「オマールの壁」を観てきました。
ストーリーは、
長きに渡る占領状態により、自由のない日々を送っているパレスチナの若者たち。パン職人のオマールは、監視塔からの銃弾を避けながら、分離壁の向こう側に住む恋人のもとへと通っていた。そんな日常を変えるため、オマールは仲間ともに立ち上がるが、イスラエル兵殺害容疑で捕えられ、秘密警察より拷問を受けることとなる。そこでオマールは、囚人として一生を終えるか、仲間を裏切りスパイになるかという究極ともいえる選択を迫られる。
というお話です。
イスラエルにより地域を分けられて、随分長くなるパレスチナ自治区。パン屋を営むオマールは、監視塔の目を潜り抜け、分離壁の向こう側に住んでいる恋人の所へ通っていました。いつまでも、壁を越えて会いに行かなければならない状態に耐えられず、オマールは、恋人の兄や幼馴染と共に立ち上がって、イスラエルと戦おうとするのですが、戦闘後、イスラエス兵殺害容疑で秘密警察に捉えられてしまいます。
オマールは、秘密警察に、一生、刑務所の中で過ごすか、イスラエルのスパイとして働くか、どちらかにしろと言われ、ずーっと拒んでいるのですが、恋人を拘束すると脅され、仕方なく、スパイとして働くことを選びます。秘密警察に解放され、パレスチナに戻るオマール。仲間たちは、解放されたオマールに、秘密を売ったから解放されたのかとか、スパイなんじゃないかなど疑いをかけられ、証拠が無かったし、口を割らなかったから解放されたのだと話します。
そして、元の仲間に戻ろうとするのですが、疑いが晴れた訳では無いので、以前のように信用されず、あまり情報を話してはくれません。オマールは、秘密警察にテロ行為を率先している男を引き渡すように言われているのですが、仲間を裏切るつもりは無く、秘密警察には、見つからないと誤魔化していました。しかし、それも限界があり、悩んだ挙句に、ボスである友人に秘密警察の事を告げて、逆に罠に嵌めてやろうと計画を立てます。
テロの実行の日、敵を欺いたと思っていたのですが、何故か計画がバレていて、またもオマールは捕まってしまいます。オマール以外にスパイが居る事が分かり、それを探って行くと、幼馴染の男が怪しいことが分かり、何故か、その男が、オマールの恋人の所に通っている姿を目撃します。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。
自分の国に住んでいるにも関わらず、こんなに息苦しい生活を押し付けられ、簡単に恋人にも会う事が出来ない。その上、幼馴染の事まで疑わなくちゃいけないなんて、そんなの生きていると言えるんだろうか。あまりにも酷い状況だと思いました。イスラエルの人達が、どんなに正当性を訴えていても、パレスチナの人達がこういう風に感じているんだったら、それはダメでしょ。
いつもユダヤ人側から見るものばかりが正しいような映画やドラマを観ているから、イスラム系の人が、酷いテロを行っているように見えていたけど、この映画を観ると、パレスチナに住むイスラム系の人は、ただ、自分たちの生活が守りたいだけなのに、イスラエルが無理やり管理して、言う事を聞かせようとするから、こういう事件が起こっているんじゃないかって思えてきます。
どちらにも言い分があって、その両方を聞かないと、本当のところは分かりませんよね。それって、どんな事でも同じだと思うんです。虐める方と虐められる方、どちらも言い分があるから、一方を悪いと決めつけてしまうのは間違っていると思いました。
だけどね、やっぱり、相手を脅して言う事を聞かせるとかって、汚いですよね。きれい事ばかりにしろとは言いませんが、この秘密警察のやっている事は、どう考えても、許せないと思いました。それは、ダメでしょ。そのせいで、オマールの人生が変わっちゃってるんだよ。それって、すごい罪でしょ。人殺しよりも、人の心だけを殺していて生殺しになっているから、とっても残酷なのよ。幼馴染までもが自分から離れていき、まして自分を陥れたって事を知ってしまったら、そりゃ、オマールも壊れるっしょ。マジでいい加減にしろって感じで、最後はどうなるのか、ドキドキでした。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。派手な映画では無いし、楽しめる映画とは言いにくいですが、今、イスラエルやパレスチナ自治区で、どんな事が起こっているのか。彼らの気持ちはどういう状態なのかということが、少しだけですが、解って来ると思います。そして、必ずどちらにも言い分があるのだと言う事を理解して欲しいなって思いました。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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