23作目
東京国際映画祭 コンペティション部門「カランダールの雪」を観ました。
ストーリーは、
険しい山の上で、わずかな家畜と共に電気も水道もない暮らしを送る家族。一獲千金を夢見る父は、山に眠る鉱脈を探している。しかし、家族の目には無駄な努力にしか映らない。やがて、村で開かれる闘牛に希望を託し、なんと家畜の牛の特訓をはじめてしまう…。荒涼たる大自然の中で生きる一家の姿が大きなスケールの映像で綴られる。
というお話です。

とっても貧しいメフメットの家族は、山の中にあり、今にも壊れそう。そんな中でも、家族5人は、仲良く暮らしています。しかし、メフメットには借金があり、それを返さない限り、楽な生活はやってきません。メフメットは、生活を安定させるために、地道な仕事に就くよりも、山にある資源鉱脈を探して、一攫千金を狙っています。しかし、そんなに簡単に見つかる訳はありません。

何度も、採掘会社に石を持ち込み、金などの鉱脈が無いかと探るのですが、いつまでたっても、そんな鉱脈は見つかりません。家族は、どんどん貧困になり、息子が、カタツムリを沢山捕獲し、売りに行くとまで言う始末。もう、家族の限界も近いのではと思われ、メフメットは、飼っている牛を闘牛に出し、賞金を貰おうと訓練し始めます。こちらも、そう簡単に闘牛で勝てるような牛に育てられる訳がありません。

闘牛でも失敗し、結局、何も手に入らないメフメットは、もう、打つ手がないと消沈しています。ある朝起きると、飼っている牛が居なくなっています。牛は、一家にとって、大切な財産なので、家族は、必死で探し始めます。そして、牛を見つけるのですが・・・。後は、映画を観て下さいね。

これは、厳しい山の中のお話なのですが、こんな状況って、日本でも、沢山あるんだろうなと思いました。何をやっても上手く行かず、仕事に就いても、生活保護より安い給料しか貰えず、一攫千金を狙っても、結局、詐欺などにあってしまい、お金は、無い方から在る方へ流れてしまう。お金って、貧困層には流れず、裕福層に流れて行くんですよね。社会が狂っていると思っても、これは、変わる事が無いんです。

メフメットは、自然の中で、誠実に生きています。悪い事はせずに、本当に正直に生きているのに、チャンスは巡ってこないんです。母親は、家族が居るんだから、一攫千金など狙わずに、普通に働きなさいというのですが、メフメットは、普通に働くのでは、借金もあり、家族を養ってはいけないだろうという事が、解っていたのではないかと思います。でも、そんな事は家族に伝わらないし、メフメットも、あまり話をするタイプではないので、家族は不安になるばかり。

メフメットの下の息子に障害(ダウン症)があり、そんな事もあって、メフメットには、お金が沢山必要だったんじゃないかしら。でも、ちゃんと神様は見ているから、きっと良い事が起こるだろうなって感じでしたよ。この映画、私は、ハッピーエンドだったのだと思って、幸せな気持ちになりました。

私は、この映画、まぁ、お薦めしたいと思います。良い映画なのですが、とにかく長いんです。長いんですけど、ほとんど大きな動きというか、アクションが無いんです。メフメットの生活を追って行くだけなので、彼は、色々考えて、動いていくのですが、全体には動かないので、ちょっと眠くなっちゃうかな。でも、最後まで観ると、良かったって思える映画です。日本公開は分かりませんが、もし、観る機会があったら、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。

東京国際映画祭 コンペティション部門「カランダールの雪」
http://2015.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=5