「リリーのすべて」愛する人が自分と同じ性別になって行ってしまったら、どう感じるんだろう。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

「リリーのすべて」を観てきました。


ストーリーは、

1926年、デンマーク。風景画家のアイナー・ベルナーは、肖像画家の妻ゲルダに頼まれて女性モデルの代役を務めたことをきっかけに、自身の内側に潜む女性の存在を意識する。それ以来「リリー」という名の女性として過ごす時間が増えていくアイナーは、心と身体が一致しない現実に葛藤する。ゲルダも当初はそんな夫の様子に戸惑うが、次第にリリーに対する理解を深めていく。

というお話です。


リリーの

1926年、北欧デンマーク。画家のアイナー・ベルナーは、妻で画家のゲルダと、普通に幸せに暮らしていました。風景画家として、既に名を馳せていたアイナーは、ゲルダと共に、裕福な生活をし、芸術家などが集まる社交界のようなところに出入りし、友人も多く、楽しんでいました。

妻のゲルダは、肖像画家であり、友人のバレリーナであるオーラを描いていたのですが、オーラがモデルとして来れない時、仕方なく、夫のアイナーにストッキングを付けてもらい、ドレスを当てて、モデルとして立ってもらったんです。アイナーは、何故か、ストッキングを身に付ける時にドキドキし、ドレスを当てると、とても気持ち良く、満足出来るという気持ちに気が付きます。

リリーの

自分は、妻を愛しているし、男として夫としてゲルダとの子供を望んでいたのに、何故か、女性のかっこうをすると、自分にしっくりくると言う事を知ります。そして、自分の中に女が居る事に気が付いてしまいます。すると、今までの男の自分を維持することが辛くなり、心のバランスが壊れて行ってしまいます。

この時代、男として生まれたのに、女の気持ちになるなんて、病気なのだと言われ、沢山の病院、沢山のカウンセリングを受け、相談をするのですが、誰もが確実な診断は出来ず、精神病だと言われて、病院に入れられそうになってしまいます。ゲルダは、ドイツの婦人科医のヴァルネクロスを見つけ、アイナーの診察をお願いすると、以前見た患者と同じで身体と心が合っていないので、心に合わせて、身体の手術をしてみるかという提案を受けます。

リリーの

しかし、その手術は、今までに行った事が無い手術であり、リスクが大きいと言われるのですが、このまま生きているよりも良いと、アイナーは、手術を受ける事を決めます。手術を受けたら、アイナーは消えて、リリーだけが残ることになるので、ゲルダは複雑でしたが、アイナーの為だと思い、彼をフォローする事を決めます。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。

リリーの

実は、このアイナーと同じだったのが、私の友人Mちゃんでした。私は、ずーっと、男性として彼を観て来たし、彼も男として勉強をし、結婚をし、子供が出来ないんだよなんて相談をしていたのですが、ある事がきっかけで、夫婦仲が悪くなり、悩んで悩んで、病院へ行ったところ、性同一性障害だと診断され、彼は、彼女になりました。戸籍も変え、身体も全部変えて、今は、女性として生活をしています。


それでも、精神的に不安定になる事は多く、ある程度の手助けはしているのですが、友人の私では、大したことは出来ません。でも、女になった時点で、それまでの男の人生は捨てなければならず、友人などもほとんど居なくなってしまったようで、今、以前の彼を知っているのは、彼の周りでは、私くらいでしょう。それでも、女にならざるを得なかった彼女の気持ちは、それは、大変だったのだと思います。


リリーの

このアイナーは、ゲルダという理解をしてくれる妻だった女性がいたので、本当に良かったと思います。普通は、男だったのに女になると夫に言われたら、別れて、戻っては来ません。アイナーとゲルダの関係は、珍しいと思います。でも、もし、私も、今の夫が、女になると言って、なってしまったら、ゲルダのようになれるかも知れない。既に、友人で経験しているし、私、それ程、男だからとか、女だからとか、関係無いんです。まぁ、もちろん、SEXは出来なくなるから、他で見つけなくちゃダメだろうけどね。でも、一緒に居るとか、精神的に支え合う分には、なんら問題は無いと思うんです。

リリーの

きっと、夫が女になったらイヤだと思うのは、夫に守られたいと思う気持ちがあるからだと思うのですが、アイナーとゲルダのように、どちらも画家であり、自立しているのなら、どちらかが守るとか支えるとかでは無く、支え合う、守り合うなんです。そうなると、何ら問題は無い。寄りかかる訳では無いのですから。

これ、大切な事だと思うんですけど、普通の夫婦でも、どちらかがどちらかに頼り過ぎるのは、いつか嫌がられると思うんです。頼っていると、どんどん図々しくなって行くでしょ。そうすると、頼られている方は、段々と面倒になって、ウザイと思うんですよね。それが、どんなに愛していた相手でも、熱が冷めて、お荷物になるだけです。それは、良く無いよね。


リリーの

アイナーみたいに、自分の中に女が眠っている事に気が付かない男性って、結構、居るんじゃないかな。昔は、そのまま、人生が終わったのだろうけど、今は、このリリーが広めてくれたおかげで、本当の自分を見つけやすくなって、間違っていたら、治す事が出来るようになったので、気が付いてしまったら、苦しまずに、ぶっちゃけちゃった方が良いですよ。イマドキ、そういう事が受け入れられない人間こそ、器が小さいとか、偏見があるおかしな人って思われるから、大丈夫ですよ。カミングアウトしてください。もちろん、その時は驚くだろうけど、ちゃんと受け入れられますから。

リリーの

私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。まるで、私の友人の歴史を観させられているようで、楽しくなってしまう反面、昔は、本当に大変だったんだなと言う事が解って、改めて、今の時代が幸せな時代なんだと感じることが出来ました。この感動は、きっと、観て頂ければ感じて貰えると思います。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ




リリーのすべて@ぴあ映画生活


リリーのすべて (ハヤカワ文庫NV)/早川書房
¥994
Amazon.co.jp

女流画家ゲアダ・ヴィーイナと「謎のモデル」 ~アール・デコのうもれた美女画~/新書館
¥1,944
Amazon.co.jp

映画「リリーのすべて」オリジナル・サウンドトラック/ユニバーサル ミュージック
¥2,700
Amazon.co.jp