「裏切りの街」を観てきました。これ、舞台だったお話を、演出をした三浦監督自らで映画化したものだそうです。
ストーリーは、
同棲相手の彼女から小遣いをもらって怠惰に暮らすフリーターの菅原裕一と、専業主婦として平穏な日々を送る橋本智子。特に目的もなく、なんとなくアクセスした出会い系サイトで偶然出会った2人は、意味のない逢瀬を重ね、やがてそれすらも惰性となっていく。流れに身を任せて生きてきた2人の日常が、ある出来事をきっかけに揺らぎ始めるが……。
というお話です。
フリーターの菅原はバイトを無断欠勤し、家でゴロゴロしています。彼女と同棲していて、ほとんど彼女のヒモであり、バイトを始めても直ぐに辞めてしまうような彼は、ある日、ヒマを持て余し、出会い系サイトにアクセスします。すると、同じ区域に住む女性からのメッセージがあり、それに返信し、会う事になります。
近くの駅で待ち合わせをし、逢ってみると、年上のキレイな女性。歩きながら話をして、ホテルにと思っていた菅原の思いとは別に、彼女は、夫の食事を作らなければならないからと連絡先だけ交換し、帰ってしまいます。何なんだよ!と思いながら、寂しく家に帰る菅原。それからしばらくして、何となく彼女に電話をしてみると、彼女も電話を待っていたと言い、また会う事になります。
それから何度か会い、ホテルで身体の関係もしてしまった二人。菅原は彼女に、主婦は夫に、嘘の言い訳をして、逢っている二人は、罪悪感を募らせていきます。それでも、まだバレていないと思って、それまでと同じように生活をしているのですが、ある時、二人とも、お互いの相手に、その関係を知られてしまうのですが・・・。後は、映画を観て下さいね。
うーん、とっても唸らせられる内容でした。お互いに、ただ暇つぶしのつもりで付き合っていて、自分の生活には、何の影響も無いと思っていたのに、段々と二人の心には、罪悪感が溜まって行くんです。自分が相手を裏切っているという気持ちが大きくなるから、どんどん、相手に優しくなって行くし、相手を信じて行くんですよ。不思議でした。でも、確かにそうなるのかも知れないとも、思いました。
人間って弱いから、自分だけが相手の事だけを思っていて、待っている状態だと、色々溜まって行っちゃうんですよね。で、我慢出来なくなって、色々な方向にそれを向けてしまう。でも、いざ、自分が相手を裏切ってみると、凄く悪い事をしているように思って、その分の埋め合わせをしなくちゃとか、もっと頑張らなきゃとか、思ってしまう。そんな事、する必要も無いのにね。自分がやっている事は、大体、相手もやっているんです。
主婦(最後に橋本さんという名前が判ります。)は、良い夫だし、言う事は無いと思っているんだけど、その反面、冴えない夫だと思っているようで、幸せなんだけど物足りないという生活を送っているんですけど、これって、本当に良くいる主婦の典型的な形かなと思うんです。だから、きっと、みんな同じように不満が溜まって来るんだろうなぁと思うと、ちょっと怖いなって思っちゃいました。私は、家で夫を待ち続けるとか、あり得ないので、ちょっと分からないんですけどね。
菅原の彼女も、ある秘密を持っているのですが、こちらは、超”あるある”でした。これ、良くある話ですよ。ヒモだから楽だなぁと思っている男ども、あんたたちはペットくらいにしか思われてないと思いなさい。女にとっては、都合の良い男なんです。だって、ちょっとお金を与えておけば、優しくしてくれるし、生処理も出来るし、外で何をしてきても気にしないなんて、こんな便利な男、飼うわよね。いい気味だと思いました。
この映画、人間の本当の姿を切り取っていて、凄く面白いと思いました。私は、お薦めしたいと思います。でも、あまり上映していないので、観れないかな。DVDが出たら、ぜひ観てみて欲しいけど、どうなのかしら。勿体無いなぁ、面白い映画なのに。確かに、単館系の映画ではあるけど、面白い映画は、もっと上映してあげて欲しいよね。ぜひ、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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