東京国際映画祭 2016 の1本目は、「ノクトラマ/夜行少年たち」(ワールド・フォーカス)を観ました。
ストーリーは、
ある計画に沿うように、青年たちが分散してパリの街を移動する。次々にメトロを乗り換え、それぞれの目的へと向かう。陽が落ち、若者たちは閉店後のデパートに集結する。長い夜が待っている…。
というお話です。
パリの街を時計をチェックしながら進む何人もの少年たち。ある者はホテルに、ある者は大使館に、それぞれに何か荷物を持って動いていきます。そしてまた、ひと所に集まり始め、最後は閉店後のデパートの集まります。
彼らは同時多発テロを計画しており、その理由は明かされず、それが実行されることとなります。そして、いくつもの爆発が起こり犠牲者が出るのですが、彼らは、気にしながらもデパートの中を物色し始め、好き勝手に行動を始めます。
豪華な食事を用意し、展示してある洋服などを身に着け、ベッドに寝転がりくつろぎます。明日の朝までデパートに潜んで、開店と同時に外に出て行く計画だったのですが、テレビをつけるとデパートに不審者が立てこもっているらしいというニュースが流れてきて・・・。後は、映画を観て下さいね。
この映画は、パリのテロが起こる前に構想されていて、図らずもパリのテロ事件を予見してしまったと話題になった映画です。少年たちが、バタバタとテロを起こし、その後、まるで学校から帰ってきたように、デパートで友人たちと楽しみ、食事をし、お風呂に入り、睡眠をとる。そんな姿を描きながらも、彼らが、デパートの外で悪質なテロを起こしてきて、犠牲者が出ているという現実があるんです。
何故テロを起こしたという事は一切描かれず、どんな人々が、どうやってテロを行ったのか、そして、テロを起こした後に、どうだったのかという事が描かれているんです。これ、結構、衝撃的でした。だって、すごいテロを起こしたのが子供たちであり、沢山の人々が死んでいるのを横目に、デパートで美味しいワインを飲み、ブランドの洋服を纏い、お風呂に入り、展示してあるベッドで寛いでいるんです。そう、何処にでもいる、普通の子供たちがテロを起こしたんです。特別に訓練されたのでもなく、特別な宗教に入っていた訳でも無い、何かに不満のある子供たちがやったんです。恐ろしいでしょ。
そんな世界の恐ろしさを描いている作品で、考えれば考えるほど、恐くなる内容でした。観た後すぐには、この恐さはそれ程無いんですけど、色々考えていくと、もしかしたら、ある日、自分がテロを起こす方に回っているかもなんて思ってしまうんです。
私は、この映画、お薦めしたいのですが、日本公開、あるかなぁ。微妙だと思っています。この恐さは、解らない人の方が多いかも知れない、いや、解ってくれるかも知れない。解ると、すごく怖いです。まだ、TIFF2016で上映があると思うけど、もし、公開されたら、ぜひ、観てみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
ノクトラマ/夜行少年たち http://2016.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=137