「しゃぼん玉」を観てきました。
ストーリーは、
親に見捨てられ自暴自棄になり、女性や老人を狙った犯罪を繰り返す伊豆見は、逃亡中に宮崎の山村に辿り着く。そこでスマという老婆に出会った彼は、彼女の家に寝泊まりするようになる。彼女と素朴な村人の温かさに触れた彼は、自らの人生を見つめ直していく。
というお話です。
弱い女性や老人を狙って引ったくりなどをして生活をしていたイズミは、ある日、ナイフを持って脅した方が早いと思い、ナイフを出して女性を脅し、抵抗されたために、つい、刺してしまい、バックを盗んで逃げます。自分で驚いたイズミは、逃げなければと思い、トラックの運転手を脅し、その土地から離れます。しかし、山奥に来た時に運転手に捨てられ、何処にいるのか、右も左も分からず、どうしようかと考えます。そんな時、目の前にバイクが転がっており、これで逃げようと起こしていると、自分を呼ぶ声が近くから聞こえてきます。周りを見ると、お婆さんが倒れており、頭から血を流して助けてくれと話しかけてきます。仕方なくお婆さんをおぶって、家まで送るイズミ。
家に連れて行くと、一人住まいらしく、金目の物を盗んで逃げようと思っていたのですが、食事を用意してもらい、風呂に入っていけと言われ、つい、言われるままに、そこに居付いてしまいます。昼過ぎに起きて、ご飯を食べて、ぼーっとしている毎日を過ごして、ある日、近所のシゲ爺に、ゴロゴロ寝ているなら、一緒に山に行って、仕事をしろと言われ、スマ婆さんにも勧められ、行くことにします。
シゲ爺と一緒に山は入り、厳しい山を歩き、山菜を採って、それを祭りで売ればお金になるからと言われ、嫌々ながら行くのですが、シゲ爺に負けたくないという気持ちから、必死に付いて行き、一緒に山菜採りを頑張ります。若い者にしては大したもんだと褒められ、何となく良い気持ちになるイズミ。しかし、本当は、少しでも隙があれば、ここから逃げたいという気持ちも持っていました。
そんなイズミに対して、スマ婆さんはいつも「坊は良い子。」と言って、褒めてくれます。そんなお婆さんやシゲ爺に囲まれ、他の村の老人にも可愛がられ、段々と心が柔らかくなっていきます。イズミは子供の頃に両親が離婚し、母親に引き取られたのですが、母親は弟だけ連れて出て行ってしまい、一人捨てられてしまったという過去を持っていました。誰も信じられなくなっていたイズミですが、この村での生活が、彼を変えていきます。
そんなある日、スマ婆さんの息子が突然、夜中に帰ってきて、家に入ってきます。そして・・・。後は、映画を観てくださいね。
この映画、良かったです。田舎町に逃げ込んだ犯罪者のお話なのですが、彼は、ずーっと、自分のやったことを恥じていて、だけど、そうならなければならなかった運命を憎んでいて、自爆放棄になっていたんです。でも、この村で、温かいスマ婆さんに出会い、色々な事に気が付いても、それをイズミに聞こうとしないお婆さんの気持ちに癒されていきます。
このイズミも、最初からこんな温かい人たちに囲まれていたら、犯罪なんて犯すことは無かったんだろうと思うんです。でも、都会に一人でほおりだされて、生活する為に、安易な方法を選んでしまったんですよね。それはいけない事だけど、でも、人は弱いから、そうなってしまう気持ちも分からないではないんです。
最初、名前を聞かれて、イズミって答えるのですが、それが名前なのか苗字なのか分からないんです。で、みんなにイズミ君って呼ばれているんです。でも、最後の方で、自分の罪を償いたいと思って、自分の名前が「翔人(ショウト)」と告げるんです。やっと本当の自分を出して、向き合いたいと思ったのかなと思いました。
市原さんと林くんの二人が良いんですよ。そこにシゲ爺の綿引さんがすごく良かったです。この3人だからこそ、この雰囲気が出たんでしょうね。そして、この宮崎の北部の村が素晴らしかったです。風景が美しくて、野菜も美味しそうだったし、なんて言って良いのか、こんなところで1週間でも過ごせたら、心がのんびりして、落ち着けるだろうなぁ。こんなとこでゆっくりしたいなぁという気持ちになりました。
私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。今年に入って、邦画トップと言いたいくらいに感動した映画でした。何度も言うけど、市原さんと林くん、マジで良かった!これは、ぜひ観るべき作品だと思います。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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