舞台「美幸」を観てきました。
ストーリーは、
残酷ないじめにあい、
絶望から逃れるために心が歪んでしまった少女 美幸。
そんな彼女が大人になり、
すべてを投げ出してでも全うしようとした
「アンコンディショナルラブ=無償の愛」
新聞社主催の書道コンテストで優勝し、メディアに取り上げられて目立ってしまったことがきっかけで、学校で執拗ないじめにあい、ひとりぼっちで悲惨な学生時代を送ってきた美幸。大人になり、会社で出会った元役者、雄星に、自分の過去と同じ境遇を感じて、彼に無償の愛をささげることを誓う。その愛し方は猟奇的でもあり、時にばかばかしいほど滑稽でもあった。やがてその愛はエスカレートし、彼を悲しませる要因となるすべての人々に、彼に代わって秘密裏に復讐を企てていく……。
というお話です。
このお話、もっと明るい話かと思って観に行ったら、あまりにもドロドロしていて、途中で、息苦しくなるほどでした。イジメの話だったんですね。全く知りませんでした。私は、いつも、イジメの話を見る度に、なんで反撃しないんだよって、イライラしていたのですが、色々なドラマや映画を観ている内に、反撃って、出来ないものなのかなぁって思うようになったんです。
私のような人間は、やられたらやり返す、1つ貰ったら、10返すくらいの勢いで喧嘩を楽しむ人間なのですが、イマドキ、そういう人間は少ないんですかね。特に日本人は、ガマンしてしまう人が多いのかな。私も、両親は、ガマンしなさいっていうタイプなのですが、なんたって、元々、私はアスペルガーの因子を持っている人間なので、熱中したら止められないタイプでして、倍返しは当たり前、自分の仲間に危害を加えようものなら、10倍にして返してやるって言うくらいの勢いになってしまう人間なので、この舞台を観ても、腹が立ってしまい、イライラしました。
イジメられたら、イジメ返そうよ。というか、なんでそんなに仲良くしたいの?別に、一人でいたって楽しいじゃん。私は、子供の頃から、群れる人間では無かったので、群れたい気持ちが解らないんです。でも、まぁ、私にも仲間が居たんだから、群れていたと言うべきなのかしら。仲の良い友達はいたし、20年たった今でも、中学、高校の同級生と飲みに行くし、大学の友達とも超仲良しだし、その時々の友達は、今も居るんですけどね。
そんな私には、この美幸ちゃんが、虐められて、トラウマを抱えてしまうというのが、許せないっつーか、何で誰も、強くなる術を教えてあげなかったんだよって思っちゃうんです。イジメをしているボスの女を吊るせば良いだけの事でしょ。そういう裏の仕掛けって、普通は先輩から伝授されたもんだけど、今どき、そんな出来た先輩も居ないのかな。頭を使えば、いくらでも同級生なんて潰せるのに、やっぱり、経験の差かなぁ。つーか、私、既に、中高の時は、ムカつく奴は絞めてたんだけど、それって、先輩が良かったってことかしら。
この舞台、虐められた美幸ちゃんが、自分に好意を持ってくれた人の為に、全てをかけて、尽くしてあげたって話なんですけど、その愛って、大切だと思いました。愛されていなくても、何か、その人からしてもらった事に感動し、好きだって思ってしまったら、全てをかけて愛して、恩返しをするって、素晴らしいと思います。世の中、ギブ&テイクじゃなくて、与えるものなんです。
美幸ちゃんは、それを実践していて、愛してもらえなくても、その人の為に、全てを捧げてしまうんですけど、それって、すごく幸せな事だと思うんですよね。人から愛してもらう為に媚びるとかって、バカでしょ。あるがままの自分に好意を持ってくれたなら、それが、愛じゃなくても、恩返ししてもイイじゃん。自分がその人を好きだと思ったなら、それで良いんですよ。返してもらえなくたって関係ないんです。
そんな姿を描いているお話で、究極の愛だよなぁって感動していました。私は、そこまで人を愛せる人間では無いので、羨ましく思いました。ここまで、人を愛せたなら、後に、何も残らなくても、満足感が得られるだろうと思います。
美幸役の大島さん、ちょっと叫び過ぎで、演技もまだという感じでしたが、この美幸という報われない女の役には、合っていたような気がしました。相手役の鈴木さんは、上手いし、ブレないので、とても満足して、安心して観ていられました。鈴木さん、好きですぅ~!
もし、今、虐められている人が居たら、反撃しなさい。武器を持とうと、道具を使おうと、何をしても問題ありません。やられたらやりかえせ。倍以上でやり返せ。そして、虐めている奴は、ほどほどにせーよ。後々、そのイジメが嫌な思い出になって、自分に残ります。いつ仕返しをされるか、死ぬまで判りません。いつも、背後の影を気にして生きなさい。私も、いつ襲われても仕方ないと思っている人間です。自分では、虐めている自覚が無かったのですが、言ったことがイジメになっていたという事もあるんです。
私は、この舞台、楽しめました。でも、申し訳ないけど、大島さんは、まだまだ素人だなと思ってしまいました。ただ、叫んでいるようにしか見えなかったんです。ごめんね。もっと努力して、これでもかって言うほど、観ている観客をブチ倒してください。きっと、出来ますから。もう、舞台は終わってしまったので、また、再演があったら、楽しんでくださいね。
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