「ハロルドが笑うその日まで」を観てきました。
ストーリーは、
ノルウェーの街で40年以上にわたって小さな家具店を営み、クオリティの高い家具にこだわり続けてきたハロルド。ところがある日、店の目の前に家具販売チェーンIKEAの北欧最大店舗がオープンし、ハロルドの店は閉店に追い込まれてしまう。さらに愛する妻まで失い、怒りを募らせたハロルドは、IKEAの創業者カンプラードへの復讐を決意。カンプラードを誘拐するためスウェーデンのエルムフルトを目指す。途中で知り合った孤独な少女エバも加わり、誘拐計画を実行に移すが……。
というお話です。
この映画、解説をしようと思ったんだけど、上記のあらすじで、ほとんどが網羅されてしまっていて、これ以上細かく書けないので、省きますね。
老舗家具屋をやっていたハロルドが、IKEAの創業者・カンプラードを誘拐するんだけど、これ、すごく考えさせられる内容でした。確かに、古い物を大切にするのは重要なことだと思います。愛着をもって、大切にして、壊れたら直すってことを続けていれば、年期が入って、良い風合いになることもあると思います。
でもね、IKEAの考え方は、ちょっと違うんです。すぐ壊れるような家具でも良いという考えなの。購入した世代が使いきって、壊して、捨てれば、また、次の世代は、自分の好みの物を探すと言う事なんです。一緒に住んでいるからって、同じものが好きとは限らないでしょ。親が好きな家具を購入して、それをずーっと使い続けて、子供にまで押し付けるべきなんだろうかって事なのよ。

その時代時代によって、暮らし方は変わって行く訳だし、流行りも変わる。一昔前は、TVだってブラウン管だったのに、今は薄型でしょ。それも、特大になっている。その上、サウンドまでも良くなっているから、スピーカーの位置まで考えなくちゃいけなくなる。そうなってくると、古い家具を使おうと思っても、高さから大きさから、全く合わなくなってくるじゃないですか。古い物は良いけど、生活に合わなくなったら、捨てるしかないよね。
それは、人間にだって言える事。いつまでも、年寄りが昔の考え方を振りかざして、若い人間を糾弾しているのはおかしいと思うんです。でも、若い人だって考えて欲しいのは、年寄りは、それなりに沢山の経験をしてきているんだから、全てが間違っている事では無いんです。とても参考になる事は、言っているハズなの。その重要な事を拾えてこそ、行く行くは、上に立てる人間になれるんです。底辺を這いつくばりたくなければ、年寄りの言葉にも、ちょっと耳を傾けるべきだと思いますよ。
いつも思うんですけど、バランスが大切なんです。古い事も新しい事も、どちらも取り入れて、配合してこそ、相乗効果が生まれて、以前よりも良くなって行く。先を上げて行く気持ちがあるなら、見る目と聞く耳を持つことが大切です。この映画でも、同じ事を訴えているんです。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。とっても簡単な、淡々とした映画なのですが、良く聞いていると、とても重要な事を伝えていて、面白いと思いました。大人しい映画だけど、まぁまぁ、楽しめると思いますよ。単館系の映画で楽しめる人にお薦めだと思います。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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