東京国際映画祭 2016 の12作目は、「ビッグ・ビッグ・ワールド」(コンペティション)を観てきました。
ストーリーは、
青年アリは、離れて暮らす妹を気にかけるが、里親が会わせてくれない。業を煮やしたアリは妹の奪回を企み、極端な行動に走る…。
というお話です。
バイクの修理の仕事をしているアリは、施設で一緒に育った妹・ズハルを気に掛けています。アリは、既に働ける年齢でしたが、ズハルは養子に出されて、ある家族に引き取られましたが、家族は会わせてくれません。携帯に電話をしても繋がらなくなってしまったので、仕方なく、妹が貰われた家を訪ねると、門前払いをされて、携帯は取り上げたから繋がらないと言われてしまいます。
会わせて貰えないのはおかしいと訴えるのですが、その家の養父が、ガンとして聞き入れず、アリとズハルは施設で兄妹として育ったかもしれないが、本当の兄妹じゃないから会わせないと言われてしまいます。
納得出来ないアリは、家の前で待ち伏せすると、養母が買い物から帰ってきて、アリを避けるので、捕まえて問いただすと、養父がズハルと結婚すると言っていると話します。驚いたアリは、ズハルを助けなければと思い、ある決断をして、妹がいる家に押し掛けます。そして、ある事件を起こして妹を奪還して逃げます。
行く所も無く、お金も無い2人は、山の中に入り、小さな骨組みを見つけて、そこにビニールを張り、家のようにして、寝泊まりを始めます。アリがお金を稼いで、どこか借りれるまでの間、そこで我慢しようと話し、そこで隠れて暮らします。
アリは街へ出て、修理の仕事を探して、お金を稼ぎ始め、ズハルは森の中に隠れています。日が経つにつれ、アリは、都会の暮らしに惹かれ、ズハルを置いたまま女の所に遊びに行ったりし始めます。ズハルは、段々と具合が悪くなり、それをアリに伝えられないままでいます。
ある日、お腹が痛いと言って倒れるズハル。血を流しながら苦しむズハルを病院に連れて行くアリでしたが・・・。後は、映画を観てくださいね。
可哀想なお話でした。養父に性的虐待を受けていたらしいズハルを連れて逃げたアリなのですが、こんな風に強硬手段に出ない限り、ズハルを助け出す事が出来なかったのですから、酷い世の中です。きっと、アリが色々訴えても、社会的に地位がある養父が勝っただろうと思うんです。ズハルは、まだ中学にも入っていなかったかも知れないのに、性的虐待だなんて、本当に許せませんでした。
逃げたは良いけど、生活は出来ないですよね。逃げ込む場所も無いから、森の中の汚い場所で生活するしかなかったんです。そりゃ、具合も悪くなりますよ。あ、でも、ズハルがお腹が痛くなるのは悪い物を食べたからじゃないですよ。思うに、ズハルは妊娠していたんだと思うんです。だから、出血していたし、あんな小さな体で、森の中で生活していれば、そりゃ、流産しますよ。
病院に運ばれたけど、きっと、ズハルは流産していて、また養父に連れて行かれてしまうのではないかと思うんですよね。だって、身元を調べられちゃうでしょ。なんか、もう、こんな悲劇は許せないっていう映画でした。私、子供が性の対象にされるって、マジで許せないんですよ。どんな変態だよ。子供を、女の子を何だと思っているんだ。どれ程、子供が傷つくか解らないの?思い返しても、許せんとしか思えません。
悲しい映画ですが、映像はとっても美しくて、アリとズハルが2人で暮らしている世界は、本当に聖地のように美しく、俗世の人間が手を出してはいけないように思える世界でした。そんな世界に2人がずっと居られれば良かったのですが、そうはいかないんです。悲しかったな。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。本当に美しい映像です。逃げる2人の心情の描き方も繊細で、特に自然の撮影の仕方が素晴らしいと思いました。公開は分かりませんが、もし、観れる機会があったら、ぜひ、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。![]()
ビッグ・ビッグ・ワールド http://2016.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=7






