舞台「DISGRACED 恥辱」を観てきました。
ストーリーは、
ニューヨークの高級アパートメントに暮らすアミールは、パキスタン系アメリカ人。企業専門の弁護士事務所に所属する優秀な弁護士だ。妻のエミリーは白人の画家。
ある日、アミールの甥エイブが訪ねてくる。エイブは、自分たちの指導者が逮捕されたので助けて欲しいと訴えに来たのだ。アミールは、イスラム教の教えを推し進めようとする指導者に付いているエイブを迷惑がっていたが、妻のエミリーはエイブを可愛がっていて、アミールとエイブを繋げようとしています。この件も、アミールは助けられないと突っぱねるのですが、エミリーは助けるべきだと主張し、結局、アミールは審問に立ち会い、人生の歯車が狂いだします。
ある夜、アミールと同じ事務所で働く黒人弁護士ジョリーと、その夫でホイットニー美術館のキュレーターであるユダヤ人のアイザックが訪ねてくる。画家であるエミリーの作品がホイットニー美術館に展示されるお祝いのホームパーティだった。誰もが、成功を掴んだと思っていた。しかし、最後に掴んだものは・・・。
というお話です。
この作品、とても良く出来ているのですが、イスラム系のアミール&白人のエミリー&ユダヤ人のアイザック&黒人のジョリーと、アメリカの縮図が、この4人で描かれているんです。エミリーが俗に言う普通のアメリカ人、アイザックがアメリカの経済を支えているというユダヤ人、奴隷としてアメリカに入り人権を得た黒人系のジョリー、そしてテロで問題となっているイスラム系移民のアミール。この4人が同じ部屋の中にいて、問題が起きない訳が無い。だって、アメリカの中に、この4種類の人々が居るから問題が起きているんだから。
アミールは、パキスタンから移民した両親から産まれたアメリカ人。子供の頃からイスラム教の教えを受けていましたが、アメリカで育ったアミールはそれが嫌でイスラム教を捨てました。しかし親族は、まだイスラム教なんです。自分はイスラムを捨てていても、親族は頼ってくるので、結局、イスラムと手を切る事が出来ないんです。
この4人だと、エミリーは、優越感も劣等感も無く、とても自分に素直に生きているように思えます。他の3人は、それぞれ劣等感を持っていて、自分より低い人種を見下しているという感じに思えたんです。見下すことで自分を保っているという感じかな。その底辺がアミール、イスラム系という事なんじゃないかな。今の時代、やっぱりテロとかで、中東イスラムは、誰もが警戒しているし、何をするか分からないと思われているんじゃないかな。イスラムと言っても、テロを行っている人達とは全く違うのに、その違いは伝わらないんです。
アミールは、自分はアメリカ人なのにパキスタン人の家系でイスラム教の親族が居るという事でずーっと損をしてきたけれども、今までの努力を認められてきたし、今度の仕事が上手く行けば、きっと出世の道が開けると思っていたんです。だけど、簡単に上手くは行かない。
この話、そうだろうなぁと思ったのですが、私、先日、民進党の党首選挙で蓮舫さんが党首になったでしょ。彼女は台湾人ですよね。戸籍も台湾にあって、今回の選挙でやっと日本籍にしたのかな。それを聞いていて、やっぱり日本人じゃない人が党首になったら、恐くて票は入れられないと思いました。差別をする訳では無いけど、もし、台湾と戦争になったら、彼女はどちらに着くのかな。日本人だから日本人として戦いますとか言ってくれるのかしら。党首という事は、日本の中枢を動かす人になり得る訳で、それを外国人にさせるというのは、あり得ないと思いました。どんなに日本人だと言われても恐いです。
それと同じように、アメリカ人だって、アミールがいくらアメリカ生まれでイスラムは捨てたと言っても、恐いのだと思います。もし、アミールも差別をされたくなければ、パキスタンに戻って仕事をすれば、今度は差別する側になる訳だから、同じ事をする方になるでしょ。そうした方が良いんじゃないの?
と、こんな事を思ってしまうのはイケない事なんでしょうか。この舞台を観て、人種差別は良く無いけど無くならないということを感じて、自分の脳の中からも取り除けないということを認識しました。もちろん、友達として誰とでも仲良くしたいけど、それとは違うのよ。政治のことや、仕事の事はやっぱり違うのよ。人間に優劣を付ける訳じゃなく、ただ恐いんです。それが全てだと思います。
そんな事を考えさせてくれる舞台でした。私は、この舞台、お薦めしたいと思います。結構、頭に残りました。今も、まだ、時々、考えてしまうほどです。もう、公演は終わってしまったけど、また、再演される時は、ぜひ観てみて下さい。感動しますよ。
ぜひ、楽しんでくださいね。
DISGRACED -恥辱- http://www.disgraced-stage.com/