東京国際映画祭 2016 の2本目は、「サーミ・ブラッド」(コンペティション)を観ました。
ストーリーは、
1930年代、スウェーデン北部の山間部で暮らすサーミ族は、劣等民族とみなされ差別的な扱いを受けていた。従属を拒んだ少女は、運命を変えようと決意する…。
というお話です。
14歳のエレ・マリャは、トナカイ飼育を行うサーム族の少女。トナカイの放牧を行っている母親から離れ、妹と二人で寄宿舎に入れられています。学校では、スウェーデン人としての教育をされ、言葉もスウェーデン語を教えられるのですが、彼らには独特の言葉があります。なぜ、無理やりに新しい言葉や教育をされるのか、不思議に思っていたマリャでした。
寄宿舎の周りの人々に会うと、いつも冷たい目で見られ、バカにされ、酷い暴言を吐かれることに嫌気がさしたマリャは、学校を抜け出して、サーミ族の衣装を隠し、こっそりパーティーに参加します。そこで、普通の幸せを知り、サーミ族とは決別したいと考え始めます。そして、寄宿舎の先生に、進学をしたいと申し出て、地域から出たいと言うのですが、先生は、サーミ族は劣等民族なので、外に出ると他の人々に能力が追い付いて行かない事が統計で判っているから、進学も外に出ていくことも出来ないと言われてしまいます。
自分には出来るはずだと思ったマリャは、一人、寄宿舎を抜け出して、新しい自分として生きて行こうと、都市に向かう列車に乗り込むのですが・・・。後は、映画を観てくださいね。
サーミ族と呼ばれるラップ人が、これ程、差別されているとは知りませんでした。酷いですね。日本で言うと、アイヌ民族的な感じかしら。日本でも、昔、アイヌの方々も、随分、差別を受けたようですが、今は、彼らが大切な人々だって判っているし、独自の文化を持っている方々なのだから、大切にしてかなければね。
今でも、サーミ族の人々に対しての差別は少し残っているようで、苦労をされているようです。この差別、いつ、自分の身に起こるか分からないでしょ。戦争になったりして、自分が難民になったら、行った先では、自分は異国から来た人間になる訳だから、酷い差別を受けるかも知れません。そんなことを思って、監督は、この作品を作ったそうです。
差別って、いつの時代、どんな場所でも、無くならないのよね。これって、一種のイジメだから、無くならないのよ。自分が優位に立っているという気持ちが無いと不安になってしまう人間って、結構多いのよね。そういう人間って、自分に自信が無いから、誰か低い人間と比べて安心感を得ているのであって、心が病んでいる訳なんだけど、それを責めても仕方ないからねぇ。差別やイジメをする人は病気なんだって認識されるようになれば、随分、無くなるんだと思うんだけどね。
この映画、まぁ、お薦めしても良いかな。ちょっと暗い内容なので、スッキリという訳には行かないので、誰にでもお薦めっていう気持ちにはなれませんが、主人公の女の子がプクッとしていてかわいいので、良いと思いますよ。日本公開は、どうかなぁ。難しいかなぁ。もし、公開されたら、ぜひ、観てみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
サーミ・ブラッド http://2016.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=23