東京国際映画祭 2016 の3本目は、「7分間」(コンペティション)を観ました。
ストーリーは、
リストラ計画が進行する繊維工場。様々な背景と事情を持つ女性労働者たちは結束して交渉にあたるが、工場側は奇妙な提案を出してくる。受け入れることはたやすいと思われるこの条件に、労働者のリーダー格の女性が異を唱え、場は荒れていく…。
というお話です。
ある繊維工場が、海外の企業に売却され、新しい経営者が来るという。会社は、新しい経営体系になり、従業員のリストラ計画が進行しているという噂が流れる。従業員たちは、自分の明日が解らず、不安になるのだが、工場側は、リストラはせずに、新しい雇用形態を提示し、それを受け入れて欲しいと申し出てきた。
その提案とは、今までとほとんど同じ雇用形態とし、1点だけ、休み時間を7分間短くして欲しいというものでした。この7分間の短縮の提案に対して、従業員の代表として、11人の女性が選ばれ、会議室での議論を始めます。たった7分間、されど7分間。月にすると何時間、年間だと何時間になり、給料がいくら減るという計算をし、リストラされるくらいならその位はガマンするという人々と、それだけでも経営者に屈してはいけないという人々が対立し、どちらの考えを経営者に提示するか、揉めに揉めて、時間が経って行く。そして・・・。後は、映画を観てくださいね。
昔の映画で「12人の怒れる男」というのがあって、日本では三谷幸喜さんが「12人の優しい日本人」という脚本を書いて映画化されたのですが、どちらも密室劇で素晴らしい内容なんですよ。それの女性版という感じがしました。部屋の中で、議論をしているだけなんですが、その中で、すごい葛藤があるんです。
最初は、たかが7分間と思っているんだけど、議長のビアンカの言葉によって、その7分間という時間に、自分たちの何が入っているのかを感じて行くんです。時間の問題だけじゃなく、その時間を譲歩することが、自分たちのプライドや、これからの人生、夫の事、子供の事、移民してきてここで働いている人々は自分たちの人種の事、今後の立場などなど、本当に沢山の事が、この7分に入っていると言う事に気が付き始めるんです。
たかが7分なんだけど、一度、それを譲歩してしまうと、今後、何かあった時に、また足元を見られて、これはカット、これもカットと、会社側の言いなりになってしまう恐れも出てくる訳ですよね。でも、もし、この7分を譲れないと言ってしまったら、もしかしたら、仕事を無くしてしまうかも知れない。その7分の為に、何人かリストラをしますと言われて、自分がリストラリストに載ってしまったらと思うと、恐くて出来ないんです。
それぞれの生活状況や人種、年齢、考え方など、全く違う人々が入り混じり、それぞれの考えをぶつけて行く姿に震えました。本当に良かったです。
これ、面白いのが、議論する11人も女性なんですが、新しく会社のオーナーとなる人物も女性なんです。どちらも女性であり、働きながら子供を育て、パワフルに動いている女性であり、前経営者の男性から、この新しい女性経営者に変わり、従業員の代表も女性というところが、今、イタリアでも女性の力が前に出てきているんだなと言う事が解ります。嬉しいな。
女性の男性と違うところは、考え方がグローバルなんだと思うんです。男性って、その仕事に対しては猪突猛進型で必死でやるかも知れないけど、女性だと、ちょっと引いて大きな視点で観れるんだと思うんです。それは、家庭を持っているから。いつも頭の中に、子供の事や親の事、夫の事、家の事などを残しておいて、その上で仕事をしているので、周りが良く見えると思うんです。だから、マーケティングなどは、女性の視点の方が成功すると思うんだけどね。ま、日本では、まだまだ女性が認めて貰うのは難しいとは思うけど頑張らないと。
私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。出来れば、これ、”12人の怒れる男””12人の優しい日本人”と合わせて観て貰えたら嬉しいなぁ。この映画を観て、後からDVDで観て貰えれば、何となくしっくり行くような気がします。日本公開は、まだ決まっていないけど、これは公開して欲しいな。ぜひ、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
7分間 http://2016.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=1
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