イタリア映画祭、5作目は、「あなたたちのために」を観ました。
ストーリーは、
テレビドラマの制作スタジオでプロンプターとして働く主人公のアンナが、我が身を犠牲にして支えるのはナポリの大家族。アンナの両親と夫のジジ、娘のチンツィアとサンティーナ、聾唖者の息子アルトゥーロ。幼い頃のアンナは、聖母被昇天祭では天使に扮し、命綱一本で教会の鐘楼から中に身を躍らせるほどの、肝の据わった勇敢な少女だった。
だが今は、家では夫のDVに耐え、父親を憎むアルトゥーロをかばい、外ではアンナの代わりに失職した先輩プロンプターのチーロから、金をせびられる毎日。そんな灰色の日々を送るアンナに言い寄るスター俳優のミケーレに、彼女の心は次第に傾いていく。そしてこれまで目をそむけてきた夫の裏の顔と対決する勇気をとりもどす。夫のジジは、闇金としてアパートの貧しい住民たちを食い物にしていたのだ。しかし、ミケーレとの逢引きの場で、アンナは、ミケーレもまた、夫から多額の借金をする1人だったことを知る。
というお話です。
アンナという、既に50代になるかという女性が主人公なのですが、彼女は、いつもいつも、家族のために働いていて、休む暇もありません。DV夫に、ちゃんとした仕事に就いてくれと言っても、またDVを振るわれるだけで、何も生活は変わりません。家族を支えるために、TV制作のアルバイト的な仕事をしていたのですが、その仕事ぶりを認められて、本雇用されることになります。喜ぶアンナでしたが、自分が雇用された代わりに先輩の男性が失職し、申し訳なく思っています。
そんなアンナは、苦しみから逃れるために、自分の妄想の世界に入り、ほんの少しですが、自分だけの時間を楽しんでいます。まぁ、良くあるオバサンの妄想ですね。そんな妄想を重ねていたある日、ドラマの主演男優が、アンナに話かけてきます。イケメンが、自分に話かけてきて、その上、ちょっと誘惑なんてしてきたりして、もう、夢のような時間を過ごすのですが、家に帰ると、いつもの家庭がそこにあります。
夫は、実は、闇金をやっていて、貧しい人にお金を貸しては、身ぐるみ剥がすというような事を繰り返していました。アンナは、辞めて欲しいと何度も言うのですが、いつも殴られて、止めることが出来ません。このままではいけないと思っているのですが、何をどうしたら良いのか、もがくばかりで、手立てが見つかりません。
そんなある日、家の床下に隠された夫の闇金の帳簿を見つけて、アンナは・・・。後は、映画を観て下さいね。
アンナという女性ですが、本当に、良くいるような女性です。もう、子育ても一段落ついたくらいで、普通なら、これ位から、オバサン同士で大騒ぎしながら、食事に行ったりと楽しめる時期だと思うのですが、アンナは、家族の面倒で振り回されています。

その中でも、夫が最低ですね。闇金をやっていて、貧困層が住むアパートの沢山の住民に貸し付けて、貸し剥がしを始めるんです。もちろん、相手は返せないので、色々な物を売ったり、生活が成り立たなくなって行くんです。酷いでしょ。”闇金ウシジマくん”よりも、極悪でしたよ。
そんな夫がイヤなのに、どうしても、行動に出れないアンナを見ていると、イライラしてしまいました。私なら、即離婚ですけどね。いくらでもやり方があるでしょ。DVされたら、直ぐに警察と病院に行って、傷害で訴えれば良いだけの事でしょ。確かに、子供たちにはショックかも知れないけど、あの年齢になっていれば、理解出来ると思うんです。障害を持った息子が居るけど、別に、知能が遅れている訳では無いし、なんで夫と対決しないんだろうと、ずーっとイライラでした。
でね、妄想女子さながら、男優・ミケーレにトキメイちゃって、おいおいって思っちゃうんです。ハッキリ言おう、身の程をわきまえようね。私なら、もう、絶対に罠だと思うけどなぁ。あり得ないでしょ。笑ってしまいましたよ。こんなに騙しやすいオバサンって、イイ鴨だよなぁって。私も一枚噛みたいくらいでした。ま、何の利益も無いけどね。で、結末へと動いていくんです。
うーん、何とも、イライラするオバサンで、私は、あまり好きとは言えなかったなぁ。まぁ、私もオバサンだから、人の事言えないけど、私なら、どんなに家族が居ても、こんな夫に従っていく何て事はしていないだろうなぁと考えてしまうので、納得出来ませんでした。
良かったのは、彼女が現実を観ていない時は、画面がモノクロになり、現実に戻るとカラーになるんです。それを理解しながら観ると、面白いですよ。
私は、この映画、まぁ、お薦めしても良いかなと思います。面白い!とは言えないけど、なんか、こんなオバサンって、良く居るし、こんな事もあるんだろうなぁと考えられる内容なので、面白いと思う方もいらっしゃるのではないかなと思います。日本公開は、どうかなぁ~。機会があったら、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
イタリア映画祭 2016 http://www.asahi.com/italia/2016/