「スポットライト 世紀のスクープ」を観てきました。
ストーリーは、
2002年、米新聞“ボストン・グローブ“がカトリック教会のスキャンダルを公表した。“スポットライト“と名づけられた一面記事には、神父による性的虐待とそれを見逃してきた教会の共犯関係が書かれていた。彼らは記者生命を懸けて真実を明らかにしていく。
というお話です。
2001年の夏、ボストン・グローブ紙に新しい編集局長のマーティン・バロンが着任してきます。マイアミからやって来たバロンはユダヤ人であり、地元住民が通うカトリック教会の神父による性的虐待事件を掘り下げるように、特集記事”スポットライト”の担当者4人に指示を出します。ボストン・グローブ紙の読者の8割方がキリスト教信者であり、もし、これを記事にすれば、読者からの反発がハンパ無いと解るのですが、それでも、バロンは記事にしてくれと話します。
記事を請負ったスポットライトの4人。ウォルター、マイク、サーシャ、マット、は、取材を始めるのですが、弁護士などの話を聞いていくと、既に資料は新聞社に送ってあると話します。え?自分の会社に資料があるの?と不思議がる4人ですが、実は、何年も前に、問題だからと送られてきていたにも関わらず、簡単な小さな記事として取り上げただけで終わってしまっていたんです。こんな重要な事件を、何故、追わなかったのかと言うと、やはり、アメリカのタブーという気持ちが働いてしまったからなんです。
これは問題だと感じた4人は、取材を続けて、裁判所や弁護士事務所に何度も掛け合い、資料の提供や開示を求め、裁判をしたり、出来る限りの取材を行います。そして、サーシャは、何人もの被害者の話を聞き、どれ程苦しんでいるかと言う事を知る事になります。
最後の最後で、記事として出そうとした時期に、9.11事件が起こり、記事を抑えて、騒動が収まるのを待ちます。あまりにも大きな問題なだけに、簡単に他の事件と合わせて出してしまうようなことは出来なかったし、まして、事が大きくなるのが予想出来たため、会社も対応出来るように準備が必要だったからでした。
そして、満を持して、記事を載せることとなり・・・。後は、映画を観て下さいね。
衝撃的な内容でした。この映画を理解するのは、やっぱり、ある程度のキリスト教の理解と、カトリックという宗派の特徴を知る必要があるかなと思いました。
まず、アメリカの人口の約8割がキリスト教信者であり、その内の1/3がカトリック信者。アメリカ人の4人に1人がカトリック信者なんです。この4人に1人が、神父から性的虐待を受ける可能性があったって事です。まぁ、可能性なんだけど、被害者として訴えた数から行くと、訴えていない人も考えたら、スゴイ数なんですよ。教会に勤める司教の6%が性的虐待をしていたっていう事実から、恐ろしい数の子供がいたずらされていたという事なんです。

何故、カトリック教会にそんな事が起きるかというと、カトリック教会は、その教えを伝える神父を置き、神父とは神に仕える者であるので、生涯独身であり、性行為も許されません。解りますか?性欲を表に出してはいけないって事です。もちろん、オ○ニーもダメって事。おおーい、それって、地獄だろーって思うと思いますが、事実なんです。プロテスタント教会は、牧師を置き、神の言葉を伝えるものであり、結婚をしていても問題ありません。もちろん、人間ですので性行為もOK。そんな違いから、カトリック教会では、性的虐待が増えてしまったんです。
子供が狙われたのは、もちろん、訴えられないという事もあるし、映画の中で、親のどちらかが不在の子供であり、そういう事に羞恥心を抱く子供を狙ったらしいんです。もー!極悪でしょ。でもね、子供の頃って、言えないんです、そういう事。自分が何か悪いことをしたような気持ちになって、自分は悪く無いんだけど、親にも誰にも言えないんですよ。そして、それは、大人になっても、何かに付けて恐怖となって出てきてしまう。映画の中でも過去に苦しむ人々が出てくるけど、観ていて苦しくなりました。

確か、何年か後に、ヴァチカンの法王が謝りましたよね。そして、罪を犯した神父に、断固とした対応をすると約束して、何人もの神父が解任処分を受けたと思います。でも、この問題は、無くならないだろうなぁと思ってしまう私でした。
だって、なんで神父だからって、安心して子供を預けるの?神父だって人間だよ。神は人類皆平等って解いているんでしょ。んじゃ、神父も人間。人の子なんだから、欲望もあるでしょ。シたくなるよね。だから、聖職者だからって、安心する親が悪いと思うの。もちろん、教師に対してもそうだけど、いつも誰かが監視をしていると感じさせておかなくちゃダメでしょ。イヤ、マジでどいつもこいつも、狂ってんなって思うのは私だけなんだろうか。

この映画のエンドロールで、この記事発表後に、どれだけこの問題が大きくなったのかと言う事が説明されています。そして、アメリカ全土で、この問題が起きていたと言う事が解るんです。恐ろしいでしょ。でもね、日本だって、神社や寺、新興宗教、そして学校など、閉鎖された空間で、たくさんの子供が色々な被害に合っているんです。言いたいけど言えない子供は沢山いる。触られたり、何かされたり。でも、それが何か理解していない時にされるんですから、思春期になってから、されたことを理解して苦しむんです。その苦しさは尋常じゃない。だから、沢山の人に解って欲しい。護って欲しいんです。

この問題が記事になって、本当に良かったし、もしこの新聞社の局長にユダヤ人が来なければ、カトリック教会にメスが入る事が無かった。誰もが神父様に対して文句を言うなんてって思っていたんですから。宗教は恐いです。真実が見えなくなってしまう。宗教を信じるのは自由だし、拠り所を持つのは良いと思いますが、のめり込んで、全てを信じてしまうのは如何なものかと思います。日本は、宗教に関して奔放な国だと思うので、柔軟な頭で様々な宗教を勉強するのも、面白いのではないかな。そうすると、沢山の外国の考え方も理解出来るのではと思います。

私は、この映画、超!超!超!お薦めしたいと思います。本当に面白いです。でも、好き嫌いがあるかも知れません。宗教系の事を知っている必要があるのと、じっくりと話を理解していく作品なので、頭を使うかなと思います。あまり盛り上がりがある訳では無いので、アクションなどに比べると面白いとは言い難いです。でも、内容を理解出来ると、マジで、スゴイ話なので、面白いですよ。ぜひ、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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