「マネー・ショート 華麗なる大逆転」を観てきました。
ストーリーは、
2005年、金融トレーダーのマイケルは、サブプライム・ローンが数年以内に債務不履行に陥る可能性がある事に気付き、“クレジット・デフォルト・スワップ“という金融取引に目をつける。一方、ウォール街の銀行家ジャレットは、マイケルの戦略を察知し……
というお話です。
この映画については、書きたいことが多過ぎるので、あまり内容の説明はしません。2005年のリーマンショックの話です。あの事件を、いち早く察知して、それに対処する方法を見つけて、負債を背負わなかった3組の人々の話です。
金融トレーダーのマイケルは、一人でCDSを買いまくり、出資者に訴えられながらも耐え抜いて売り抜きます。銀行家のジャレドは、マイケルの行動により、崩壊を察知して、ヘッジファンドマネージャーのマークにCDSを買う事を勧めます。マークはユダヤ人で、常に正しい見識を持ちたいと思っていて、ジャレドの言う話が本当なのかを何度も確かめて、ODSを買うことを選択し、売り抜きます。若き投資家のジェイミーとチャーリーは、ある書類によってマイケルの動きを知り、伝説の銀行家ベンに話を持ち掛けます。若い彼らに大金を動かす力は無く、ベンに頼って大金を動かし、儲けようと賭けます。そして、彼らも売り抜けます。

彼らは大金を手に入れる事に成功しますが、アメリカは金融崩壊をしてしまい、不幸な人々が沢山出てしまいます。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。
この邦題ですが、”華麗なる大逆転”って、全然合っていないと思ったのは私だけなんでしょうか。この内容を見る限り、銀行を出し抜いて利益を得た彼らは、全く喜んでいないんです。大逆転なんて、やってみたは良かったけど、あまりの酷さに苦しんでいるんです。そりゃ、そうですよね。自分たちは売り抜けたけど、結局、全ての負債は、アメリカ国民が背負う事になったんだから。自分たちに帰ってきちゃったって事なんです。だから、”華麗なる”大逆転なんかじゃないんです。酷い話だけど、なんで気が付かなかったのかしら。
まぁ、日本だって、あのバブルが崩壊するとは思っていない人がほとんどだったんだから、笑っちゃいます。膨らんだ風船は、必ず爆発するのにね。だって、無限にお金なんて出てくる訳が無い。ただ、紙の上、システムの上だけで、数字が動いていただけで、何処にもお金なんて無かったんだから、無いお金をあると思って、勘違いして喜んでいただけなんです。
今、考えてみれば、お金を持っていない人に住宅を売るなんて、そんなアホな事、誰が考えたんでしょう。必ず、借金が返せなくなるのは、解り切っていたでしょ。固定金利じゃなく変動金利なんだから、住宅の価値が上がって行けば、ローンの金利も上がって行く訳で、お金なんて返せなくなるの、バカでも解るよね。大体、借りてから2~5年は固定とかで、それから金利が上がって行くから、いつ破綻するのかは、データを見ていれば気が付いた人は居たハズで、現に、この4人が気が付いた訳なのよ。
こういう風に、映画にして貰えると、本当に解り易くて、面白いけど、自分の国が壊れるのを解っていて、それを止められなかった彼らは、結構、へこんでますよね。可哀想だと思いました。頭が悪い方が幸せって、こういう事を言うんだよね。うーん、考えさせられました。マジで銀行って、縦社会であり、下の者の話を聞かないって事が良く分かります。
この映画と合わせて、「ドリーム ホーム 99%を操る男たち
」を観ると、どんな事が起こっていたのかが、少しづつ解ると思います。この映画は、お金を操っていた方を描いているけど、お金に踊らされてしまった人々の悲劇が描かれているので、面白いと思いますよ。
何度も書くけど、ローンを借りる時は固定金利にするべきで、特に今は最低水準なので、どんなに、変動金利よりも高くても、固定にするべきなんです。変動にするなら、元金均等にするべき。金利が上がって来たら、一気に返済してしまえば、返済出来なくなる確立は低くなるんです。返すお金が無いと言うなら、借りかえれば良い。お金を借りると言う事は、本当に良く頭を使わなければ喰われるだけですよ。
やっと映画の内容についてですが、良く出来ていましたね。でも、万人には親切には作られていないと思いました。ローンの事とか、モーゲージ債、CDO、CDS、空売り、などの事を全く知らないと、理解するのは難しかったかも知れません。モーゲージ債は、銀行が貸しているお金を債権を買った人が肩代わりしているようなもの。もちろん利子が付いて戻ってくるから儲かると信じられていました。CDOは、そのモーゲージ債を組合せて新しい名前に変えただけのもの。

CDSは、映画の中で買いまくっていたものですが、これは債権の保険。生命保険に置き換えれば解り易いけど、見た目、超健康な若い身体に大量の保険金をかけて、一気に病院送りになり、その保険金を貰うって事。何故買いまくっていたかというと、債券を持っている人は安全だと思っているから、保険を賭けて無いんですけど、債券が危なくなると保険証券を手に入れないと、元本保障がされなくて、負債が増えるので、何としてでも保険証券が欲しくなるから、彼らが1万円で買った保険証券が20倍の20万円で売れるって事。でも、危ないって解らないと、保険証券を買ってくれないから、それまでは自分で保険料を払わなくちゃいけなくて、苦しいんです。
3組のディーラーたちが、どうやって、その崩壊に対処して、売り抜けたかを描いていますが、内容は辛いものでした。面白いギャンブルのように見えながらも、壊れてしまったらどうなってしまうのかという不安が、いつも彼らの中にあって、それが起きてしまった時の彼らの表情は、雲っているんです。当たり前ですよね。儲かるけど、自分たちが背負わなければならないものが大きすぎて、未来が見えなくなるんですから。凄い映画だと思いました。もちろん、出演者も素晴らしかったと思います。
私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思うけど、金融関係などに興味が無かったり、解らなかったりする方には、ちょっと無理かも知れません。観ていても、面白さと恐ろしさが伝わらないと思います。これは、ギャンブルとか、勝ち負けの映画ではありません。人間が、あの酷い状況の中で、どう踊ったのかということです。ぜひ、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
・マネー・ショート 華麗なる大逆転@ぴあ映画生活
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