「虐殺器官」平和で安全を求めるのは当たり前だけど、度を超すと恐ろしい方向に向いてしまう。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「虐殺器官」を観てきました。

 

ストーリーは、

世界の紛争地帯を飛び回るアメリカ軍特殊部隊のクラヴィス・シェパード大尉に、ジョン・ポールという謎のアメリカ人を追跡せよとのミッションが課せられる。世界各所で起こる紛争や虐殺の影には、優秀な言語学者だったというジョンの影がちらついていたが、いつも忽然と姿を消してしまうという。ジョンがチェコに潜伏しているという情報を得たクラヴィスは、追跡を開始するが……。

というお話です。

 

 

アメリカは9.11のテロ以来、国の安全を強化すべく、個々の認証を強化し、監視カメラを増やし、人々は個人の自由をある程度放棄して、その安全を手に入れてきた。そんな中、クラヴィス・シェパード大尉は、アメリカ軍特殊部隊として、世界の紛争地域を周り、紛争に介入してきました。ここ何年か、内戦にて虐殺が行われる件数が増えて来て、その虐殺にはジョン・ポールというアメリカ人が絡んでいるようだという事が判ってきます。

 

クラヴィスは、軍からジョン・ポールの追跡、拘束を命令され、彼がいると言われるチェコに飛びます。ジョン・ポールは、優秀な言語学者であり、彼が付き合っていた女性ルツィアは、チェコで語学教師をしています。ルツィアの語学学校に潜入したクラヴィスは、ルツィアに個人教授も頼み、彼女からジョン・ポールに関しての情報を引き出そうとします。

 

 

しかし、チェコではジョン・ポールを信望する人間に見つかってしまい、罠にはめられてしまいます。ジョン・ポールには逃げられ、ルツィアまでも一緒に消えてしまいます。仕方なくアメリカに帰還し、ジョンの消息を追っていると、またも紛争地域でジョンを見つけます。今度こそ、ジョンを捕まえて、何故、彼の行く先々で虐殺が起こって行くのかという謎を解明しようと思い、子供までがテロリストとなり攻撃してくる紛争地で、クラヴィスたちは、全ての戦闘員を倒し、ジョンを手に入れようと戦い始めます。

 

クラヴィスたちは、国により、戦闘に関しての苦痛=良心の呵責に苛まれることが無いようにに薬により精神的ブレを少なくし、身体的苦痛=痛みをも感じないように、身体を操作されています。彼らは、命が尽きるまで戦い続けるように作られているんです。そんな彼らは、子供の戦闘員を殺しても何も感じず、ジョンを追い詰めていきます。

 

 

そして、沢山の仲間を失い、ジョン・ポールの拘束に成功したクラヴィスは、ジョンと対峙し、虐殺をどうやって引き起こしているのかを問い詰めるのですが・・・。後は、映画を観てくださいね。

 

この映画、原作を読んでいなくても解るかしら。私は、この原作、すごく面白くて、頭に焼き付いているので、この描き方でもわかりましたが、これ、全く何も知らないと、最後、どうしてクラヴィスが軍法会議で発言をしていて、何がジョン・ポールから託されたのかが判らないんじゃないかなぁと思ったのですが、大丈夫でしたか?うーん・・・。

 

 

原作には、クラヴィスが母親の夢を見てうなされる場面があり、それが彼のトラウマになっているのですが、その場面も詳しく描かれていなくて、母親との関わりがあるからこそ、クラヴィスは、ジョンから受け取ったモノを使ってしまうんだと思うんですよね。だから、地獄は人間の脳の中にある。自分の中に虐殺に踏み切ってしまう”器官”を誰もが持っていて、そのタガを外すやり方をジョンが知っていたという事なんです。

 

 

マジで考えると凄く恐ろしい話で、今、トランプ大統領が、アメリカを安全な国にする為に、イスラム諸国から人を入れないようにしたり、セキュリティを強化したりしようとしているでしょ。これに続いて始まって行くのが、この虐殺器官の話なんです。アメリカから排除するから、アメリカをテロリストが標的として行き、そのテロリストを排除しようとしてジョン・ポールのような人間が研究をして、ある”モノ”を見つけてしまい、それを使って、テロリストを排除して行くんです。

 

自分たちの身を守る為に敵を殺していくというのは、当たり前だとは思うんです。だって、そうしなければ、自分たちが殺されてしまうんですもん。でもね、教育を与えて、殺し合っても何も変わらないという事を教えれば、そんな事しなくても良くなるような気がしませんか?紛争地域には、圧倒的に教育が足りないので、それが何とかならないのかなっていつも思います。通信インフラさえ整えば、知識が増えて行くから、殺し合うのが無駄だと判ってくると思うんだけどなぁ。

 

 

話を戻して、映画では、あまり上手く描かれていなかったけど、民間軍事企業がクラヴィスたちの周りをうろうろしているでしょ。これ、アメリカの裏を表しているんですよ。クラヴィスたちは、特殊部隊として世界の警察として行動しているけど、大統領やその側近たちは、軍以外の裏も使って、操作をしていたんです。良く描いてあるでしょ。映画では分かりにくかったと思うけど。

 

そして、最後の最後、クラヴィスが行ったエンディングは、スゴイ恐怖でしょ。これ、どうなっちゃうんだろうって想像するだけで恐ろしいけど、でも、本当に面白いお話ですよね。これ、私、原作読んだ時、衝撃だったもん。読み終わった時、固まりましたよ。上手い終わらせ方だと思いました。

 

 

この映画、私は、超!お薦めしたいのですが、これ、原作を読んで、感動している私だからこそなので、もしかして、原作も読まず、映画だけの方には、解りにくいと思います。解りにくいので、それ程の衝撃も無いかも知れません。でもね、伊藤計劃さんの原作は、マジで凄いんです。本当に震えてニヤッと笑ってしまうほど、面白いんです。これ、小説で良かったよ。トランプ大統領がこの小説の様に恐ろしい方向に行ってしまわないことを願います。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

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