うらしく、このお話は、その伝説をもとに作られているようでした。
ある牧師が森の中の屋敷で出会った美しい娘は、娘に見えるけど娘じゃなくて、真実を突き詰めていくと、牧師は失恋なんてしてなかったんじゃないかって事を思い出すし、霧が濃くて抜け出せないと思っていた森には、霧など一切かかっていなかったりして、どこからどこまでが真実で、どこからどこまでが虚構だったのか、最後まで行っても、本当の事が判らないんですよ。
でもね、そこが面白いの。黒塚家の彼女たちが、一体どこへ飛び去ったのか、何をしたかったのか、確実な事は解らないけど、彼女らの呪いは消える事が無いんです。沢山の頭蓋骨を積み上げても、彼らの飢えが止む事は無いんです。可哀想でしょ。
伝説では、鬼女は、世話をしていた姫を助けたいが為に、妊婦である自分の実の娘を殺して、その腹から胎児の肝を取り出してしまい、気が狂ってしまうんですが、その鬼女が華南さんなのかな。そして娘が・・・。と思って良いんだと思うけど、ちょっと笑ってしまいました。
それにしても、高橋さん、思ったよりマトモな役で、ちょっと寂しかったな。もっと弾けた事をしてくれるかと思ったんだけど、やっぱり舞台では、ギャグはあんまり入れてくれないかなぁ。まぁ、「シレンとラギ」の時も、嫌らしいオッサン役で、マトモでしたもんね。スミマセン。
風間君は、安定していて上手いよね。趣里さんも若いながら、既にベテランの域だし、渡辺さんは言わずもがなでしたから、本当に満足の出来る舞台でした。これ面白いですよ。
私は、この舞台、超!お薦めしたいと思います。面白くて、目が離せなかったですもん。あ、ちょっと怖いけど、笑える部分も多くて、風間さんと趣里さんのやり取りも、なんかズレたりして笑えるんです。もちろん、渡辺さんは素晴らしく笑わせてくれました。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
黒塚家の娘 http://www.siscompany.com/kurotsuka/gai.htm