舞台「メトロポリス」を観てきました。あの古典的映画「メトロポリス」の舞台版です。
ストーリーは、
メトロポリスの主、フレーデルセンの息子フレーダーは、労働者階級の娘マリアと出会い、恋に落ちる。彼女を追って地下へと向かい、そこでメトロポリスを動かす巨大な機械と、過酷な労働を強いられる労働者を初めて見たフレーダーは、社会の矛盾に気付く。
一方マリアは密かに集会を開き、労働者たちに忍耐と希望を説いていた。「頭脳(支配者)と手(労働者)を仲介するのは心でなくてはいけない。仲介者は必ず現れる」と。それを知ったフレーデルセンは、旧知の科学者ロートヴァングにマリアを誘拐し、製作中のアンドロイドをマリアそっくりの顔にして、労働者たちの間に送り込み、彼らを混乱させろと命じる。アンドロイドは見事にその役割を果たし、労働者は暴徒と化して機械を破壊、メトロポリスも音を立てて崩れ始める。そのために労働者が住む地下の町は洪水に見舞われて…。
フレーダーは、最初に出会った労働者の若者や、父が解雇した元秘書などの助けを借りて、マリアと地下の町を救うべく立ち上がる。
というお話です。
支配者と労働者、雇用者と就業者、沢山の対比があるけど、これ、どれも「卵が先か鶏が先か」と同じなのよね。労働者が居なければ支配する者は必要無いけど、支配者が居なければ労働者は何をして良いのか解らないし、どちらも必要なんだけど、その二つの者たちの間には、愛が必要なんだよねって事なんだと思うんです。只の機械が動いているだけじゃ、そこに愛は生まれないので、上手く回って行くことは無いんです。
そんな事を訴えていたのではないかと思うんです。これ、1927年の古い映画で、あのアンドロイドが、今でも凄いなって思うんですよね。コブラっていう漫画の”レディ”が、私には、メトロポリスのアンドロイドのイメージで、今観ても、斬新っていうか、頭から離れない映像なんです。既に、著作権が切れているので、ネットで観れますので、ぜひ観てみると面白いと思いますよ。
フレーダー役の森山くんのダンスが、その動きに感情が入り込んでいて、悲しかったり、苦しかったりが伝わってきて、何とも言えない気持ちにさせて頂きました。マリアを好きになってしまったけど、暴動を起こしたのがマリアらしいと聞いて、支配者である父親と暴動を起こした愛するマリアとの間に挟まれて、苦しそうなんです。
支配する階級に属するフレーダーは、良い方向へ労働者を導いていかなければならないのに、労働者はやる気を無くし、生きる気力さえ無くしていて、未来が無いんです。かと言って、暴動を起こして働く場所を無くしてしまったら、彼らの生きる場所も無くなるんです。それがフレーダーには判っているから、どうにも動くことが出来なかった。そんな時に、マリアの皮を被ったアンドロイドが、フレーデルセンの命令で暴動を起こさせてしまう。酷い支配者でしょ。全てを壊してしまおうなんて。でも、もうそれしか手が無かったんです。
辛いお話なんだけど、現代社会もこのジレンマから抜け出せていないから、困っちゃいますよね。既に、100年近く前と同じ問題を抱えたまま、何も解決が出来ていないなんて、人間は、もう、種の限界なのかも知れません。
そんな事を思う舞台でした。私は、この舞台、お薦めしたいと思います。SF的な内容も面白いですし、現代社会の闇の部分を覗けるし、ダンスを取り入れた構成も面白いです。森山さんも良いし、マリア役の松さんも、可愛らしくて、歌も素晴らしいので、やっぱりイイなぁと思いました。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
メトロポリス http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/16_metropolis.html
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