「恋人たち」を観てきました。
ストーリーは、
橋梁点検の仕事をしているアツシ(篠原篤)には、愛する妻を通り魔殺人事件で亡くしたつらい過去があった。自分に関心がない夫と考え方が違う姑と生活している瞳子(成嶋瞳子)は、パートの取引先の男と親しくなったことから平凡な日常が変わっていく。エリート弁護士の四ノ宮(池田良)は友人にひそかな思いを寄せていたが、ある日、誤解が生じてしまい……。
というお話です。
通り間殺人事件で妻を殺された男・アツシ。妻が亡くなった後、うつ状態になり、今、やっと回復してきて、仕事にも就けるようになりました。彼の仕事は、高速道路などの橋梁点検。鉄筋との剥離やコンクリードの劣化などを音を聞いて判断する仕事で、熟達した人間でないと出来ません。アツシは、良い腕を持っているのに、妻の事件の後遺症で、思うように仕事をする事が出来ません。
アツシは、妻の事件で犯人が心神耗弱ということで罪に問われ無い事に納得が行かず、何度も訴えようとするのですが、どの弁護士に相談しても無理だと言われ、その度に落胆し、”うつ”になってしまったんです。被害者は、どこまでも被害者であり、やったもん勝ちのような世の中に、絶望しているのですが、そんなアツシの話を、優しく聞いてくれる会社の先輩が居て、アツシの心は、少しづつ癒されて行きます。
弁当屋でパートをしている瞳子は、夫と姑と暮らしています。対して面白い事も無く、淡々と暮らしていたのですが、ある日、パートの取引先の鶏肉屋と出会い、その男の不思議な魅力にハマっていきます。男は、鶏の卸をやっているのですが、それ以外にも、怪しげな水を売ったりと、不思議な人。飲み屋の女とデキていて、いつも飲み屋に入り浸っているようでした。そんな男はとても口が上手く、瞳子は、男といると、とても気分が良くなれて、幸せな気持ちになれるのでした。そして、男に誘われるまま、身体の関係になってしまい・・・。
弁護士の四ノ宮はゲイである事を告白し、仕事場でも、今は、大っぴらに男性と付き合っていることを話せるようになりました。でも、実は、学生の頃からの友人で親友と呼べる男性が、今でも忘れられず、好きなままなんです。でも、彼は、既に妻子持ちであり、幸せに暮らしています。ゲイである事を告白した時でも、友人だと言ってくれた彼には、自分の思いを知られたくは無いけど、でも、忘れられない・・・。そして・・・。
と3つの話が進んでいきます。3つとも、ほんの少し、話がかすっているかな?だって、アツシが相談した弁護士が彼だったし、アツシの同僚が騙されてた健康水が、瞳子の入れ込んでいる男の詐欺商品だったし、少しづつ、繋がっているから、同じ町に住んでいるのかなということが解ります。
まず、アツシの話ですが、これ、誰もが許せないって思っている事ですよね。心神耗弱だからって、許す必要は無いと思うんです。だって、もともと、人を殺す状態は、心神耗弱なんですから。そんなんで、納得出来て、許せる訳が無い。私なら、何処までも犯人を追って、殺すと思います。

そして、殺すまで死ぬもんかって思うから、その復讐が、自分が生きる為のエネルギーになる。だから、誰かがアツシに言ってやれば良かったんです。その犯人を殺すまで、生きて、力を貯めろって。そうすれば、仕事をして、お金を貯めて、復讐する為の牙を研ぐでしょ。それって、大切な目標だと思うんです。いつも書いているけど、良い人でいる必要なんて無いんですよ。悪事が目標でも、生きる目的があれば、それがエネルギーになり、生きていれば、明るい方向へ向くことも出来て行くんです。
アツシのような人に、諦めろとか、ガマンしろとか、仕方ないとか、言っちゃいけないと思います。復讐する為の牙を研げと言ってあげれば良い。そして、何処までも協力してやると言ってあげるべきなんです。それが、友人を生かす為の言葉だと思います。

アツシの話で、殺された奥さんのお姉さんが出てくるのですが、彼女の話は強烈でした。被害者の家族なのに何で?って思えるような話で、これは酷いなと思いました。被害者と家族は、周りのみんなが支えて行かなければいけないのに、何やってんだろう。許せない話でした。
次に、変な男にハマる瞳子ですが、結構、こういう人って、居るんでしょうね。笑ってしまいました。だって、全てを諦めているような主婦が、男にハマって、おしゃれになって行く姿が、何とも、滑稽で面白いんです。だって、ちょっと考えれば、その男、サイテー男だよって判るのに、それが見えなくなっちゃうっていうところが、オバサンなのに恋は盲目っていう言葉がピッタリなんですもん。
いつも主人が私に言うのですが、家でダラダラしている時は良いけど、外に出る時や誰かに会う時は、極力、化粧をしてファッションに気を使えと。でないと、直ぐに色褪せて、マジなオバサンになっちまうぞって怒られるんです。この瞳子の御主人だって、もっと妻を構っていれば、瞳子も輝くオバサンになれただろうし、アホな男に引っかかる事も無かったのに。ま、でも、良い薬になったでしょう。(笑)

弁護士の四ノ宮のお話は、これ、私は、あまり解らなかったんだけど、どんなにゲイだとカミングアウトしていたって、好きな人に告白出来ない苦しさがあるって事なのかな。だって、それは男と女だって、相手に妻子が居れば告白出来ないだろうし、苦しいですよねぇ。まぁ、ゲイがノーマルの人に告るというのは、結構、大変なのかな。でも、男だろうと、女だろうと、好きな人は好きだし、苦しい時は苦しいよね。イライラしたら誰かに当たりたくなるし、アホな依頼人の話は聞きたくないだろうし、とっても人間的な弁護士だと思いましたよ。ゲイだからって、何も違わないのよ。
あー、なんか、この映画、内容がとっても濃くて、観た後に、何度も考えてしまうような作品でした。私は、結構、好きなタイプの作品かな。主演俳優たちは、ほとんどが無名なんだけど、脇役に、凄い人が勢ぞろいで、驚きました。
私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。この映画、内容がとても深いので、一度観て、じっくり考えて、また観ても良いかもしれません。それくらい、考えさせられる映画です。あー、私も橋梁の仕事したいなぁ。今、私、建築物だったら、ある程度は音で判断出来るから、とってもやってみたい仕事の一つになりました。面白い映画なので、ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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