中国現代映画特集で「河」を観てきました。
ストーリーは、
母親が妊娠し、離乳させられた少女 ヤンチェン・ラモは、お腹の子供に母親を取られたような気持ちになっていました。そして、父親が大切にしているお守りの石のおかげで子供が出来たと喜んでいる両親を横目に、その石が無ければ、母親を取られることも無かったし、石のせいだと思ったヤンチェン・ラモは、石をコッソリ、ネズミの穴に捨ててきてしまいます。

一方、ヤンチェン・ラモの父親のグルは、自分の父親が、僧侶として山に籠り、修行をしている事を良く思っておらず、家族でありながら、全く、様子見にも行かず、親族から良く思われていませんでした。グルは、心の中に、どうしても父親を許せない事があり、行くのを嫌がっていたんです。妻にお願いだから、捧げものを持って行って欲しいと懇願し、仕方なく、供えるものを持って、父親の修行する山の祠に向います。
というお話です。
家族でありながらも、どうしても許せないと言う事が出て来てしまい、2人の間に溝が出来、それが河となってしまうという事なのかなと思いました。
ヤンチェン・ラモは、両親に可愛がられて、幸せに暮らしていたのですが、母が妊娠して、お姉さんになるんだからと、乳離れをさせられ、自立を促されるんです。私は、一人っ子なので、この感覚を味わった事が無いのですが、兄弟が出来るとなると、みんな、同じような事を感じるんだろうなぁ。兄弟なんて産まれなければ、自分1人がちやほやされて、可愛がってもらえるって思いますもんね。
だから、ヤンチェン・ラモは、自分の兄弟を授けた”お守りの石”を隠して、出来れば、無かった事にしたかったのかなって思っちゃいました。
それとは違うけど、ヤンチェン・ラモの父親のグルは、自分の父親が、修行僧として、山の祠に籠って、修行をしている事に怒りを感じているんです。家族も居るのに、なんで全てを捨てて修行などをするのか、全く理解が出来ないようでした。グルの気持ちも解りますよね。だって、父親は、家長でしょ。家族を守って、家族を養うのが役目だと思われている、この地域で、勝手に修行に籠るのはアウトでしょ。そりゃ、家族は怒るわなぁ。
周りの親族は、そんな事、関係無いから、言いたいこと言って、グルを責めるけど、他人が家族の問題に口を出す権利は無いのにね。でも、やっぱり、親族付き合いとか、ご近所付き合いとかがあって、自分の家だけ修行僧に供え物をしないのは、常識外れだと言われるらしく、グルの妻が、困ってしまって、無理やり、グルに供え物を持って行かせるのですが、とても可哀想でした。
グルだって、父親が心底嫌いな訳では無く、家族を裏切ったという気持ちが強くなり、どうしても父親と和解出来ないんです。ま、でも、ヤンチェン・ラモのおかげで、良くなって行くんですけどね。

この映画、私は、まぁ、お薦めしても良いかなと思いました。ハッキリ言って、それほど面白い映画ではありませんが、チベット地方の遊牧民の生活が解るし、美しい平原が広がる大地の映像が素晴らしいので、そこら辺は、とっても感動出来ると思いますよ。これも、上映は無いと思うので、DVDで観てみて下さい。
ぜひ、楽しんでくださいね。