「秘密 THE TOP SECRET」の完成披露試写会に行って来ました。
ストーリーは、
死者の記憶を映像化し、犯罪捜査を行う科学警察研究所法医第九研究室、通称「第九」。室長・薪剛の指揮により、新人捜査官の青木一行らが、家族惨殺事件で死刑となった男の記憶を映像化した。しかし、男の脳内映像として映し出されたのは、事件以来行方不明となっていた男の娘・絹子が家族に刃物を振り上げる姿だった。
というお話です。
死人の脳に残る記憶を映像化し犯罪捜査を行う「科学警察研究所法医第九研究室」。新人捜査官として青木が配属され、ある事件を捜査することとなる。その捜査は、家族惨殺事件で死刑となった男・露口浩一の脳を見て、事件の真相を知る事だった。露口は脳科学者であり、家族全員を殺したとされ、母親、妻、次女を殺傷し、死体の頭を潰していた。長女のみ、死体が見つからず、捨てたと言っていたので、長女を探す為に脳を見る事になったのだ。
露口の脳をスキャンし、観てみると、そこには長女・絹子が家族全員を殺した場面が映し出され、その罪を露口が全て被って死刑になった事が判る。絹子を探して捕まえなければと騒ぐ青木だったが、既に露口の死刑は執行されており、冤罪だったとは警察は公表出来ない。そして、絹子がやったという証拠も無い。脳の映像は、証拠能力が無いからだ。
絹子がサイコパスである事は明らかで、このままでは、連続殺人が続いてしまうと思った第九の薪と青木は、刑事の眞鍋を使い、絹子の捜査を始める。すると、父親の死刑を待っていたように、絹子が姿を現し、警察に保護される。絹子に真実を話させようとするのだが、絹子の方が上手で、全く警察は手を出せない。
そんな時に日食が起こり、それと同時刻に何人もの男性が自殺をするという事件が起こる。どう見ても自殺なのだが、その1人が絹子と通じていて、その上、薪を狙っていた”貝沼”という男と、自殺者全てが繋がっていた事が脳捜査で判ってくる。サイコパスの絹子、そして薪を狙っていた連続殺人鬼・貝沼は、どう繋がっていたのか。そして、脳の捜査で見えてきた事は・・・。後は、映画を観て下さいね。
申し訳ない、私は、原作ファンなので、これ、ダメ出しさせて下さい。キャストは良いと思います。確かに、イメージに合っています。でもね、ストーリーがダメダメなんですよ。何で、絹子の話と貝沼の話を混ぜ込んで、その上、自殺の話も混ぜてしまったのかなぁ。これ、理解出来た人、少ないと思います。まして、第九の脳捜査の意味と危険さは、全く伝わっていないんです。簡単に、脳の記憶を読んで、捜査に使えばいいじゃんっていう訳じゃないんですよ。原作を読めば分かるけど、何処までも人の秘密を暴いてしまうことだから、プライバシーもへったくれも無いんです。それを、合法的にする為に、どれだけ第九の捜査員が苦労をして、立ち上げていくかって言う事もあるんです。だからね、全然、描けていないの。
こんな長い話を、１本の映画で作れる訳が無いんだから、脚本を作る時に、なんで、絹子の話ならそれだけ、第九を立ち上げる事を中心にするならそれだけ、貝沼と薪、鈴木、雪子の関係の話にするならそれだけ、とどれか一つに絞るべきだったと思うんだけどな。
どう考えても、収集が付かなくなるのは目に見えていたと思うんですけど。だって、何で薪がシャツの中にトックリ襟のシャツを着ていたのかという意味も説明が無かったし、青木の設定が変わっていたけど、変えたならもう少し説明するべきだったし、無駄な神経科医が出てきた意味も分からんし、刑事が居ても良いけど、何の意味も無かったでしょ。
絹子の話をやりたかったなら、父親との関係の設定を変えたらダメだと思うけど。あれ、変わってましたよね。原作では、元々、サイコパスじゃなかったハズなんですけど。それと、これ、言いたくないけど、絹子役の織田さん、印象的な目は分かるけど、セリフを話させちゃダメ。あまりにも酷くて棒読みでした。新人だから仕方ないというなら、どーせ記憶が無いとか言ってるんだから、話させないか、筆談や手話、又はいつも誰かに耳打ちして、それを言って貰うとか、考えれば良かったのに。映画が流れて行きません。
薪と鈴木と雪子の関係も、映画では、全く解りません。雪子が鈴木の婚約者だったとは言うけど、それ以上は、全く描がかれて無いので、何だったんだろうって思っちゃう。もちろん、鈴木と青木が似ている事も出てこないので、置いてけぼり状態でしたね。そうそう、薪が何度か倒れるんだけど、それも説明が無かったのよ。いつもの事ですとか言って、注射を打ってたから、この人、糖尿病なの？って思っちゃう。原作の設定は、薪は、天才で、自分を制御出来ないから、仕事を始めると止めどなくやってしまい、倒れてしまうんですけど、それも描かれていません。そして、薪は、いつも防弾チョッキを着ているハズなんだけど、そのくだりもありませんでした。
もっと書きたいことあるけど、最後に、この話の基本の脳内捜査なんですが、映画では、死人の脳をスキャンして、生きている人間の脳とシンクロさせて映像を映し出しているんですよね。原作では、生きている人間の脳とのシンクロはありません。何故なら、生きている人間の脳を通すと、その人の私感が入ってしまうからだと思うんです。直接、映し出せばよいと思うんだけど、何でかしら。脳と同じ電子信号組織なんて、今なら、AIだって出来る時代なんだから、出来ているでしょ。それを通す方が、よっぽど本当の映像が見れると思うんだけど。映像的には、脳の信号を見せてるよ～ってイメージを表したかったのかも知れませんが、これ、ダメでしょ。
スミマセン。原作ファンなだけに、熱くなってしまいました。私、この原作、大好きで、大切にしているので、今回は、目一杯、ダメ出しをさせて頂いてしまいました。何度も言いますが、キャストは良いので、とても期待していたんです。でも、脚本がダメだった。これは、原作ファンは怒るでしょ。そして、映画だけ観ても、理解出来ない人が多いと思います。原作の「秘密」が持っている独特の雰囲気が出せていないのが、とても残念でした。生田くんが薪なんだし、青木が岡田くんなんだから、もっと原作に近くて良かったんじゃないの？青木は、もっとおちゃめです。薪はミステリアスで動じ無くて、その上意地悪です。頭が良すぎて子供みたいな所があるキャラクターなので、それを生田くんにやって欲しかったな。
私は、この映画、ダメ出しをさせて頂きます。お薦めしたいけど、出来ません。もちろん、キャストのファンの方たちには、とっても楽しめると思いますよ。皆さん、超カッコいいし、ステキで、観ていて気持ちが良くなりますから。でも、話が全くダメなので、ゴメンナサイ。但し、私は、超！原作ファンです。原作を愛しているので、そうでない方とは、全く違う感想かも知れません。気になったら、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
P.S ： 頭を開いて脳を出すシーンなどがあるので、もし、そういうのがダメな方は気を付けて下さい。但し、全くスプラッターではありません。キレイです。
・秘密 THE TOP SECRET|映画情報のぴあ映画生活
- 秘密(トップ・シークレット) コミック 全12巻 完結セット (ジェッツコミックス)/白泉社
- ￥9,958
- Amazon.co.jp
- 秘密 season 0 1 (花とゆめCOMICSスペシャル)/白泉社
- ￥802
- Amazon.co.jp