舞台「百物語 FINAL 白石加代子」を観てきました。
百物語の集大成ともいえるもので、千秋楽に行く事が出来ました。
今回は、2作演じて下さり、「灯台鬼」、「五郎八航空」でした。
「灯台鬼」
遣唐使・小野石根が異国の地で行方不明になる。必死に父の姿を捜し求めるが見つからない。帰国が間近に迫った宴の席、奇怪な見世物集団が現れる…
早いテンポの名調子でひたひた押しながら、だんだんと佳境へと入ってゆく。最も白石加代子的な作品です。
「五郎八航空」
台風に、子供を背負ったおばさんのオンボロ飛行機に乗り合わせてしまっ た二人組の恐怖の体験です。
こんなにも客席が笑いに満ちた舞台というのはちょっとないのではないでしょうか。
という内容でした。
白石さんがお話してくださると、怖い話は、より怖く、楽しい話は、楽しいのにふと怖くなるんですよね。最初の「灯台鬼」は、すごい悲劇で、可哀想に思いました。あの国なら、そんな残酷な事もやりそうだよなぁと思ってしまった。だって、人間を蝋燭立てにするって、どーいう事よ。恐ろしくて、ビックリしました。まだスプラッターの方がその時だけだもん、優しいよね。これは、人間としてやっちゃダメでしょって言うくらい残酷な仕打ちだと思いました。いやぁ、ゾッとしました。
このお話をする時に、白石さんが、「灯台鬼」の絵が描かれた着物を着ていらして、それにもゾゾッとしました。すごく美しいんですけど、美しいが故に、怖いんです。美しいと怖いは紙一重だよねぇ。
2作目の「五郎八航空」は、筒井康隆先生のお話で、すっごく楽しいんだけど、後から「あー、そうだよねぇ。一寸先は闇だよねぇ。」って思っちゃうんです。
田舎のおばちゃんが、子供をおんぶしながら、飛行機を操縦しているって、想像できないでしょ。白石さん、ほっんとに笑えるの。”ちょっとぉ、おばちゃ~ん!”って声をかけたくなるほどなんです。大笑いしちゃいました。そんな状態なのに、飛行機操縦しているって、スゴイでしょ~。何なんだろうって感じで、嵐は来るし、子供は泣き叫ぶし、挙句の果てに、最後は、土砂崩れがあるらしいんですよ。もう、酷いったらありゃしない。
でも、人間の人生なんて、ギャンブルみたいなもんだから、たった一つの判断で、命を落としたり拾ったり、不思議なもんなんです。筒井先生のお話が、こんな風に描かれるなんて、なんて楽しいんだろうって思いました。
白石さんの百物語り、いつまでも聞いていたくなる舞台でした。他のお話も聞いてみたいな。今回で最後だったらしいのですが、また気が向いたらやってくださると、嬉しいなと思いました。あまりこういう”語り”の舞台を観に行ったことが無かったので、こんなに面白いんだって初めて知りました。また行きたいな。
この舞台、すっごくお薦めなのですが、私たちが観た舞台が千秋楽とおっしゃっていたので、もし、白石さんが、再演されることがあったら、ぜひ、観に行ってみて下さい。これは、必見ですと言って良いほど、良い舞台でした。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
白石加代子さんのオフィシャルサイト http://www.doudou.co.jp/shiraishikayoko/index.html