「ぼくのおじさん」の完成披露試写会に行ってきました。親子試写会として招待された方々も多かったようで、親子で観に来ていて楽しそうでした。
ストーリーは、
「自分のまわりにいる大人について」というテーマで学校の作文コンクールの宿題を課せられた小学生のぼく=春山雪男は、居候の「おじさん」を題材に作文を書くことにした。おじさんは大学の臨時講師で哲学を教えているせいか、屁理屈をこね、時には雪男をダシに母からお小遣いをもらい、万年床でマンガばかり読んでいる。そんなおじさんに見合いの話が持ち上がる。相手はハワイの日系4世で、絶世の美女・稲葉エリー。見合いに消極的だったおじさんはエリーに一目ぼれ。しかし、祖母が経営するコーヒー農園を継ぐためエリーはハワイへ帰ってしまう。エリーに会いたい一心で、おじさんはハワイへ行く作戦をあれこれと練り出すが……。
というお話です。
ぼく(雪男)は、学校の宿題で「自分のまわりにいる大人について」という作文を書かなければならなくなりました。周りの大人と言っても、お父さんは公務員、お母さんは専業主婦、妹は大人じゃないし、ただ一人、大人だけど変わっている”おじさん”(お父さんの弟)が一緒に住んでいるので、おじさんについて書こうと思います。
おじさんは大学の非常勤講師で哲学を教えているのですが、仕事は週に1日しかなく、とても貧乏みたい。ぼくの家に居候していて、猫のニャムと一緒に寝ていることが多い。時々、ぼくと散歩に行くとか言って、お母さんにお小遣いをねだり、屁理屈を言ってぼくに漫画を買わせて大笑いしながら読んでいる。
あまりに”ぐーたら”なおじさんを見て、お母さんがお見合い写真を見せるのですが、文句ばかり言ってお見合いをする気がありません。それならと、せっかちな智子伯母さんに頼まれた見合いを無理やりに進めて、相手と会うために写真展に行ってこいと言われてしまいます。そしておじさんとぼくは、智子伯母さんの画廊でやっている写真展に行きます。
写真展で見合い相手のエリーさんと出会い、エリーさんの美しさに惹かれてしまうおじさん。エリーさんは、ハワイで生まれ育った日系4世。写真家として写真展を開いたのですが、ハワイに帰って、コーヒー農園を継ぐつもりだと話します。おじさんは舞い上がって、ある事無い事嘘をつき、ハワイに近々行く事になると思うと話してしまいます。
エリーさんに会いに行きたいけどお金がないおじさん。ぼくは、働けばすぐに稼げるよと言うのですが、哲学者としてバイトをするのは許せないらしく、ある事をしてハワイ旅行を当てようとします。しかし当たる訳もなく落ち込んでいると、雪男が作文コンクールで入賞し、景品のハワイ旅行を貰って、おじさんと雪男で行く事になります。
ハワイに着いた2人はエリーさんに連絡を取るのですが・・・。後は、映画を観てくださいね。
この映画、最高でしたっ!!もー、何々、なんでこんなに面白いのっ!あまりに面白くて、声を出して、大笑いしながら観てしまいました。もちろん、内容も素晴らしいのですが、その描き方が素晴らしいっ!山下監督!凄いですっ!
何が凄いって、子供の表情が何とも言えないんです。おじさんは、本当に良くいるようなぐーたらな大人なのですが、その大人が適当な嘘をついて、雪男は全部解っているけど、それをあえてツッコまないで、受け止めてあげているのが、何とも良い表情なんです。そうなのよねぇ。子供って、大人の嘘を全部解っているのよね。それでいて、知らない振りをしてくれたり、慰めてくれたり、結構、大人よりも子供の方が気を使っていたりするんです。この映画だと、それが良く判るんですよ。
でね、今回、親子で来ている方が多くて、子供の反応が凄く良かったんです。ちゃんと大人と同じところで大笑いしているの。そうです、子供たちも、大人のそんな態度や表情を観て、嘘を認識して、子供が譲歩してあげているのを解って笑っているんです。スゴイでしょ。ちゃんと子供も映画を解っているんですよ。これ、凄いと思いました。大人も子供も、同じ部分で笑えるって、ステキな映画だと思いませんか?大人向けの映画だと、ワザと難しく描いたりして、ワザとらしく見えたりして、子供は素直だから、ワザとらしい部分では喜ばないでしょ。だけど、この映画だと、大人も子供も同じ部分で楽しんでいるんです。とってもシンプルで解り易く、本当に面白いんだと思いました。
だから、なんだか、観ていて嬉しくなっちゃった。子供が楽しめる映画って大好き。そりゃ、難しい映画も好きだけど、でも、親子で楽しめる、家族で楽しめる映画って良いよね。最近は、サザエさんも面白くなくて子供は観ないでしょ。アニメ以外で子供と一緒に楽しめる映画って、ほとんど無いもんね。ファンタジーくらいでしょ。
なんか、また書いちゃうけど、シリーズ化して欲しい。これ「どくとるマンボウ」の北杜夫さんの児童文学でしょ。面白いよねぇ。今回、キャストがピッタリでお腹抱えて笑えましたよ。松田さん、最高のおじさんです。あんた、哲学者と言えば何でも許されると思ってんでしょって感じで、飄々としていて、イイのよねぇ。もう、思い出しただけで笑っちゃう。雪男も可愛かったな。あの表情がサイコーです。
この映画、私は、超!超!超!お薦めしたいと思います。これ、子供がいる方は、ぜひ、一緒に観に行くと、子供の笑い具合で、どのくらい大人の嘘が見抜かれているか分かります。ほとんど笑っていたら、あまり嘘をついて誤魔化すのは辞めた方が良いですよ。(笑)観た後に、お子さんとゆっくり話すと、子供の優しさが解って、ちょっと抱きしめたくなるかも。きっと、あなたの嘘も許してくれていると思いますよ。だって、家族だもんね。そんな風に思える映画でした。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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