【演劇】「元禄港歌」何かを犠牲にする事で、欲しい物を手に入れることが出来る。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

舞台「元禄港歌」を観てきました。


ストーリーは、


元禄のころ。播州のある富裕な港町は陸へあがった船頭を相手に客を引く男女などで賑わっている。
いつも町の若者を引き連れ羽振りをきかせている【万次郎】は廻船問屋の大店・筑前屋の次男坊。今日も些細なことから町人との揉み合いが始まった。そんな時、筑前屋の長男【信助】が江戸の出店から戻り、弟をいさめる。そこに二人の母親、女将の【お浜】も現れる。交錯する母息子の視線。


そこへ三味線の音。手引きの【歌春】を先頭に座元の【糸栄】、【初音】、それに続く女たち。旅から旅に明け暮れながら年に一度この港町にやってくる瞽女の一団である。


港歌

その晩、筑前屋の座敷で弾き語られた瞽女たちの「葛の葉子別れ」。千年の森の奥から恋しい男のため白狐となり逢いに来た女が、人里の男を恋した罰に生まれたばかりの子と別れて再び森に帰らねばならぬという悲しい物語。涙ながらに語る糸栄に、信助の心に熱いものが去来する。母恋しさに心乱れるまま、初音に、自身の出生に疑いを持っていることを口走り、糸栄のことを問いかける。何も答えずに去る初音。


同じ夜。万次郎はもう三年の仲となる歌春と逢っていた。それに感づいていたお浜は、職人の【和吉】を歌春の婿にと引き合わせ、二人の仲を裂こうと画策する。その報告を夫の【平兵衛】にしているなか、信助の出生に関して、思わず恨み節を口にするお浜であった。信助を不憫に想う平兵衛と、実の子万次郎を店の後継ぎにしたいお浜、烈しい夫婦の諍い。


一夜明けて、阿弥陀堂では虐げられている念仏信者たちと共に、信助を幼少期より慕う初音、万次郎への想いを断ち切る決心をした歌春、我が子信助への思慕を隠し通そうとする糸栄らが、一心に念仏を唱えている。


次第に初音に心惹かれて行く信助は、同時に糸栄が自分の生みの母であることを確信していく。
数日後。筑前屋では、万次郎が舞う奉納の能楽の準備が進められている。そこへ、歌春から万次郎との関係を聞き及んだ和吉が血相を変え怒鳴り込んでくるが、権高に追い払う筑前屋の面々であった。謹慎を受けた万次郎に代わり信助が務める能楽が始まった、その時。客席から黒い影が飛び出し、能面を付けた信助に毒壺が投げつけられる。そして・・・。


というお話です。


港歌

とっても哀しいお話でした。港町の大問屋の息子、信助と万次郎ですが、長男の信助は、とても真面目で商売も上手く、跡継ぎとしての良い素質を持っています。一方、万次郎は、甘やかされて育ったので、放蕩息子と呼ばれるような性格。悪気はないのですが、素直すぎて、周りが振り回されてしまいます。

そんな2人を取り巻く人々は、とても優しく、良い人ばかりなのですが、心の中には、色々なしこりがあり、思うところがあるんです。口には出せなくても、凄く深い思いがあって、それが、段々と、それぞれの人物の行動に現れてくるんです。


誰もが自分の願うとおりには行かず、無理に自分の気持ちを優先すれば、傷つく人が出てくることが解っているので、それも出来ず、運命に翻弄されて、それぞれが苦しくなって行く。そして、それが頂点に達した時に、ある出来事で、全てが鎮圧されて行くという感じでした。


舞台がとても美しくて、ずーっと、上から椿がボタッボタッと落ちてくるんです。それが、何かを諦めて、力尽きて落ちて行くような、そんな風に見えて、何とも不思議な雰囲気でした。椿って、雨や雪が降った後に地面に落ちると、本当に、同じようなボタッとした音がするんですよね。子供の頃は、何かとても恐ろしい音に聞こえましたが、大人になると、この椿の落ちる音って、何とも言えない、疲れた命が尽きて行くようで、それもまた運命って感じで、心地よくなってくるんです。自分が、死に近くなればなるほど、そう感じるのかも知れませんね。

港歌

そんな音の中、猿之助さんが演じる糸栄は、とても美しく儚げで、悲しみを背負って生きている女性として完璧でした。いやぁ、あのルフィを演じていた猿之助さんとは思えないほど、女であり、母親でした。美しくて、妬んでしまうほどでした。


宮沢さん演じる初音も、目が見えないと言う事で、とても弱く儚げに見えて、信助への思いが溢れているようでした。宮沢さんの舞台を何度も観ていますが、観る度に違う表情を見せてくれて、毎度のことながら、凄いなぁと思います。リハウスの白鳥さんをやっていた女の子とは思えないほど、大人の女性になって、美しくなって、彼女なら次は糸栄も演じられるだろうと思いました。


高橋一生さんもステキでした。私、とっても好きなんです。鈴木杏さんも、舞台が増えていて、どんどん上手くなって、安心して観ていられます。


港歌

私は、この舞台、超!お薦めなのですが、人気舞台なので、チケット、手に入らないかも知れませんが、もし、手に入れられるようなら、ぜひ、観てみて下さい。素晴らしいですよ。何度も繰り返し上演されている舞台なので、その良さはお墨付きだと思います。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ



元禄港歌 千年の恋の森  
http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/16_genroku.html