「哭声 コクソン」を観てきました。
ストーリーは、
平和なある村にやってきた、得体の知れないよそ者の男。男が何の目的でこの村に来たのかは誰も知らない。村じゅうに男に関する噂が広がる中、村人が自身の家族を虐殺する事件が多発する。殺人を犯した村人に共通していたのが、湿疹でただれた肌に、濁った眼をして、言葉を発することもできない状態で現場にいることだった。この事件を担当する村の警官ジョングは、自分の娘に殺人犯たちと同じ湿疹があることに気付く。娘を救うためにジョングがよそ者を追い詰めるが、ジョングの行動により村は混乱の渦が巻き起こってしまう。
というお話です。
平和?な田舎の村によそ者の姿が見られるようになる。その男は、日本人のようで、不思議な生活をしているようです。何をしに来たのかは分かりません。村人が不審がる中、ある村人の家で、惨殺事件が起こります。あまりにも酷い惨状で目を背けるほどでした。それからしばらくして、またも、惨殺事件が起こります。今回も同じような惨状で、どちらの犯人も目が濁っていて放心状態になっていて、身体に湿疹が出ています。
捜査をしているジョングは、何かがあるはずだと調べて行き、謎の日本人の所に行き、その家に無断で踏み込み、荒らすのですが、何も出てこず、仕方なく帰ります。村の事件は収まる事が無く、ジョングの娘も、何故か性格が荒くなり、身体に湿疹が見られるようになります。妻が占いで見て貰うと娘に悪霊が付いているらしく、祈祷師にお願いして悪霊を払って貰わないと妻に言われ、祈祷師に来て貰います。
一方、謎の日本人は、森で放置された車の中に死んだ男を見つけ、その身体に沢山の湿疹が現れている事に気が付きます。実は、日本人は大学教授であり僧侶でもあるらしく、その死体に悪霊が取り付いているいる事に気が付き、森の中の家で祈祷を始め、悪霊を抑えようとしていたんです。
祈祷師がジョングの娘の為に祈祷を始めると、娘は苦しみだし、何故か日本人も苦しみ出します。娘に憑いた悪霊と日本人の悪霊が苦しんでいるように見えるのですが、実は・・・。後は、映画を観て下さいね。
この映画、観る人によって違うと思うので、私の見解で書かせて頂きますね。幾つもの要点があるのですが、まず、白い服を着た女は、天使的な立ち位置だと思いました。そして森の車の中の死体は悪霊が憑いた男。恨みがあったのかな。そして日本人は、悪霊を抑える為に一人、ひっそりと祈祷をしていたと思われます。彼のおかげで、ジョングの娘は、何とか抑えられていたんだと思います。最後に祈祷師こそ、悪霊を援助して金儲けをする男。
と、ここまでが、オカルト的な部分ですが、実は、全てが人間の思い込みだと思いました。ある村で、人に幻覚を起こして狂わせるキノコがあり、それを食べた人間から胞子で感染して行ったのかなと思います。ジョングの娘も森に行ったって言っていたでしょ。日本人の男は、車の死体を見て、お祓いをしなければと思って祈祷をしていたと思います。そして祈祷師は、ただ、金儲けの為に、悪霊だとか何とか言って、儲けていたのでしょう。白い服の女は、日本人にとっては味方として、祈祷師にとっては強欲な彼を戒める存在として、ジョングにとっては導くための人物として出てきたのかなと思います。
全てが、教会に居た神父が言っていた通り、人間世界で起こっている、何も不思議では無い出来事なのに、人間の不安が、全てを悪い方向に導いてしまっていたと考えるのが正解なのかなと思いました。そして、最後に神父の弟子が日本人に会って、善か悪かという質問をすると、彼に日本人が悪魔に見えてしまったのは、韓国人の思い込みで、日本人は悪魔だという思い込みがあると言う事を示していたのだと思います。
この映画は、人間の思い込み、日本人だからと言うだけで、不気味だと思ってコミュニケーションを取らず、簡単に彼が悪魔だと思い込んで追い込んでいき、現実が見れなくなるということを描いているのだと思いました。だから、白い服の天使が、罠にハマったと言ったと思います。もし、冷静に判断して、自分が偏見を持って日本人を殺してしまった事を認めて、過ちを悔いていたら、もしかしたら結末は違っていたかも知れません。
人間の思い込みと言うのは、何処までも人間の心を醜くしていき、冷静な判断が出来なくなるガンなんです。脳の思考回路に出来た腫瘍ですね。それを取り除く為には、必ず、一歩引いて見る事が大切です。そりゃ、悪魔とか天使とか、悪霊とか精霊とかって考えてしまう方が簡単なのでしょうが、世界はそういう風には回っていません。必ず、原因があって結果があり、どんなに納得が行かなくても、いつかは結論付けなくてはいけません。日本と韓国の問題だって、先延ばしにしようと、必ず結論は出さなくてはならないし、いい加減な嘘を並べても、真実は変わらないんです。いつまでも祈祷師のように、嘘を並べて騒いでいても、神は見逃さないし、許さないと思いますよ。
國村さんの演技、素晴らしかったです。恐ろしくて、でもどこか誠実そうに見えたりして、そんな國村さんを追い詰めるクァク・ドウォンさんも、娘の為に狂っていく警官を演じていて、二人の戦いが凄いと思いました。
この映画、私は、超!お薦めしたいと思います。表面の不思議なオカルト的な部分だけを見ていたのでは理解が難しいと思いますが、良く読み解くと、とても深い内容が盛り込まれていて、面白いと思います。韓国の中でも、ちゃんと真実を見つけようと思っている方々がいらっしゃるのだなと言う事を、この映画で知りました。ぜひ、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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