「ハイ・ライズ」を観てきました。
ストーリーは、
フロアごとに階級が分けられ、上層階へ行くにしたがい、富裕層となるという新築タワーマンション。このコンセプトを考案した建築家アンソニーの誘いで、マンションに住み始めた医師のロバートは、住民のワイルダーと知り合い、マンションの中で起こっている異常事態を知ることとなる。
というお話です。
医者で脳研究をしているロバート・ラングは、姉の死をきっかけに、郊外の大きなマンションに引越します。そのマンションは、高層マンションであり、上層階に行くにしたがい、富裕層が住むフロアとなる物だった。その最上階のペントハウスには、マンションの設計者である建築家・アンソニーが住んでおり、彼の誘いでロバートはここに越してきたのだ。
マンションでの生活を満喫し始めたある日、バルコニーでくつろいでいたロバートの上にビンが落ちてくる。25階に住んでいるロバートの一つ上の26階から落ちてきたもので、上階のシャーロットと知り合いになる。シャーロットと一緒に居たのはワイルダー。彼は、TV局に勤めて居るようで、住んでいるのは下層階であり、妻子も居るが、シャーロットと浮気をしていたようだ。

ロバートは、シャーロットとワイルダーと仲良くなり、マンションの色々な事を教わるのですが、そのマンションでは、高層階のセレブたちと、下層階の貧困層との確執があり、それぞれが牽制し合っている事を知らされます。
そのマンションは、マンションの中に全てが詰まっており、スーパーマーケットからプール、ジム、学校、など、何でもマンションの中で済ます事が出来るんです。そんなマンションで、ある日、停電が起こります。驚いた住民たちは、何故か、外に出る事も無く、内部の食糧などを取り合う事になります。彼らの意識の中では、マンションが一つの世界となってしまっているんです。

暴動の中、ワイルダーはその世界を支配しているのが建築家のアンソニーと認識し、彼を殺す為に上階へ登っていきます。そして、セレブ達は、そんなワイルダーを殺すべく、動き出します。アンソニーは、この狂った世界でワイルダーのみが狂っていない事を知り、ワイルダーを殺してはいけないとロバートに話すのですが・・・。後は、映画を観て下さいね。
これ、超解り難いよねぇ。美しいし、印象的なんだけど、何を描いているのかが、伝わってこないんです。うーん、だから、私の解釈を書かせて頂きますね。

アーキテクト(建築家)って、そこに住む人の生活を理解して住宅を作るべきなんだけど、このマンションは、マンションに住民が生活を合わせるように作られていて、高層階にはセレブが、下層階には貧困層が住んでいるんです。普通は、一つのマンションで、生活水準が違う人間を収容することは考えないんだけど、この建築家は、新しく、そういう構想を作り作ったようですね。ま、それが間違いなんだけど。で、その中のヒエラルキー(階層組織、身分制度)がぶつかって、崩壊して行くのを描いているんです。それにしては、解りにくいよねぇ。

この建築家は、偉そうに自分がペントハウスに住んでいるけど、本当は、一番最下層に住むべきなのよ。だって、設計したんだから、上から見下ろすのではなく、下から見上げて、住む人の生活を研究しないとね。そうでないと、住んでいる人の心の中は判らないから、次の建築に活かせないの。アホだなと思ったのは私だけかしら。下から見上げれば、相手は心を開いてくれる。それが建築家の正しい姿でしょ。勘違いした建築家が居て困るわよねぇ。
ここに住んでいる人々は、それぞれに素晴らしいマンションに住んだと言う事でプライドを持っているんだけど、マンションの中に入ると、そのヒエラルキーに押し潰されて、嫌な思いをしているんですよね。で、下の者は上の者を、上の者は下の者を迷惑だと思っている。だけど、外から見れば勝ち組なんだからと、ここから出て行こうとはしないんです。それぞれの見栄と虚栄心を満足させる為に、どんどん人間たちが狂って行く様子が、このマンションの中で展開されているのだと理解しました。人が死んでも警察が来ないって言っているので、きっと不思議な世界にマンションごと落ち込んでいるんでしょうね。

これSFと言っていたけど、今あることだよねぇ。アホな匠と呼ばれる建築家もどきが、偉そうにマンションとか住宅地を設計して、ここはランクの高い人が住むとか言っちゃうの。有名なのが”チバリーヒルズ”と呼ばれたところ。あんな郊外に住宅を作って誰が喜ぶんだ。マンションだって杭を抜かれている始末でしょ。西武の堤さんが逗子の山の上の土地をごっそり買って、自宅からヘリコプターで通っていたと言うけど、それこそがセレブでしょ。静かな土地に住みたきゃ、山を買えっつーの。ヘリで通えっつーの!私は平民なので、ちまちました駅近マンションで十分です。巣なんて小さくて十分。籠りたいもん。狭いとこ好き。

あ、映画に戻りますが、やっぱりトム様ステキねぇ。今回はヌード披露してくれているので、ステキなお尻が見れますよ。筋肉質な胸も最高です。ワイルダー役がルーク・エヴァンスなんだけど、ちょっと太ったかしら。やっぱりイイ男だったわぁ。今回は悪い奴で、ちょっと怖かったです。私は三銃士の時のアラミス役が最高だと思っているんですけどね。
建築物についてですが、このマンションのデザインだと日本では建たないだろうなぁ。この高さであのデザインは辛いっしょ。柱はそれなりに太かったし、邪魔なほど部屋に出ていたから、それなりに構造計算はしたぞーって言うんだろうけど、あれじゃ荷重が掛かり過ぎ。自重で沈んでいきそうに見えました。でも、こういうのって面白い。本当に作れるのかって考えるだけで、本当に楽しいです。

私は、この映画、まぁ、お薦めしちゃおうかな。でも、万人にはお薦め出来ません。全てに理屈を求める方には、理解するのは難しいかなと思います。不思議ちゃん達なんだねーって思える人は大丈夫かな。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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