「君がくれたグッドライフ」の試写会に行ってきました。
ストーリーは、
仲間とともに年に1回、自転車で旅をするハンネス、キキ夫妻。ALS(筋萎縮性側索硬化症)と宣告されたハンネスは、尊厳死の許されるベルギーへの旅を希望した。ハンネスが直面している現実を知り、友人たちはショックを隠せなかったが、ハンネスの願いどおりベルギーを目指すことを決意する。
というお話です。
ハンネスとキキの夫婦は、毎年1回、仲間と一緒に自転車で旅をすることにしています。今年もそろそろという時期になり、ハンネスは、仲間に連絡を取り、今年はベルギーに行く事にしようと話します。ベルギーって、何があるの?チョコレートしか知らないという仲間たちですが、まぁ、ハンネスが決めた事だしと言う事で、用意をして、待ち合わせ場所で集まります。
いつも通りの6人が集まり、ベルギーに向けての旅が始まります。ハンネスの実家に寄り、疲れを癒した後、また、ベルギーに向かうのですが、どーも、ハンネスの様子がおかしい事に気が付きます。そして、ハンネスの母親の様子で、何かがあると気が付いたハンネスの弟のフィンは、家族に問いただすと、ハンネスが、父親と同じ病気のALS(筋委縮性側索硬化症)であり、何か月か前に進行が早まり、あとどれくらい持つか分からないと言われていたんです。
ハンネスは、眠ったら、そのまま息が出来なくなり、苦しんで死ぬかもしれません。いつ、それが来るのかと怯えながら生きるよりも、安楽死が認められているベルギーに行って、そこで合法的に死を選ぶことにしたんです。今回の旅は、人生最後の旅であり、別れの旅だったんです。
ショックを受ける仲間たちですが、ハンネスの最後の願いを叶えてやりたいと思い、旅を続ける事にします。しかし、ハンネスの身体は、既に、ALSに侵されていて、ベルギーまでの道のりは、彼の身体にとっては、とても過酷なものでした。それでも、友達たちとの旅を諦めずに続ける事を選択し、無事にベルギーに着くことになります。そして、ベルギーで病院に行き、本当に安楽死を望むのかを聞かれ・・・。後は、映画を観て下さいね。
主人公のハンネスは、もう、命がわずかしか持たないと解り、安楽死を望むんですが、これ、やっぱり、悩みますよね。最後まで希望を捨てずに生きるのか、それとも、苦しみを回避する為に、死を選ぶのか、究極の選択だと思います。でもね、このALSという病気の末期になると、いつ、喉や肺の筋肉が動かなくなって窒息死するのか、いつ心臓が止まるのか、解らないらしいんです。頑張りたいけど、次の呼吸で死ぬかも知れないとか、夜寝たら起きないかもしれないとか、そんな毎日を過ごしているのは辛いですよね。だから、ハンネスの気持ちも、解らないでは無いんです。

自分の死は、誰でも選ぶ権利があるし、人が口出しする権利は無い。こればかりは、本人が決めてしまったら、どうしようもないんです。良く、何があっても生きるべきだと言う方もいらっしゃるけど、私は、自殺肯定派なので、自分で命を絶つことを選んだなら、お疲れ様でしたって言ってあげるべきじゃないかなって思うんです。本人だって、必死で色々考えての結論なんですから。命を絶つなんて勿体無いと思うけど、それは、本人に向けて言う事じゃないんですよね。
ハンネスの妻も友人も、すごく悲しむんですけど、彼の決断を受け入れるんです。彼がそう考えたのなら、よっぽどの事なんだろうと言って、彼を支えて行くんです。その姿は、何とも美しいと思いました。友達ってそういうもんだよね。
ハンネスの父親も同じ病気で亡くなったらしく、この病気は、遺伝での発病も多いようですね。ハンネスの弟のフィンも、遺伝子検査を受けて、ALSの遺伝は無かったと告白する場面があって、兄に”ごめんね”って言うんです。フィンは、何も悪く無いのに、自分はALSにかからずに、兄だけ発病してしまった事に、謝ったんだと思うんですけど、可哀想だなと思いました。誰も悪く無いのに、こんな気持ちを抱いて、抱かせてしまうなんて、悲しいですよね。辛いです。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。病気ものなので、ちょっとイヤな方もいらっしゃるかも知れませんが、思っていたよりも、明るい雰囲気で、命の事を考えさせられると思います。そして、安楽死=尊厳死という考え方を、今一度、考えてみるべきじゃないかなと思いました。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
・君がくれたグッドライフ|映画情報のぴあ映画生活
- 「平穏死」のすすめ 口から食べられなくなったらどうしますか (講談社文庫)/講談社
- ¥484
- Amazon.co.jp
- 安楽死と尊厳死 医療の中の生と死 (講談社現代新書)/講談社
- ¥799
- Amazon.co.jp