「淵に立つ」一人の男によって家族が壊されて行くのだが、元々ここに家族があったのかと疑問になる。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「淵に立つ」を観てきました。

 

ストーリーは、

下町で小さな金属加工工場を営みながら平穏な暮らしを送っていた夫婦とその娘の前に、夫の昔の知人である前科者の男が現われる。奇妙な共同生活を送りはじめる彼らだったが、やがて男は残酷な爪痕を残して姿を消す。8年後、夫婦は皮肉な巡り合わせから男の消息をつかむ。しかし、そのことによって夫婦が互いに心の奥底に抱えてきた秘密があぶり出されていく。

というお話です。

 

 

下町の小さな金属加工工場を営んでいた利雄の前に、若い頃に友人だった八坂が訪ねてくる。懐かしがる利雄なのだが、八坂は前科を持っており、実は、その事件に利雄も関わっていたのだ。利雄は、妻と娘と幸せに暮らしており、ある事件で服役していた八坂は、出所したばかりで、働く場所も無く、流れて来たのだった。利雄に少しの間で良いので雇って欲しいという八坂を断れずに、工場で住み込みで雇う事になる。

 

 

八坂は、とてもキッチリしている性格でインテリであり、妻の章江も、最初は嫌がっていたのですが、段々と、心を許していきます。工場での仕事も覚え、段々と妻の章江との距離が縮まり、娘の蛍も八坂に懐いていきます。

 

利雄は、昔の事件の事を妻に話して欲しくないため、八坂にあまり強く言えません。しかし、妻や娘と近づいていくのを、あまり良く思ってはいないように見えます。しかし八坂を止める手立ても無く、家族の中に不和が広がって行きます。そんなある日、娘が頭に怪我を負ってしまいます。驚く利雄と章江ですが、娘に怪我をさせたのは八坂らしいと言う事が判り、驚き、問い詰めようと八坂を探すのですが、八坂の姿はすでにありません。

 

 

それから8年。娘の蛍は、頭への怪我で身障者となってしまい、車椅子の生活になってしまっていました。そして章江はずーっと蛍の看病をしながら、八坂に心を許してしまった事をくやんでいます。利雄も、自分が八坂を家に入れてしまったからだと悔やんでおり、家族はバラバラになっていました。

 

 

ある日、工場の従業員が辞める事になり、新入社員が入ってきます。蛍と同じ年齢くらいの青年であり、仕事を覚えて、勤勉に働く子でした。利雄も気に入って、色々な仕事を覚えさせ、これからという時に、青年・孝司の持ち物を見てしまうと、そこに八坂の写真が入っています。え!と思い、孝司に尋ねると、母親がこの人が父親だと教えてくれたと話します。孝司は会ったことが無いようで、八坂を探していると言うんです。驚いた利雄は、孝司に何も話さずに、一緒に探させて欲しいと話します。そして・・・。後は、映画を観てくださいね。

 

 

この映画、恐かった・・・。ホラーとか、スプラッターとかではないけど、突然に現れる八坂の雰囲気と、それによりおかしくなって行く家族の姿が、とても怖いんです。最初から、家族なんて、ここに在ったのかしらと思ってしまうほど、家族はバラバラであり、でも、それが現実なんだと解ってきて、その現実が恐いんです。

 

八坂って、不気味ではあるんだけど、慣れて行くと、とても礼儀正しいし、オルガンが弾けたり、子供に優しかったりして、とっても良い男に見えてくるんです。その奥底に、何かを抱えていたとしても見えなくなって行く。これ、良くありますよね。最初は疑っているんだけど、段々と慣れさせられて、安心してしまうって事。やっぱり、身元が判っていないなら、どこかで一線を引いておかないと自分の首を絞める事になってしまう。気を付けましょうね。

 

 

それにしても、後味が悪い映画でした。翌々後から考えて見ると、誰もが悪くて、誰もが悪くないんですよね。八坂は不気味だけど、彼は、利雄とかが一緒に事件を起こしたにも関わらず、それを言わないで一人で罪を被った訳で、それで利雄を恨むのは解らないでもない。

 

利雄は、八坂のおかげで逃げおおせて、今はしあわせな家庭を持っている。だけど、夫婦の仲は空気のようになってしまっていて、本当に家族で幸せなのか良く解らない。章江は利雄との結婚生活に不満は無いけど、でも突然現れた夫とは違う男性に惹かれて行く。うーん、良く在りそうだよね。

 

 

私は、この映画、お薦めしたいと思います。でも、終わった後、とても後味が悪いです。映画としては、面白いと思ったし、なんか、こんな風な気持ちにさせる映画を作るなんてスゴイなって思いましたが、一般の方が、娯楽として楽しみに観るものではないような気がしました。だって、気分悪いもん。でも、面白いんですよ。不思議でしょ。ぜひ、観に行ってみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

淵に立つ|映画情報のぴあ映画生活

 

 

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