【TIFF 2016】「ブルーム・オブ・イエスタディ」歴史に目を瞑らず、嫌いながらも向き合おう。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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東京国際映画祭 2016 の6作目は、「ブルーム・オブ・イエスタディ」(コンペティション)を観てきました。

 

ストーリーは、

ホロコーストのイベントを企画する頑固な男が、強引な性格を理由に担当を外される。納得のいかない男は、風変りなフランス人インターン女性と独自に準備を続けるが、やがて意外な事実に行き当たる…。

というお話です。

 

 

ホロコーストの研究をしながら、イベントを企画しているトトは、上司と喧嘩をし、担当を外されてしまいます。その上、喧嘩騒ぎの最中に、頼りにしていた教授が倒れて亡き人になってしまいます。教授の元に、研修生が来ることになっており、その世話を任されたトトは、嫌々ながらも、彼女を迎えに空港へ行きます。

 

彼女はザジというフランス系ユダヤ人。ドイツ人コンプレックスを持つ人であり、ドイツを毛嫌いしていました。ベンツにも乗りたくないと言い、トトを困らせます。彼女の祖母がアウシュビッツで苦しめられたそうで、ドイツを心底憎んでいるんです。それなのに勉強不足で、アウシュビッツにベンツのトラックで運ばれたと騒ぐのですが、実は違っていたり、トトから見ると、どこか外れているんです。

 

 

そんなザジは、やはりフランス人で、とても開放的。トトにも好意を持ってしまい、その上、トトの上司のバルタザールとまで・・・。トトは、彼女に振り回され、結婚していて、妻と養子の娘がいるのに、心が動いてしまいます。そして・・・。後は、映画を観てくださいね。

 

これ、ジャンルとしてはラブコメなんだろうけど、結構、シビアな話なんです。既に、戦争から随分経っているのに、その呪縛から逃れられないユダヤ人とドイツ人のお話であり、確かに忘れられないけど、どこかで折り合いを付けて行かなければならないのではないかとうい事が描かれていたような気がしました。

 

 

日本だって、どこかで認めることは認めて、それは違うと言う事は主張して、ちゃんと歴史に向き合っていかないといけないと思うんですよね。このままだと、うやむやのまま、もう、戦争を知っている年代が居なくなってしまう。話を聞いておくなら、今しかないんです。

 

この映画の中でも、アウシュビッツの事を知っている元女優さんに公演を依頼するというイベントが出てくるのですが、まだ、ギリギリ、知っている人が生きているんだから、早く話を聞かなくちゃね。でも、この元女優さん、とってもお茶目で、アウシュビッツの事じゃなくて、自分の女優時代の事を話していいかしらとか言っちゃってて、面白いの。でも、真面目に暗くアウシュビッツの事だけを語るよりも、自分の好きな事を話させて、こんな人がアウシュビッツで苦しんでいたんだよって事を知るんでも十分だと思うんです。何か、動かしていかないと、何も変わらないでしょ。

 

 

そんなドイツの暗い部分を見ながらも、トトとザジの気持ちは近づき、ある事件によって、2人は離れてしまいます。でも、まぁ、最後まで観て頂ければ解ると思うけど・・・。あのね、面白いんだけど、最初に亡くなってしまう教授の愛犬の名前がガンジーなのよ。でね、最後の方で、ザジが”インド人のパートナーがいるの。”っていうセリフがあって、これ、もしかして・・・。それに、娘も連れていて名前が・・・。と、色々あるんですが、公開されたら確認して欲しいです。面白いですよ。

 

 

この映画、私はお薦めしたいと思います。これは、結構、楽しいし、犬を投げたりしちゃうところで大笑いしちゃって、楽しかったのですが、日本公開はどうかなぁ。軽い雰囲気の映画だから、単館系でやってくれるかも。公開されたら、ぜひ、観に行ってみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「ブルーム・オブ・イエスタディ」   http://2016.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=9