東京国際映画祭 2016 の4作目は、「シェッド・スキン・パパ」(コンペティション)を観てきました。
ストーリーは、
挫折した映画監督の男が借金と離婚問題に悩んでいる中、老いた父は脱皮して若返っている?奇想天外な展開から、やがて香港の歴史と愛の物語が浮かび上がる感動コメディー。
というお話です。
経営していた映画会社を潰してしまい、借金に苦しむ映画監督のティエン・リッハンは、映画監督の仕事も上手く行かず、妻に離婚届を突き付けられ、サインをするようにと迫られています。全てが上手く行かないリッハン。そもそも母親が亡くなり、父親のヤッホンのアルツハイマー病が進んでしまったことがあり、仕事以外の仕事が増えてしまったことも彼の負担になっているんです。
もう、ダメだと諦めそうになった時、何故か、父親が動かなくなっているのを見つける。驚いたリッハンは、父親を抱き起そうとすると、それは父親の抜け殻で、脱皮をした父親が若返って現れます。はぁ?と驚いていると、元気になった父親は、アルツハイマーも治っている様子。
ヤッホンは元気になり、やりたい事を勝手にやり始め、リッハンは、そんな父親に付き合って行動し、話し合う内に、自分が知らなかった父親の思いや、母親との馴れ初め、小さい頃に可愛がってもらった自分の姿を思い出し、自分がどれだけ愛されていたのかと言う事を実感し始める。
そんな感動をしているところに、借金取りや、離婚を迫ってくる妻、浮気した相手が現れ、リッハンは追い詰められていくのだが、1日経つごとに、父親は一枚づつ脱皮して行き、1回の脱皮で10歳ほど若返って行く。自分より若くなった父親を前に、リッハンは呆然とし・・・。後は、映画を観てくださいね。
この映画、面白いなぁ。脱皮するって、何なんですか。もう、最高でした。何が笑ったかと言うと、もちろん、ヤッホンとリッハンの噛み合わない会話も最高なのですが、なんたって、脱皮した皮を、捨てる捨てないで騒いで、それを捨てたり、しまい込んだりと訳が分からないんです。それに脱いだ皮、結構、生々しくて、中から出てきたヤッホンは、ちょっとネトネトしているの。あの、ほら、エイリアンが卵から孵った時みたいかな。もう、笑えるんですよ。
でね、最初、アルツハイマーでメチャクチャな父親なのに、どんどんしっかりして行って、若い青年にまでなるんだけど、それでも、何となく、頭のねじが外れているような感じのヤッホンが可愛くて笑えるんです。彼、面白いよねぇ。
これ、舞台の脚本だったそうで、日本人の佃 典彦さんが原作を書いたらしいんです。それをロイ・シートウ監督と共同で脚本にして、映画化したそうで、良く出来ていました。シートウ監督は、舞台演出家として有名な方だそうで、映画の中でも、舞台っぽい演出も使っていて、何となく、アットホーム的な雰囲気に溢れていてステキでした。温かくなるような感じなんです。
いや、もう、この映画は、難しい事を話しているよりも、観て、笑ってもらうのが一番だと思いました。これは面白いです。脱皮する父親って、気に入ったなぁ。女性が脱皮して美しくなるとか言うと、整形?とかそんなイメージがあるけど、父親が、ただ脱皮して若返って、アホな事を話し始めるって、トンデモナイでしょ。美しくなる訳でもなく、そのまま若くなるって、なんか意味があんのかって、ツッコミたくなって、大笑い出来ますよ。
私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。これは、公開して欲しい。いや、ぜひぜひして欲しい!無駄な恋愛映画を観せられるより、よっぽどお勧めです。ぜひ、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
シェッド・スキン・パパ http://2016.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=25
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