東京国際映画祭 2016 の13作目は、「フィクサー」(コンペティション)を観てきました。
ストーリーは、
売春をしていた少女がパリからルーマニアに強制送還された。事件を取材するTVクルーを手伝う記者は手柄を立てようと張り切るが、少女への面会は難航し、記者の前にヨーロッパの闇が立ちはだかる…。
というお話です。
フランスで売春をさせられていた少女が、パリからルーマニアに強制送還された。事件を取材している記者たちは、独占生地を手にしたいと思い、色々な手を使って少女への取材を試みるが、どれもはねられてしまう。試用期間のラドゥは、何とか記事をものにして、正社員へ登用して貰おうと躍起になっている。
ラドゥの妻は、やはり記者であり、既に正社員として働いている。彼女の連れ子の世話をしながら、彼女と同等になりたいと思い、ラドゥは、自分のツテで、教会関係や、ルーマニア警察に連絡を取り、なんとか少女のインタビューをしたいと頼み込む。
ラドゥの懇願により、警察が付添いの元、会って話が出来る事となり、カメラマンとインタビュアーを連れて現地へ赴くのですが、最初に少女に会った時はインタビューに応じてくれるという話だったのに、少女の親族だという男性の姿が見えた途端、少女は話すのは止める、帰ると言い出します。そして・・・。後は、映画を観てくださいね。
視聴率が取れて金になれば良いっていう考えだけの記者がほとんどの現代、この映画は、イイとこ突いてるなぁという感じでした。主人公のタドゥは、一応、子供も育てているし、自分の子供がこんな目にあったらどうだろうとか、そんな事を一瞬考えたんじゃないかなと思いました。だって、恐ろしいでしょ、自分の子供が悪い奴に拉致られて、売春とかさせられてたらって思ったら、傷ついた子供にインタビューなんて出来ないはずですよね。
それでもインタビューを強行しようとする記者やカメラマンの姿にゾッとしました。本当に人間じゃないよね。だって、無理やり売春させられていた女の子に、どうだったなんて聞ける?その女の子が、どれだけ心に傷を負っているかなんて、全然考えていないんです。あり得ないと思いました。だからマスゴミって言われるのよ。人の失敗や不幸を餌に肥えて行く奴らって、やっぱり許せないと思うんです。だけど、そんな中でも、ラドゥのように考える頭を持っている奴もいたのねって感じかな。それでもインタビューするんだから、鬼畜としか言いようがありません。
やっぱり、男って、そういう想像力というか、レイプとか性犯罪がどれ程女性を傷つけているかっていう事を根本的に軽く考えているんだと思います。特に、子供は、まだ知識が無いから表情を変えずに答えるかも知れないけど、そんな子供たちには一生トラウマとして付きまとう事なんですけどね。知識が増えてくれば、自分がされた事に対しての嫌悪感が大きくなるから、苦しむんですよ。これは、やっぱり、マスゴミとかでヘラヘラしている奴らには解らないかな。マジでムカつきました。
私は、この映画、まぁ、お薦めしたいと思います。良い映画だとは思うけど、イマイチ、訴える事が前に出てきていないというか、解りにくいので、万人に理解してよって言っても、難しい様な気がしました。でも、こういう経験がある人には、良く解るのかな。公開は解らないけど、もし、公開されたら、ぜひ、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
フィクサー http://2016.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=13