「古都」伝統を伝えて来た家族が、新しい時代にどんな関係を付けて行くのか。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「古都」の試写会に行ってきました。

 

ストーリーは、

京都室町に先祖代々続く佐田呉服店の女主人・千重子は、20年前に店を継いで以来ずっと変わらぬ生活を送り続けてきた。千重子の娘・舞は、大学で就職活動に励む友人たちの中で、店を継ぐべきか迷っている。一方、千重子の生き別れた双子の妹・苗子は、京都のはずれにある北山杉の里で林業を営んでいるが経営難に悩まされていた。ある日苗子は、美術を学ぶためフランスに留学中の娘・結衣に会うためパリを訪れる。同じ頃、舞も日本文化を披露するイベントに参加するためパリへ行くことになり、2組の母娘の人生が初めて交差する。

というお話です。

 

 

京都の老舗呉服店の女主人・千恵子は、呉服店を継いで20年。段々と時代は変わり、呉服屋もそれだけを営んでいるのでは成り立たなくなり、外国人客の観光案内や、日本の伝統を伝えるような仕事もするようになっていました。千恵子の娘・舞は、大学生で、就活に忙しそうにしていますが、家を継ぐべきかと悩んでいて、今、自分が何をやりたいのか模索しています。

 

舞を心配した千恵子は、ツテを頼って、舞の就活先に挨拶に行き、娘の事を頼みます。舞は、満足な面接試験も出来なかったにも関わらず、試験に受かってしまい、その上、母親に、外で勉強をして、家を継いでくれれば良いと言われ、自分の未来が母親に決められているように感じて、反発してしまいます。

 

 

一方、千恵子の双子の妹・苗子は、京都の奥にある北山杉の里で夫と林業を営んでいるのですが、彼女の娘も悩んでいました。苗子の娘・結衣は、美術の才能があると言われ、パリで絵の勉強をしているのですが、勉強に行き詰まってしまい、絵を描けなくなってしまいます。

 

 

娘を心配した苗子は、結衣の住むパリへ行き、娘を慰め、好きなように生きれば良いと言う事を告げて日本へ戻ります。結衣は、母親が残して行った西陣織の帯の北山杉を見ながら、自分の向かう道を見つけるように、絵に取り組んでいきます。

 

母親に反発した舞は、父親にも取りなされて、以前から取り組んでいたお習字の手伝いでパリへ行き、日本の伝統を伝える博覧会に参加する事にします。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。

 

 

このお話は、川端康成の「古都」の続編のような感じかな。双子の姉妹が別れて、それぞれに母親になって、娘を持ち、その娘に伝統を伝えて行くという話になっているのですが、何となく、バラバラしているような気がして、イマイチ、のめり込めませんでした。悪い映画では無いのですが、何か、こう、しっかりした芯が無いというか、伝わってくる物が薄かったような気がしたんです。

 

 

娘が自分の未来を模索していて、それに口出しをしてしまう母親の気持ちは解るし、それに反発する娘も解るんだけど、それを川端の「古都」の後日談として描くのは、どうなのかしら。確かに、「古都」は、古くから伝わる伝統の家の為に、姉妹が別れる事になってしまうという話で、”家”を継いでいくという事が描かれていたので、それを今度は娘の時代の継ぐという事を描き、”家”を継ぐのではなく、”伝統”を継いで行くという方に持って行ったのだろうけど、そうしてしまうと、別れた姉妹の話が、あまり繋がらないような気がしたんです。

 

 

確かに、この後にパリで彼女達が繋がるのかも知れないけど、無理やりのような気がして、何となく「古都」の続編とする必要性を疑問視というか、川端の「古都」の続編は要らないという気持ちになってしまい、素直に受け入れる事が出来ませんでした。

 

悪い映画では無いんですよ。でも、川端の「古都」の雰囲気を自分に持っていると、この映画は、とても違和感がありました。一生懸命、雰囲気を作ろうとはしていたと思うんですけど、受け入れられなかったなぁ。残念です。

 

 

私は、まぁ、お薦めしても良いかなぁという感じですかね。原作を知らなければ、別に違和感が無いと思うので、なんてことはないのですが、でも、これ、原作を知らないと、何をやっているのか、良く解らないんじゃないのかな。とりあえず、文学好きの方には、あまりお薦めしないけど、普通に映画として観るなら、良いと思います。ぜひ、観に行ってみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

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