「レヴェナント 蘇えりし者」の試写会に行ってきました。レオナルド・ディカプリオさんがいらして、舞台挨拶をしてくださいました。相変わらずのイケメンぶりには、顔がにやけてしまいましたが、映画の内容は、そんなレオ様とはかけ離れた素晴らしい迫力のあるものでした。
ストーリーは、
1820年代のアメリカ。凄腕のハンター、ヒュー・グラスはグリズリーに襲われ瀕死の重傷を追う。ハンター仲間のジョンはヒューを看取って埋葬するように命じられるが、ヒューを放置して去ってしまう。奇跡的に生き延びたヒューはジョンへの復讐を決意する。
というお話です。
1823年アメリカ。まだ、西部開拓途中であり、原住民と移民との戦いが続いており、その上、厳しい自然に抗う術も無い時代。アメリカ北西部で狩猟して毛皮を集めるハンターチームの一員であるヒュー・グラスは、良いガイドでありハンターでありました。彼らは、毛皮採取途中で、ネイティブアメリカンの一団に襲われ、船で川を下って逃げるのですが、船も襲われ、仕方なく、途中で船を捨てて、山越えをして、仲間たちの砦に戻ろうとします。
山越え途中で休みを取り、順番に見張りをしているのですが、グラスが見張りをしている時に、熊の子供が目の前に現れます。親熊は何処だろうと警戒しながら見まわしていると、グラスの後ろから母熊が襲って来ます。大きなグリズリーで、銃で抵抗をするのですが、熊には歯が立ちません。半死の状態まで痛めつけられ、放置されたところを仲間に見つけて貰うのですが、荷物を運びながら、グラスも運ぶと言う事が難しく、まして、今にも死にそうな状態のグラスを見かねて、隊長のアンドリュー・ヘンリーは、グラスを看取るまで一緒に居て、亡くなったら埋めて、帰ってくるようにと指示をして、隊の本体は、砦へ先に進みます。

グラスを看取る事を任された、ジョン・フィッツジェラルド、ジム・ブリッジャーとグラスの息子であるホークは、グラスを順に見ているのですが、ジョンは、いつまで見ていても仕方がないと思い、グラスを無理やり殺して、埋葬して帰ろうとします。その行為を見てしまったホークは、ジョンを止めようと必死で抵抗するのですが、今度は、ジョンの鉾先がホークに移り、ホークは殺されてしまいます。その後、グラスも生き埋めにして、直ぐに基地に戻ろうとするのですが、その仕打ちをジムは見ていて、それはマズいですと正すのですが、ジョンに押し切られてしまい、砦に向かいます。
生き埋めになったグラスでしたが、ゆっくり休みながら力を回復し、自分の息子ホークを目の前で殺された恨みを晴らさないではいられないと、復讐に燃えて生き長らえます。グラスは、何度も危ない橋を渡り、途中でネイティブアメリカンに殺されそうになったりと、色々な事がおきるのですが、それでも復讐するという気持ちが大きくて、何度、死にそうになっても、乗り越えて向かってきます。
一方、ジョン・フィッツジェラルドたちは、ネイティブアメリカンに遭遇したり、危険な目に合いながらも、砦に向かっていきます。砦にたどり着いたジョンとジムは、隊長に言われた通り、グラスの埋葬を済ませて、持てる荷物は出来るだけ持って、たどり着いたと話します。そのまま、自分たちの告白が採用されて、問題にはならないと思っていると、砦にヒュー・グラスの姿が現れます。
ヒュー・グラスは、瀕死の重傷でしたが、直ぐに歩き出して、ジョンに息子を殺されて、自分は生き埋めにされたと、隊長に訴えます。ジョンは、グラスが現れて直ぐに、自分の嘘がばれてしまうと思い、砦から逃げ出していました。隊長は、ジョン・フィッツジェラルドを追って罪をつぐなわせなければと言い、グラスは、どんなに身体がボロボロでも、ジョンを追うのは俺だと言い、隊長と一緒に、ジョンを追って、また森の中へ踏み込んでいきます。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。
この映画、必死で説明を書きましたが、全然、書き足りないくらい、壮大な映画です。開拓時代のアメリカの状況を、まるで観て来たように描いていて、原住民との戦いや、自然との闘い、それは、もう、サバイバルと言って良いほどの酷い状況の中で、人々は働いて、お金を稼いで、生活をしていたんです。
特に、極寒の中、民族同士が土地の権利を争い、何度も戦いを繰り広げられていたということが分かります。殺るか殺られるかという毎日で、負ければ全員殺されて、骨になって積み上げられるだけ。ハンターのグラスも、そんな中で生きていて、妻も殺されて、自分と息子だけだったのだと思います。まして、自分は移民であり、妻は原住民。息子はハーフであり、あまり仲間の中では良く思われていないようでした。
グラスは、熊に襲われるのですが、その迫力たるや、凄かったです。大きくて凶暴で、でも、子供を守る母熊なんです。だから、本当は、そんな熊の近くに人間が行ってしまったのが悪かったのですが、この時代、人間が勢力をどんどん伸ばして行った時代だから、熊とのこういう接触は、多かったのでしょうね。熊もたまったもんじゃないだろうなぁ。子育てくらい、ゆっくりしたかっただろうに。
豪雪の中、グラスとジョンの戦いは続くのですが、良くあるヒーローものの戦いでは無く、アナログな、本当に人と人との戦いが描かれていて、すごい緊張感と緊迫感がありました。どこに相手が出てくるのか分からず、殺すか殺されるかなので、その迫力がスゴイんです。観ていて、息苦しくなる程で、辛くなりました。
でも、最初の方の、狩りのシーンや、原住民との戦いなどの場面は、ちょっと長くて、眠くなるかも知れません。どの敵も、戦う場所も、見た目が何となく、雰囲気が似ていて、あれ?さっきもこんなとこで戦ったよねっていうところがあるので、ウトウトしたくなるんです。でも、最初の方の、その部分を越してしまうと、もう、グラスのサバイバルが始まるので、目が離せなくなります。スゴイですよ。
この映画の凄さは、簡単に伝えられません。スゴイんですとしか、言葉が見つからないんです。どんな言葉を並べても、映画を観て頂いたら、すべて吹っ飛んでしまうんじゃないかな。それくらい、気迫に満ちた作品であり、これはアカデミー賞を貰うでしょ~って解ると思います。もし、これで貰えて無かったら、マジで観る目が無いとしか言えません。

私は、この映画、超!超!超!お薦めしたいと思います。私は、好きな映画です。とっても男臭い映画で、日本で言ったら、任侠映画っぽいんじゃないかしら。何処までも、仁義を通し、汚い奴を許さないって感じなんですもん。任侠というか、黒澤的と言うのかもしれないな。うん、黒澤監督の、あの低い空気音がバックにゴーって流れているような雰囲気があるんです。空気が冷たいのよ。きっと、私よりも、古い映画を観ている方の方が、そういうの、良く解ると思います。日本人には、通じるものがあるんじゃないかしら。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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