イタリア映画祭、10作目は「暗黒街」を観ました。
ストーリーは、
2011年、腐敗を重ねて長期政権が崩壊する「終末の日」まで、あと7日。ローマの暗黒街では「ウォーターフロント計画」と呼ばれるオスティア地区の再開発を巡り、犯罪組織が暗躍している。オスティアを牛耳る「No.8(ギャングの呼称)」は、来るべき再開発に向け暴力的な地上げを進めている。議会で再開発計画を推進する与党議員マルグラーディは、ローマの暗黒街を牛耳る「サムライ」と癒着している。議員がドラッグとセックスにふける最中、未成年の娼婦がドラッグ中毒死してしまい、事件をもみ消そうとして、死体の始末を頼んだことから、"No.8"の勢力と”ロマ系の犯罪組織アナクレティ一家との抗争が始まってしまう。
再開発計画法案の議会証人をひかえ、サムライは抗争を控えるように新興勢力の二人を諭すが、巨大な利益の前に両者は譲らない。犯罪組織同士の殺し合いが激化する中、11月12日、再開発計画が議会で承認される。その夜、祝杯をあげえるマルグラーディら推進派議員らの元に、政権崩壊の第一報が届く。
というお話です。
2011年の11月5日から12日の7日間に、ベルルスコーニ首相が辞任し、ローマ法王が引退するという、異例の事態が起きた。この7日間に起こったかもしれない、利権を巡る争いを描いています。
ローマの暗部で「ウォーターフロント計画」と呼ばれるオスティア地区の開発が計画されています。この計画を知っていた裏組織は、既に土地の買収を始めていて、安い値段で土地を買い叩き、地上げを始めていました。開発計画を政府が容認すれば、この土地は何倍もの値段で売れる事となり、裏組織に大きな金を流す事になります。
与党政治家のマルグラーディは、計画推進派の筆頭であり、裏組織とも内通しています。ある日、いつもの通り、コールガールを呼び、3Pに励んでいると、未成年のコールガールが動かなくなっています。ドラッグの急性中毒を起こしたらしく、静かに死んでいたんです。狼狽えるマルグラーディは、もう一人のコールガールに死体処理を任せ、自分は逃げてしまいます。コールガールは、下っ端のチンピラ少年を呼び、一緒に死体をため池に捨ててしまいます。
死体を捨てた少年は、政治家を強請れば金になると思い、マルグラーディを脅しに行きます。マルグラーディは、直ぐに裏組織に関係する友人に頼み、"No.8"という犯罪組織の男を使って、その少年を始末するのですが、その少年は、実は、移民系の犯罪組織アナクレティ一家の息子で、アナクレティは、その報復として"No.8"に襲撃を仕掛けます。
「ウォーターフロント計画」が可決か否決かという重要な時期に、裏組織が騒ぎを起こすと決定が危うくなるので、”争いを辞めろ”と裏組織を操っている"サムライ"と言われる男が事を収めようとするのですが、二組織とも簡単には折れずに、計画の利益の分け前をよこせと行ってきます。計画が潰れたのでは元も子もないのでOKを出すのですが、"No.8"はどうしても納得せず、事態は混乱して行きます。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。
典型的なイタリアのマフィアのお話なのですが、これ、日本でも良くありますよね。今は少なくなったけど、昔は、マジで多かった。土建屋と不動産屋と役所が繋がって、法案が通るのを待ってて、ゴーサインがでると、直ぐに動き出すって感じで、まぁ、良くあそこまで汚い事やってたなって言うくらい、凄かったですよ。もちろん、ヤ○ザと同和関係が組んできたりして、まだ建築を始めて直ぐの頃だったから、恐いのなんのって、良く何もされなかったなぁと思いだします。でも、私が入った頃は、既に、下火だったらしいんですけど、それでも、凄かったからね。
どこの国でも、金に群がる汚い輩は沢山居て、だけど、それがいつまでも続くとは限らないって事なんです。バブルの頃に、お金が余って、ばら撒いていた人達が、今はホームレスとかになっている訳でしょ。なんで、その時に貯めておかなかったの?って聞いたことがあるんだけど、その時は、それがづーっと続くと思っていたんですって。アホですねぇ。そんな夢を見ちゃった人が、この映画でも沢山いるんです。いつまでも、自分だけは安泰だと思っている。でも、最後は、欲が無くて、強い意志を持った奴が勝つんです。社会ってのは、そういうもんだ。(笑)ま、現実がそうなるとは、限らないけどね。
それにしても、裏切り者ばかりでしたね。オイオイって言いたくなるほど、しゃべっちゃうのよ。まったく、これだから根性がない男は嫌いだよ。女の私の方が、よっぽど話さないっつーの。”クズ”ばかりで、ムカつきすぎて、笑いが出て来てしまいました。最悪の奴ばっかりだったなぁ。(笑)
この映画は、日本のヤ○ザ映画に似ているかな。任侠では無いよなぁ。だって、義理も人情も無いからね。Vシネに近いかも。でも、一応、実際にあった事実を絡めて、フィクションを作っているから、面白いですよ。
私は、この映画、まぁ、お薦めしても良いかなと思います。一応、スッキリ終わるので、後味は悪くありません。でも、すっごく面白いかっていうと、裏の汚い事を暴いていく内容なので、ムカついたり、イライラしたりする場面も多く、ちょっと、気分が悪くなります。でも、映画としては、良く出来ていると思うので、観る機会があったら、ぜひ、観てみて下さい。日本公開は、まだ決まっていないと思います。
ぜひ、楽しんでくださいね。
イタリア映画祭 2016 http://www.asahi.com/italia/2016/