【イタリア映画祭】「待つ女たち」言わなければいけないけど言わない女と、聞きたいけど聞けない女。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

イタリア映画祭、8作目は「待つ女たち」を観ました。


ストーリーは、


シチリアの小さな村の古い屋敷で、年老いた使用人のピエトロと友にひっそりと暮らすアンナのもとに、ある日、パリからジャンヌという名の娘が訪ねてくる。アンナの息子ジュゼッペの恋人だというジャンヌは、彼の招きでバカンスを過ごしにやってきたのだと語る。だが、アンナは、息子からジャンヌの存在をきかされておらず、ジャンヌも恋人が現れない理由を知らない。


姿を見せない息子の事を訊ねられたアンナは、復活祭には帰って来るだろうと答えます。不審に思うジャンヌがジュゼッペの携帯に吹き込むメッセージを、密かに再生して聞くアンナ。美しい湖で水遊びをするジャンヌと、その姿を見つめるアンナ。息子の帰還を待つ宙づりの日々の中で、次第に2人の女たちは互いに心を寄せ、相手の事を理解しようとする。そして、村中が伝統の聖行列の厳粛さに包まれる復活祭の夜が訪れる。


というお話です。


待つ女たち

シチリアの小さな村にある古く大きな屋敷に住むフランス人の女主人・アンナ。年配の使用人ピエトロと住んでいます。彼女は、大きな葬式に参列しています。親族でも亡くなったようで、呆然として立ち尽くすアンナの姿は痛々しく、あまりのショックで口も開けない様子でした。


後日、自宅でアンナがゆっくりと朝食を取っていると電話がかかってきます。アンナの息子の恋人だというジャンヌからの電話で、アンナの息子にヴァカンスを一緒に過ごそうと言われて訪ねてきたようです。しかし、自宅にアンナの息子の姿はありません。アンナは、ジャンヌを快く迎えるのですが、息子がまだ帰って来て居ないことを告げます。感謝祭には帰って来ると思うので、そのまま待っていたらどうかと話します。

待つ女たち

恋人が帰って来るのを待つことにしたジャンヌは、穏やかな日差しに満足しながら、アンナと一緒に、アンナの息子が帰って来るのを待つうちに、段々と、アンナと打ち解けていきます。しかし、アンナは、何かよそよそしい部分もあり、何かあるのかなという思いと、恋人が戻ってこないことが重なり、段々と、不安が広がって行きます。

使用人のピエトロは、アンナに、このままで良い訳はないのですから、早く話をした方が良いですと告げるのですが、アンナは、そうよねと言いながら、話す事をためらいます。どう話して良いのか、分からないからです。そして、復活祭が近づいていきます。

待つ女たち

アンナは、死者が戻ってくるという復活祭で、大切な人が戻ってくる幻を見ます。きっと帰って来ると思って、待っていたからです。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。

最初に、葬式の場面があり、その後、息子を訪ねてくるジャンヌに、息子は帰って来て居ないというアンナの姿で、その葬式が、アンナの息子の葬式だと言う事は、きっと、観る人には、最初に判ると思います。でも、一応、映画の中では、息子の葬式だとは告げられる事はありません。

待つ女たち

息子不在の中、アンナは亡くなっていることを知っていて、ジャンヌは彼を待ち焦がれているという状況で、それでも、2人はそれに触れないようにしながら、仲良くなって行きます。その2人の表情が、とても微妙で、何とも言い難いんです。


アンナは、愛しい息子が愛した女性を目の前にして、愛しさと嫉妬と悲しみが入り混じったような表情をしているんです。そして、ジャンヌが村に遊びに来た男性たちと楽しそうにしている姿を見て、息子の恋人なのに、こんなふしだらな事をしてというような顔をするのですが、直ぐに亡くなっている息子に縛られてしまうのはイケないと思ったり、この難しい心理を、良く演じ分けているなと思い感動しました。

待つ女たち

ジャンヌは、お母さんと仲良くはしているけど、やっぱり恋人に早く帰って来て欲しい。1人で居て不安だという表情を見せます。そりゃ、彼の実家に1人で泊まってたら、あまり居心地が良く無いですよね。でも、彼とは真剣に付き合っているし、お母さまとも上手くやらなくてはという気持ちがあったのだと思います。そんな彼女の心理が読み取れて、面白かったです。

そして、感謝祭を前に、アンナはジャンヌに、息子は帰ってきませんと告げます。息子は、あなたと別れたいと思っていて、自分で伝えるのが辛いからアンナに頼んだのだと話します。ジャンヌは、ショックを受けて、次の朝に帰りますと言うのですが、その夜、息子の携帯電話を見つけて・・・。

待つ女たち

きっと、アンナはジャンヌに、息子の死に囚われてしまったら、新しい恋に行けなくなるのではないかと思って、ジャンヌに別れを告げるような事をしたのだと思います。2人の女性が、短期間でも心が通い合い、お互いを思いやる為に、最後に嘘を付き、嘘を信じるという姿を見せるのですが、これが、すごく感動的なんです。唸ってしまいました。この2人の女優、スゲーって思っちゃいました。

待つ女たち

私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。これは、ぜひ、日本公開して欲しいです。イタリア映画なのに、フランス映画っぽい(女優さん2人ともフランス人です。)ところが、とてもおしゃれで、ゴシックっぽくて、好きでした。これは、良い映画だと思います。日本公開決まってないけど、これ、公開するでしょ。ぜひ、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ




イタリア映画祭 2016     http://www.asahi.com/italia/2016/


ショコラ [Blu-ray]/ワーナー・ホーム・ビデオ
¥2,571
Amazon.co.jp

アクトレス ~女たちの舞台~ [Blu-ray]/KADOKAWA / 角川書店
¥5,076
Amazon.co.jp