東京国際映画祭 2016 の21作目は、「ダイ・ビューティフル」(コンペティション)を観てきました。
ストーリーは、
美女コンテストで優勝したトランスジェンダーのトリシャが突然死してしまう。彼女の望みは、埋葬前に幾夜も行われる儀式で、毎回違うセレブの装いをまとうこと。友人たちは団結してトリシャの願いを叶えようとする。トリシャが生きた、カラフルでちょっと変わった一生を思い起こしながら。息子として、姉として、母として、友として、恋人として、妻として、そして女王としての人生を。
というお話です。
子供の頃から、トランスジェンダーで、女性として美女コンテストに出ていたトリシャ。父親に怒られ、表向きは男子として高校まで通っていたのですが、ある出来事があり、女性として生きることを選択し、美女コンテストで賞金を稼いでいましたが、ある日、突然死してしまいます。
一旦は家族に引き取られた彼女の遺体ですが、父親がトリシャの意志を無視した葬式をしようとしたため、姉がトリシャの遺体を友人のバーブスたちに預けて、彼女の意志通りの葬式をしてやって欲しいと頼みます。トリシャを連れて来たバーブスは、彼女が生前に話していた通り、弔う日まで、毎日、美しく化粧を施し、衣装を着せて、美しいままの姿で逝かせてあげようと手を施します。
そんな美しいトリシェを見て、葬儀屋のオネェが映像をFacebookに上げて、それが拡散され、沢山の人がトリシェを悼み、彼女の生涯の話に耳を傾けます。彼女の人生は、波乱に満ちていて、辛い事も多かったのですが、幸せな事も沢山あって、突然の死により、彼女は居なくなりましたが、沢山のものを周りの人間に残して行ったことが思い出されます。そして・・・。後は、映画を観てくださいね。
この映画、感動でした。映画祭の最後の作品が、これだったのですが、最後の最後で、感動しちゃいました。このトランスジェンダーのトリシェですが、本当に良い子なんですよ。辛く苦しい事があっても、それでも立ち上がって、向かっていく強さを持っていて、美しいんです。
人間って、周りの目に左右されがちでしょ。確かに、周りからの目って恐いし、それが増えれば増えるほど、恐怖は大きくなって行くけど、でも、それに抗わなかったら、自分の人生じゃなくなっちゃうのよね。周りの人達の人生になっちゃう。自分の人生を生きたいと思ったら、どんなに怖くても立ち向かわなくちゃいけないと思うんです。人生の中に、一度以上は、必ず、そういう時ってあると思うんだけど、そこを逃げてしまった人間は、ずーっと他人の人生を生きる事になってしまいますよね。何処にも自分の意志が無く、ただ、流されるだけの人生。それって、生きる意味あるの?そこら辺の虫よりも意味が無い人生だと思いませんか?
このトリシェは、何処までも自分の意志を尊重して、周りの目に負ける事は無かったんです。そりゃ、辛い人生だけど、それでも生きている意味がある。そこに大きな花が咲き誇るんです。素晴らしいでしょ。
そうそう、トリシェを好きになって、追ってくる男性がいるんですが、この男性、普通の結婚をしているんです。彼は、きっと、性別という区切りなんて関係無く、好きになった人が男性だったとか、女性だったとか、そういう考え方だったんじゃないかなと思いました。トリシェを好きになったけど、でも、その後知り合った女性も好きになって、結婚して、それでもトリシェを忘れられなくて追ってきたように見えました。この男性の考え方が一番正しいと思ったんだけど、性別なんて関係無く、好きになった人が女性だったら子供が作れるし、男性だったら子供は出来ないから養子を貰おうとか、選択肢って、沢山あるでしょ。その時、その時で考えれば良い事で、男同士だから好きになれないとか、そんなバカな考え方はもう捨てるべきだよね。
私も友人で、やっぱりトランスジェンダーで、男性から女性になった人が居ると、以前も書いたのですが、その彼女は、既にパッと見は女性です。だから女として付き合えるし、相手にも解らないと思うんですよね。でも、結婚とかになると、やっぱり過去の事を話す上で男だった事も話すでしょ。それで納得して貰えるなら良いけど、まだまだこだわりのある人って多いから、問題ですよね。誰もが、性別に関係無く、恋愛を楽しみ、一緒に居たければ居るように出来る世界が出来たら、どんなに幸せかと思うんですけど。
日本なんて、宗教色が薄いんだから、一番、性差別撤廃がし易いと思うんです。日本が、戸籍という手続きを継続するなら、もう、同性婚も許可をして、夫婦別姓も許容していけば、日本に沢山の人が来るようになるんじゃないの?労働力を海外からと言うなら、難民や貧困国から呼ぶというのではなく、まず、トランスジェンダーとかで苦しんでいる人を受け容れてあげたら、彼らって、能力の高い人が多いし、その頭脳を日本で使って貰えたら、凄い事になると思うよね。もっと、日本も考え方を変えて、アメリカの後追いをするんじゃなくて、日本が先端を行ける事をやって行くべきじゃないの?
男で生まれたけど女として生きたいなら、それを貫いて生きれば良いと思うし、周りの目なんて突っ撥ねて行けば良い。必ず、認めてくれる人々は居るし、受け容れてくれる人も沢山います。自分に嘘を付いて生きることは止めた方が良い。みんな自分の人生を生きましょうというメッセージが聞こえてくる映画でした。
私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。これは、観客賞も貰ったし、日本公開すると思うので、ぜひ、観に行ってみて下さい。なんか、超、感動してしまいました。良かったです。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
ダイ・ビューティフル http://2016.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=11