24作目
東京国際映画祭 コンペティション部門「スナップ」を観ました。
ストーリーは、
卒業して8年。バンコクに住むプン、は母校で行われる同級生の結婚式に出席すべく故郷に帰る。そこにはカメラマンになった初恋の相手・ボーイの姿も。ふたりで数えたイモリに似た池の魚。思い出のベンチ。上書きされてなかった恋の痛みに、婚約者がいながら動揺してしまうプンでしたが。
というお話です。
高校を卒業して8年。プンは、付き合っている男性との結婚が決まり、幸せな毎日を過ごしています。彼は、軍の関係者であり、将来も安心出来る人で、プンの家族も、安心しています。プンの父親も軍関係の人物だったようで、高校の頃、父親の仕事の関係で、バンコクに引っ越しする事になり、友達たちと別れたのでした。プンは、高校の頃、付き合っていたボーイという青年が居て、同級生でした。自転車屋の息子で、彼は、写真を趣味としていて、高校の頃は、いつもみんなのカメラマンとして喜ばれていました。
ある日、プンは、街中で婚約者とデートをしている時、外で写真撮影をしているボーイを見かけます。懐かしい思いと、ドキドキする気持ちが沸いてきて、婚約者は、知り合いなの?と聞きます。素直に知り合いだと言えないプンですが、ボーイの方が気が付き、声をかけてきます。懐かしい再会をする2人。
それから間もなく、同級生の結婚式が、故郷で行われるとのことで、故郷の高校で集まる事になります。プンは、またボーイに会えるかもと思い、淡い期待を抱くのですが、プンには、既に婚約者が居て、結婚式の日程も決まっています。婚約者への思いもありながら、ボーイへの思いも消えず、複雑な状態のプン。
そして、故郷で友人の結婚式に参加し、ボーイとも再会し、その気持ちは、どんどんボーイへと向いていくのですが、そこへ、婚約者がサプライズで現れ、プンの気持ちは、またも複雑に揺れ動きます。一方、ボーイの方も、プンへの思いはあっても、既に彼女には婚約者が居て、まして自分はカメラマンという不安定な職業。彼女の家との格差もあり、その思いを告げる事は出来ません。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。
うーん、これ、良くありそうなラブストーリーなのですが、何が違うかというと、タイの政治情勢が密接に関わって来て居る事なんです。彼らが、同窓生の結婚式で故郷に戻る日に、戒厳令が引かれて、移動するのに大変だったり、政治情勢によって、人間関係に変化が訪れたりと、タイという国の微妙な情勢が、人々に与える影響を、良く描いているんです。
もし、日本でも、クーデターなどが起きたら、昨日まで仲の良かった友達が、突然、敵になってしまうかも知れない。付き合っていても、別れる事になるかも知れない。まして、裕福な家庭だったけど、突然、全てが奪われて、家も何も無くなるかも知れない。この映画の中の人物たちは、そんな事はありませんでしたが、彼らの生活の中に、その不安がいつも付きまとっていたという事は分かります。
そんな中で、自由に恋愛して、好きな人と結ばれるのは、難しいのかなと思いました。政治が安定しているという事は、とても大切なことなのだという事が解ってくる内容の映画でした。そして、もちろん、恋愛でsね。初恋は、実る事が無いと言われますが、どうなんでしょ。ここでぶっちゃけですが、私が、最初に結婚した人は、初恋の人でした。既に、中学の頃から知っていた人だったのですが、結婚して直ぐに壊れちゃいました。まぁ、初恋の人だったけど、紆余曲折あった後に、結婚だったんですけどね。でも、一応、初恋は実ったというのかな。実って、落っこちたから、私は、また新しい実を付けました。(笑)
でも、やっぱり、初恋は良い思い出です。どんな結末になろうと、その頃の思いは本物だし、若い自分の未熟さから、美しいものしか見ていなかったということも解り、良い教訓になると思います。だから、初恋は、大切に心に入れて生きて行くのがベストかな。この主人公たちも、良い思い出として、これからの人生のスパイスになって行く事でしょう。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。ベタなラブストーリーだけど、考えれば考えるほど、深い事を描いているので、楽しめると思います。特に、タイの政治情勢などを知ってから行くと、もっと理解が深くなるかも知れません。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
東京国際映画祭 コンペティション部門「スナップ」
http://2015.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=29