舞台「るつぼ」を観てきました。
ストーリーは、
17世紀、マサチューセッツ州セイラム。ある晩、戒律で禁じられた魔術的な「踊り」を踊る少女たちが森の中で目撃される。その中の一人は原因不明の昏睡状態に。これは魔法の力か? 悪魔の呪いか? セイラムを不穏な噂が駆け巡るが、少女アビゲイル(黒木 華)は「ただ踊っていただけ」と主張する。彼女の真の目的は農夫プロクター(堤 真一)の妻エリザベス(松雪泰子)を呪い殺すことにあった。
雇い人だったアビゲイルと一夜の過ちを犯したプロクターは罪の意識に苛まれ、以後、彼女を拒絶していたのだ。プロクターに執着するアビゲイルは、敬虔なエリザベスを〈魔女〉として告発。アビゲイルに煽られ、周囲の少女たちも悪魔に取り憑かれたように次々と〈魔女〉を告発していく。大人たちの欲と思惑もからみ合い、魔女裁判は告発合戦のごとく異様な様相を呈していった。
悪魔祓いのためセイラムに呼ばれた牧師ヘイル(溝端淳平)は、自身が信じる正義のありかが揺らぎ始め─。
というお話です。
女って恐いっていう、典型的なお話ですよね。今で言う、電車で”痴漢です!”って女子高生が騒いで、罪の無い男性を血祭りにあげるのと一緒です。自分は無垢な少女だって顔をしながら、悪魔の考えが頭の中を巡っている。女って、そうなんですよ。早熟な子は、小学生くらいでも、十分に悪知恵が働くんです。自分がそうだったから解るんです。だから私は、どんなに子供でも、疑ってかかりますけどね。(笑)
子供や少女がつく嘘は、ほとんどが自分を守る為の嘘なので、分かり易いはずなんです。それでも、その無垢そうな容姿に騙されてしまうんですよね。この物語の中でも、外から見ていると、誰がどう見ても、おかしいのは少女たちなのに、当事者たちは何故か気が付かないんです。その中に入ってしまっているし、周りを気にし過ぎて、本当の事が見えなくなってしまう典型的な例でした。だって、森の中で儀式のような事をしながら踊っていたのは少女たちなんですよ。それなのに、何故か、彼女たちが告発する方に回ってしまう。どう考えてもおかしいでしょ。
シンプルに考えれば考えるほど、真実が見えてくるはずなのに、少女の”悪魔を見た”という言葉に惑わされて、彼女らが神の側であり、周りにいる女性たちが魔女として突き出されてしまう。おかしいでしょ。どう考えても、儀式してるその子たちが悪魔でしょ。もぉ~、あまりにも無能な裁判官や牧師に腹が立ちました。
そんな女たちに追い詰められていく農夫のプロクター。彼は、まぁ、良く居る普通の男性です。若い女の子が気になり手を出しちゃったけど、後から失敗したことに気が付き、取り返しがつかなくなって行く、典型的なアホ男って感じかしら。若い子が良ければ、行くとこまで行くつもりで手を付けなくちゃ。もちろん、お金持ちじゃなきゃ、女の子はいつまでも付いて来てくれませんよ。覚悟が足りなさ過ぎるのよねぇ。アホだなぁと思っちゃいました。
アーサー・ミラーは、アメリカで実際に起きたセイラム魔女裁判を元に小説にしたもので、本当に、200人近い村人が魔女として告発されて、25人くらいが死んだらしいです。集団ヒステリーだったようで、みんなで異常な行動をし始めたりして、悪魔つきと診断されたところから、おかしな方向に行ってしまったようですね。全く、恐怖に支配されてしまったら、真実が見えないっつーの。
話としては、面白いと思いました。アーサー・ミラーの小説が原作だし、演出がイギリスの方なので、ちょっと、いつも見ている雰囲気と違って、不思議な世界が楽しめます。私は気に入ったのですが、これ、出来れば、聖書用語などを知っている人の方が、分かり易いかな。旧約聖書の十戒や、ピラト、ラファエル、ルシファーなどの名前も出てくるし、海外モノを見る時は、聖書の知識って必要になってきますよね。
私は、この舞台、お薦めしたいと思います。不思議な精神世界で狂っていく人々の姿を見る事が出来て、面白いですよ。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「るつぼ」 http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/16_rutsubo.html
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