【TIFF 2016】「雪女」美しい妻を貰った巳之吉は幸せだったのか、それとも・・・。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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東京国際映画祭 2016 の5作目は、「雪女」(コンペティション)を観てきました。

 

ストーリーは、

ある時代、ある山の奥深く、吹雪の夜。猟師の巳之吉は、山小屋で、雪女が仲間の茂作の命を奪う姿を目撃してしまう。雪女は「このことを口外したら、お前の命を奪う」と言い残して消え去る。翌年、茂作の一周忌法要の帰り道。巳之吉は、美しい女ユキと出会う。やがてふたりは結婚し、娘ウメが生まれる。14年後。美しく聡明な少女に成長したウメは、村の有力者の息子で、茂作の遠縁にあたる病弱な幹生の、良き話し相手だった。しかしある日、茂作の死んだ山小屋で幹生が亡くなってしまう。幹生の遺体には、茂作と同じような凍傷の跡が。巳之吉の脳裏に、14年前の出来事が甦る。自分が見たものは何だったのか、そしてユキは誰なのか‥。

というお話です。

 

このお話は、細かい説明は要らないですね。だって、雪女だもん。

 

 

美しい雪女と出会った巳之吉って、不幸だったのかな、幸せだったのかな。この雪女の話を聞く度に、子供の頃は、大人に聞いてみたし、自分でも考えて見たけど、正解は無いんですよね。雪女は怖いけど、自分の所に来てくれて、一緒に暮らしてくれたことは幸せだっただろうし、だけど、別れは辛かっただろうし、どうなんだろうか。

 

それにしても、突然、目の前に美しい女性が現れて、そのまま居着いてしまったら恐いでしょ。まして、巳之吉は、知っているような気がしていたハズでしょ。不思議よねぇ。なんで結婚しようなんて思ったのかしら。普通なら、違和感があるから結婚まではしないと思うんだけど、まぁ、周りに良い人が居なかったのかなぁ。

 

雪女のくせに、火鉢に当たったり、布団で温かくして寝ていたりして、あれ、熱くないのかしらと思いました。アナ雪のオラフだって、火に当たると溶けてたし、雪女も溶けちゃうんじゃないかって心配していました。それに、巳之吉と色々な事して子供が出来たんだと思うけど、その行為中に巳之吉を凍死させてしまうとかって無かったのかしら。雪女は体温が低いだろうから、人間との行為は死を招くと思うんだけどね。良く、無事に子供が産まれたよ。良かった良かった。

 

 

いやいや、雪女の生態とかを書いていても仕方がない。従来通りの雪女のお話なんですけど、ちょっと違うのが、ちゃんと現代産業が発達し始めている社会に生活しているという事なんです。巳之吉は、妻も出来た事だし、マタギなんて辞めて、その村の電機会社に勤めることになります。そこら辺がちょっと違うでしょ。現代では無いと思うんだけど、ちょっと昔って感じの時代設定に見えました。

 

そこで、ちょっとづつ事件のようなものが起き始めて、巳之吉は妻を疑い始めるんです。信じていたいと思っていても、彼だけは雪女の顔を知っている訳だから、不安にもなりますよね。で、昔話の通り、雪女は消えていくのですが、映画祭のQ&Aで、奥さんが出て行ったら、直ぐに追って行くでしょっていう指摘があったのですが、いやいや、普通、追えないでしょ、あの状況だったら。

 

 

妻が雪女かも知れないとずっと思っていて、事件が起きて、どうしてもこのままにしておけないと思った巳之吉は、雪女と出会った事を妻に話すんです。すると、妻は雪女なので、巳之吉の前から消えていくんです。本当は、雪女に会った事を話したら殺すと言われていたのですが、妻の本当の事を知りたかったんだと思うんです。

 

妻は、巳之吉を愛していたし、子供も居たからこそ殺さなかったのだと思うんですよね。巳之吉は、雪女じゃないと言って欲しかったけど、雪女だと知ってしまったら、そこで、人間を取るか、妻を取るか、選択を迫られたんだと思うんです。既に村人が殺されていて、人間の社会に妖怪が混ざれば、どうしても諍いが起きて事件が起きてしまう。人間を守る為には、妻を追ってはダメだけど、でも、自分の妻だし愛しているから、人類を守るか、自分の愛を守るか、悩んで、直ぐに追えなかったこともあると思いました。

 

今、この昔話を美しい映画で観せられると、考え深いなぁと思いました。映画は、とても美しい日本の風景を収めているし、人の描き方もとても丁寧だなと思いました。あのピッとした感じの、芯が通った美しさは、日本ならではですよね。ステキだなって思いました。

 

 

私は、この映画、お薦めしたいと思います。ちょっと古い映画や、時代劇的なモノが好きな方の方が良いかなと思います。現代劇では無いので(現代に近い時代を描いているけど。)、夫婦で仲良く慣れ合っているというような雰囲気ではありません。でも、美しさと響きは、日本ならではかなと思いました。ぜひ、観に行ってみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

雪女    http://2016.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=29