東京国際映画祭 2016 の19作目は、「天才バレエダンサーの皮肉な運命」(コンペティション)を観てきました。
ストーリーは、
アレクセイ・テムニコフは名の知れた天才バレエダンサーだが、90年代にその短いキャリアは突然終わっていた。20年後の現在はバレエ教室を営み、傲慢で冷淡な性格が周囲との軋轢を招いているが、全く気にする様子を見せない。達観したように生きるアレクセイだが、次第に体調が悪化するに従い、人生の選択を迫られる。
というお話です。
バレエダンサーのアレクセイは、天才と謳われる人物であり、誰よりも高く飛び、誰よりも美しい踊りを披露していたのだが、90年代に突然の怪我により、その短いキャリアは終わっていた。彼は、自分でも天才と自負しており、その傲慢な性格は周りの人間を随分と傷つけていました。しかし、アレクセイは他人の事など気にせず、いつも自分中心に地球が回っていると思っており、自分の好きなように行動をしていました。
突然の怪我で引退し、バレエ教室を営み生活をしていますが、その傲慢さは変わらず、自分のやりたい様にやっています。ある日、彼の娘だという少女が母親と一緒にアレクセイの元に現れます。アレクセイは、女性と関係を持っても、全く責任も取らず、既に娘は12歳ほどになっていました。娘は、アレクセイを気に入り、時々、訪ねてくるようになります。アレクセイも、それほど嫌がりもせずに、意地悪を言いながらも、娘に付き合います。
アレクセイの前に、妊娠したという女性が現れ、結婚して欲しいと言うのですが、アレクセイは、全くその気がありません。しかし、バレエ教室が上手く行かなくなり、先行きが不安になったアレクセイは、少し弱気になり、彼女と結婚を考え始め、子供の映像も一緒に見に行くのに付き合ったりと、少し変わって行きますが、ある日、自分で演出する舞台の企画が取り上げられ、公演が出来る目途が付いた途端、結婚も子供も全く興味が無くなり、無視をし始めます。そして・・・。後は、映画を観てくださいね。
この映画、面白かったです。主人公のアレクセイの傲慢さが、あまりにも酷くて、それはもう、清々しいほどに他人を目に入れず、嫌がらせをして、笑ってしまうんです。素晴らしく完璧と入れるような美しい容姿を持ち、美しいバレエを踊るのに、中身はクズっていう、このギャップが、何とも嬉しいんです。大笑いしちゃいました。でも、本当に美しいんですよ。
誰が観ても、とんでもなくクズのアレクセイは、犬には優しいのよ。そして、自分のDNAを継いでいる娘も、意地悪をしながらも、気に入っていて、側に置いてもそれほど嫌がらないんです。このアンバランスな感じが楽しかったなぁ。突然現れる娘なんですが、娘だと言うならDNA鑑定をしろと言ったらしく、母親がアレクセイに向かって、マジでクズだなっていうような事を言うんです。面白くなっちゃった。行為自体に覚えがあるだろうに、信じないところが凄いよね。だって、お金を無心に来た訳じゃないんですよ。お金欲しさというなら解るけど、そうじゃないなら、覚えがあれば、最終的にDNA鑑定をするにしても、少しは優しくしてあげればイイじゃないねぇって思っちゃいました。
そんなクズのアレクセイですが、バレエに対しては、ストイックなほどに完璧を目指していて、美しいものをトコトン追求していたようでした。そこは、やっぱり天才でありながらも、努力を惜しまないというところは、素晴らしいと思いました。天才だけじゃ、完璧な美しさは作れないものね。やっぱり、才能の上に努力があってこそ、完璧になるのだと思います。
この映画の監督は女性で、監督の夫が、アレクセイを演じたセルゲイさんです。セルゲイさんは、プロデューサーも勤めていました。セルゲイさんは、俳優さんであり、バレエは全くやっていなかったそうです。それでも、とても美しかったです。私、バレエは、あまり詳しくないのですが、本物のダンサーのように見えました。
私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。これ、ぜひ、公開して欲しいなぁ。女性は、きっと喜ぶと思います。ここまでやってくれれば、バレエがプロのダンサーでなくても、許されると思うけどなぁ。とにかく、面白い作品です。美しくて笑える、楽しめる作品でした。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
天才バレエダンサーの皮肉な運命 http://2016.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=3