「顔のないヒトラーたち」を観てきました。
ストーリーは、
1958年の西ドイツ・フランクフルト。第2次世界大戦の終結から10年以上が経過し、復興後の西ドイツではナチスドイツの行いについての認識が薄れていた。そんな中、アウシュビッツ強制収容所にいたナチスの親衛隊員が、規約に違反して教師をしていることがわかる。検察官のヨハン(アレクサンダー・フェーリング)らは、さまざまな圧力を受けながらも、アウシュビッツで起きたことを暴いていく。
というお話です。
1958年のドイツ。検察官になりたてのヨハンは、交通違反の裁判ばかりを任されて、ちょっと不満気味。折角、検察官になったのに、何故、こんな仕事ばかりなのかと、ちょっと不満を漏らしています。そんな時、ある男とジャーナリストが、検察に飛び込んできて、ナチスが野放しになり、教師をしているのに、訴えられないのかと騒ぎます。
第二次世界大戦が終わってから10年以上経ったのですが、国内では、ナチスの事はあまり話題にならず、国のトップに元ナチスの人間が就いているために、元ナチスへの犯罪追及はされず、非道な事をしたナチスの高官たちは、良い職に在り付いていました。過去を封印し、国の安定を図っていたのです。しかし、ユダヤ人や、ナチスに加入しなかった人々は、その怒りを内に秘めていました。
検察で騒いだ男たちが気になったヨハンは、こっそり、訴えていた書類関係を手に入れ、騒いでいたジャーナリストに話を聞くことにします。すると、元ナチスで、子供たちに非道な行いをした指揮官が、今は、小学校の教師の職に就いていることが判明したというのです。教師の男は、昔、収容所で捕虜を惨殺した過去があるとの事でした。
ヨハンは、この男を調べ、上司の検察官に経歴を隠して職に就いているとの報告をするのですが、証拠が無いから、何とも手立てがないと言われます。そして、上司はヨハンに、この仕事は困難を極めるだろうが、元ナチスの人物を探し出し訴えるという事をやってみる気があるのかと聞いて来ます。ヨハンは、正義感が強く、犯罪を犯したのに訴えられずに暮らしているのは許せないと、その事件を洗い直して、報告しますと訴えます。
そこから、ヨハンは、秘書や同僚の力を借りて、元ナチスであり、殺人以上の犯罪を起こした人間をとらえて、裁判にかけるという仕事をやり始めます。しかし、誰もが、ナチスのアウシュビッツの話などしたがらず、協力が得られない中、ユダヤ人でアウシュビッツに収容された人々だけは、協力してくれて、その悲惨な状況を訴えてくれます。そして、ヨハンや同僚、秘書たちは、ドイツで戦時中に何があったのかという事を知って行くんです。驚くほど残虐な事を、ナチスという名前の元、同じドイツ人がやっていたという事に気が付き、このままではいけないと、沢山の元ナチス戦犯者を見つけ出し、逮捕して行きます。
しかし、逮捕して行けば行くほど、誰もが戦時中はナチスに属することで身を守り、狂ってしまっていたことを知ります。そして、ユダヤ人が狩られたと同じように、今度は元ナチスを狩っていることに気が付きます。そして・・・。後は、映画を観てくださいね。
この映画を観て、日本も同じだと思いました。ドイツは戦争に負けたけど占領されることは無かったので、戦犯があまり捕まっていなかったんですね。日本は、アメリカに占領されたので、戦犯の人々は、ほとんどが捕まり、その罪を償わされました。「私は貝になりたい」のように、それを戦犯と言わないだろうという人までも、戦犯として捕まり、死刑とされました。だけど、その後、生き残った日本人は、戦争で何が行われたのか、ほとんど教育を受けないまま、成長してしまったので、このドイツのヨハンと同じなんです。
日本は島国で、自分の国での戦争は経験していないので、分かりませんよね。戦争を体験した方々が、文章などで残してくれない限り、何も知らない事になってしまう。それは、恐ろしい事です。だからと言って、他の国が好き勝手に捻じ曲げた歴史を教えられても困りますけど。でも、何かで、本当は戦争で何があったのか知りたかったです。戦犯は、あっという間に死刑にされてしまったけど、本当は、彼らに話を聞いて残さなければいけなかったのだと思います。

この映画でも、ただ、戦争犯罪者を追及して行くだけではなく、彼らは一体何だったのか、何故、そんな事になってしまったのかという事を考えています。そして、元ナチスを追っている彼らが、今度は、反対にナチスの様に狩り始めている姿を描いていて、人間の業というか、人間の愚かさを描いているようで、とても考えさせられました。
ただ、力を使い、追求するだけなら簡単なんです。権力を傘に着て、相手をねじ伏せるという手法は、いつの時代も、間違っている事が多いんです。本当に、気を付けなければいけません。人間の愚かな姿に哀しくなりました。でも、犯罪者を野放しには出来ないですよね。被害者が居るんですから。うーん、難しい問題です。
私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。この映画を観て、とても考えさせられました。日本だって、戦争で何があったのかを直視する必要があるのだと思いますが、なんたって、相手が韓国や中国では、まともな歴史が語られるわけがありません。嘘ばかりを並べて、お金をせびる国ばかりで、到底、言っている事を受け入れられないんです。もう少し、正しい事を言う人が出て来てくれれば良いんですけどね。とにかく、この映画、とても良いので、ぜひ、観てみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
P.S : この映画の話の後に、「アンナ・ハーレント」のお話が続いてくることになります。
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