「カルテル・ランド」衝撃のドキュメンタリーは何が正義なのかを問い続ける。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

「カルテル・ランド」の試写会に連れて行って貰いました。


ドキュメンタリーなので内容は、

メキシコ、ミチョアカン州の小さな町の内科医ホセ・ミレレスは、地域を苦しめる凶悪な麻薬カルテル「テンプル騎士団」に対抗するべく、市民たちと蜂起する。一方、コカイン通りとして知られるアリゾナ砂漠のオルター・バレーでは、アメリカの退役軍人ティム・フォーリーが、メキシコからの麻薬密輸を阻止する自警団「アリゾナ国境偵察隊」を結成。2つの組織は勢力を拡大していくが、やがて麻薬組織との癒着や賄賂が横行するようになってしまう。若き映画監督マシュー・ハイネマンが決死の覚悟で取材を敢行し、メキシコ社会の実態を明らかにしていく。

というお話です。


カルテル

すっごく考えさせられる映画でした。この映画を観てから、「シビル・ウォー キャプテン・アメリカ」を観たので、同じ事をドキュメンタリー映画とエンタテイメント版で観せられたという感じで、こんなに答えが出ない事を言われても困っちゃうよなぁ~!どうしろって言うのよっ!って思ってしまいました。

メキシコでは、麻薬カルテルがはびこっていて、市民に害を与えているので、それを止めるために自警団が出来るんですね。警察とか軍では無く、市民が自主的にガードマン的な事をするんです。相手は、もちろん、銃などの武器を持って向かってくるので、自警団も銃を持って戦う事になります。でも、メキシコでは、市民が銃を持って戦うのは禁止されているので、日本で言う銃刀法違反で罪になっちゃいます。

カルテル

罪になっちゃうけど、身を守る為には仕方が無いんです。自分たちで見回りをして、麻薬カルテルの人間を見つけると、捕まえて警察に突き出すか、又は、銃撃戦になり、お互いに被害者が出てしまうということが続きます。警察に突き出すのですが、警察や軍は、結局、麻薬カルテルの人間を長い間拘束する事が出来ずに、直ぐに出所させてしまうんです。何ででしょ。

カルテル

ここで、「ボーダーライン」という映画を思い出して欲しいのですが、「ボーダーライン」で描かれているのは、貧しい国では、働く場所が無く、お金も周らないので、どんどん貧困になっていき、国が立ち行かなくなってしまいます。そこで、軍も警察も、ある程度の麻薬カルテルは保護しているんです。もちろん、表立ってでは無いですが、麻薬カルテルを見過ごしてやる代わりに、その場所の経済を安定させて、人々の働き口を作ると言う事なんです。

カルテル

こうなってしまうと、もう、自警団に頼るしかないでしょ。麻薬カルテルは、自分たちに好意的でない市民に対しては、とても非道な行いをし、殺しなど簡単にしてしまう。店舗などは、上納金を収めないと襲撃されてしまったりして、麻薬カルテルに関わらないで生活することが難しい状況になっているんです。そんな訳で、自警団が作られたのですが、警察や軍は、麻薬カルテルを全滅させられてしまうと、国の経済が死んでしまうので、自警団が見回りをするのは許しているのですが、撃ち合ったり、襲撃したりするのは辞めさせたいんです。

なので、自警団の武器を取り上げたり、リーダーを逮捕したりするんです。だけど、市民は怒りますよね。自分たちを守ってくれるのは、自警団しか居ないのに、それを警察や軍が潰そうとするなんて、許しません。

カルテル

誰が正しいのかっていうと、誰もが、正しい事をしたいと思っているんです。でも、どうしてもほころびが出て来てしまう。麻薬カルテルは、経済を安定させる為に必要だけど、市民の生活を脅かしている。市民の安全を守る為には自警団が必要だけど、自警団が清廉潔白かと言うと、武器をもって見回りをしているので、その力を使い、自警団の中の誰かが、強盗をしたり、強姦をしたり、色々な問題も出てきます。警察や軍が取り締まってくれればと思うのですが、麻薬カルテルも必要だし、自警団も必要なので、どちらにも関わらないように、遠巻きに見ているだけ。

カルテル

これ、何処まで行っても、解決しないですよね。政府が政策を転換して、何かやり始めない限り、何も変わらない。でも、政府にもお金が無い。税金があまり取れないから。もう、どうしようもないっしょ。解決ないっしょ。こんなに考えさせられたの、久しぶりでした。

世界の解決しない問題が沢山ありますが、どんなに考えても答えなんて出ないんです。だから、私は、私が良いと思う事を信じるしかない。誰が悪くて、誰が良い人って、考え始めたらキリがない。自分が好きなように考えて、好きな人達を応援する。それしかないっしょ。たとえ、それが人とは相容れなくても、別に、良い。

カルテル

私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。これ、とっても考えさせられる映画なんで、観て欲しいな。でも、映画はレジャーと思っている人には、ちょっとダメかも。面白い映画ではありません。でもね、この問題って、どんな世界にでも通じる事なの。誰が正しくて、誰が間違っているか、永遠に答えが出ない、それは、何でもそうなんです。一度は、考えてみても良いのでは?ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ


P.S : この映画を理解する為に、映画「ボーダーライン 」、「エスコバル 」を観る事をお勧めいたします。

私が書いた感想もあるので、リンクを読んでみて下さい。



カルテル・ランド|映画情報のぴあ映画生活


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