「星ガ丘ワンダーランド」を観てきました。
ストーリーは、
星ガ丘駅の落とし物預り所で働く温人は、幼い頃に母に捨てられた過去を持っていた。持ち込まれる落とし物の持ち主の顔を想像し、名札の裏に似顔絵を描く。落とし物として行き場を失い、ここにやってきたモノたちは、なぜここに来たのか、どんな人に愛されてきたのか、そんなことを想像するのが温人のありふれた日常だった。そんな温人の元に母が自殺したという一報が届いた。その知らせにより、温人の人生が静かに動き始める。
というお話です。

星ガ丘駅で働く温人は、幼い頃に両親が離婚し、母親に捨てられたという思いをずっと持っています。星ガ丘のワンダーランドで、母親が目を離していた時に、温人が観覧車の階段から落ちて、怪我をしてしまい、その事で両親が言い合いをして、その後、母親と別れる事になってしまったんです。母親は、別れ際、自分の赤い手袋を温人に片方渡して、「必ず取りに来るから持っていて」と伝えました。
それから20年後のある日、温人のところに連絡があり、母親が亡くなったとの知らせでした。驚いて警察へ行くと、母親の身体に覆い被さって泣く青年と、それを見守る女性と男性、それは、母親の新しい家族でした。温人は、母親に近づくことが出来ず、そのまま外へ出ると、兄が待っていました。
母親の死は、自殺らしいと聞かされ、高い所が嫌いだった母親が登るはずは無いと不思議に思う温人でしたが、状況から見ると、自殺しか考えられないとの警察の見解を聞かされ、何やら、モヤモヤするものを抱えながら帰る温人でした。
数日後、温人の前に、母の新しい家族の息子が現れ、母親から金をせびっていたのかと言われて殴られます。意味の解らない温人は、殴られるままガマンをするのですが、彼の姉が現れて謝り、母親が借金をして、そのお金を温人の兄に渡したのではないかという話を聞かされます。それも、あのワンダーランドでお金の受渡しをしたらしいと。
兄は、母親を憎んでいたけれど、まさか兄が母を殺す訳が無いと思いながらも、不安が広がって行く温人ですが、兄に何度連絡をしても連絡が取れません。兄は一体、何処へ行ってしまったのか。母親の死は、自殺なのか、事件なのか。それとも・・・。後は、映画を観て下さいね。
この映画、すっごく良かったです。これ、キャストも良いんですけど、何とも、最後にじーんと心に響いてきて、感動をしてしまいました。夫婦は離婚で終わっても、親子というのは、切っても切れないものなんです。だから、温人が持っている手袋を取りに来なくても、ちゃんと温人の所に来てくれていたんです。なんか、思い出すだけで、感動が蘇えってくるなぁ。
観ていると、段々、誰もが怪しく見えてきちゃって、誰かが母親を殺したんじゃないかって思っちゃうんですよ。母親が、新しい家族とどういう暮らしをしていたかもわからないし、置いていった息子たちをどう思っていたかも全く解らない状態で、いきなり警察に自殺だったと言われ、でも、警察もちょっと自殺を疑っている感じがあったりして、どういう展開になって行くのか、見えなくなるんです。
でも、大丈夫。最後、ステキな所に落ち着きます。ま、有りがちと言われてしまうかも知れませんが、そのラストにたどり着くまでの道のりが、何とも紆余曲折するので、面白いんです。ただ、一つ言わせてもらいたいのが、市原さんが演じている、指揮者を目指していた廃品処理会社の男なのですが、とても良いキャラクターなのに、あまり生かされていないのが勿体無いと思いました。温人が心を開くキーパーソンとのことでしたが、もう少し、交流する場面が多くても良かったんじゃないかと思っちゃいました。
温人の兄役が、私の大好きな新井さんなんですが、これが、また、渋くてイイんですよ。もしかして悪い奴かもって思わせながら、超!ステキな人で、またも惚れ直しました。今回、本当に良い役でしたね。この役は、新井さんだからこそ、微妙な雰囲気を醸し出せていて良かったのだと思います。嫌いだけど、愛していたっていう気持ちが、言葉が無くても伝わってきて、泣きそうになっちゃいました。
実は、私が観ていた後ろに、ちょっと年配の男性が2人観ていて、終わった後に、2人でボソッと、”何も考えないで観に来たけど、良い映画だったね。”って、話しながらじーんと感動しているのが伝わって来て、オジサンたち、ステキだよって思っちゃいました。こういう映画で、男性が2人で感動してるって、なんか、イイですよ。うん。カッコいいっす。
中村さん、ライチ光クラブのゼラ(舞台版です。)を演じていた時とは違い、素直な青年役に徹していて、驚いてしまいました。本当にカメレオンですね。何でも、その役になっちゃえるから、ビックリです。もっと舞台で観たいなぁ。映画も良いけど、舞台で、生で観たいっす。期待しています。
私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。私、この映画、好きです。色の使い方も美しいし、人々の深い部分を描いている気がして、感動しました。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
・星ガ丘ワンダーランド@ぴあ映画生活
- 星ガ丘ワンダーランド オリジナル・サウンドトラック/Melodypunchrecords
- ¥2,160
- Amazon.co.jp
- 残酷歌劇 ライチ☆光クラブ [DVD]/TCエンタテインメント
- ¥6,000
- Amazon.co.jp