21作目
東京国際映画祭 コンペティション部門「ガールズ・ハウス」を観ました。
ストーリーは、
結婚式を翌日に控えた女性が死んだ。直前まで新居のカーテンを変えていたらしい。友人たちが調べ始める。しかし女性の父親は非協力的で要領を得ない。一体何が起きたのか。本当に死んだのか?謎解きドラマの形を借りつつ、伝統的なイスラム社会の影に踏み込む衝撃のドラマ。
というお話です。
結婚を明日に控えたサミラは、友人たちに電話をし、明日の予定を何度も確認したり、色々な頼み事をしたりと、大忙しです。友人たちも、結婚式を祝う為に、ドレスを選んだり、靴を選んだり、明日の結婚式で、もしかして、ステキな男性との出会いがあるんではないかという期待もあり、大盛り上がり。
友人のパリサたちは、買物に周って、サミラの妹と合流し、さらに買物に周って、結婚式の準備に余念がありません。そして、準備も終わり、大学の学生寮に戻った彼女たちは、打合せを終えて、それぞれの家に帰ろうとすると、一本の電話が。サミラが亡くなったと言うんです。さっきまで、結婚式の準備で大騒ぎをし、新居のカーテンを付けていたはずなのに、何故、彼女が亡くなったのか。
そこには、ドス黒い伝統の影が覆いかぶさっていました。サミラは、夫となるマンスールを愛していたし、ただ、幸せになれる事を願っていただけ。それなのに、イスラム社会の壁が立ちはだかります。いまだ、イスラムでは、処女神話があり、結婚する時には、処女でなければいけないというんです。マンスールやサミラの時代は、既に解放されていて、それほど、固執はしていませんが、親の世代は、伝統を重んじ、護っているんです。
サミラは、美容院に連れて行くというマンスールの母親の言葉を信じ、付いて行くのですが、そこは病院。結婚前に、処女であるかどうかの診察をされるのです。あまりの突然の出来事に、パニック状態になるサミラ。しかし、母親や親族たちは、無理やり診察室にサミラを押し込みます。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。
これ、マジで腹が立ちました。何なのっ!!私なら、許さないけどね。そこら辺のもの、全て壊して、母親も殴っていると思うけど。あのね、処女なのか、処女でないのかという事が問題じゃないんですよ。そう言う事を、他人に指示されるのが許せないの。屈辱でしょ。この気持ちは、男には解らないでしょ。解るように教えてあげるとすれば、ち○こを出して、一度、大きくして、大きくなったところの太さや長さを測られると一緒です。おまけに、アンタの大きいねとか小さいねとか言われちゃうって事。その大きさで、結婚出来るか出来ないか、決まる感じです。解る?屈辱でしょ。マジでムカつく!
そして、それを女性に対して、女性がやらせるって事が、もう、許せません。まだ、男が言うなら、その屈辱感が解らないだろうから、教えてやれるけど、それを同性の女が言うのでは、それ、自分もやられたから、嫁になる女にもやるって事でしょ。自分がイヤだった事なのに、人に強いるなんて、人間としてどうなのよ。伝統だから?はぁ?悪い習慣は、自分の代で終わらせようと思わないのかね。
だから、これ、観た人がどう思ったかは解らないけど、サミラは処女だったかも知れないんです。いや、反対に、処女だったからこそ逃げたのかも知れません。だって、処女じゃなかったら、それ程、そこを見られることに抵抗は無いですからね。適当に、医者に金でも掴ませて、処女ですって言って貰えば良いことなのよ。でも、サミラは、それが出来なかったと言う事は、処女だったのかも。処女だったからこそ、他人に見られることを拒んだのかも知れません。
この微妙な潔癖感というか、若い女性の気持ちは、男の子には、解んないだろうなぁ。だから、これに関しては、あまり男性に語って欲しく無いっす。
サミラが以前に付き合っていた男性が居て、既に処女では無かったと言う事も、推測は出来ます。何故なら、サミラの妹が、ちょっと外国人風の男性と付き合っているという映像があるので、また、同じような苦しみが、女性に起こるかもという予想をさせているからです。
まぁ、どちらも想像は出来るのだけれど、この映画は、そこが問題では無く、結婚相手の母親が、嫁になる人物に対して、検査を強いると言う事が問題なんです。イランという社会の中で、今も、こんな事が続いていると言う事が、問題なんです。こんな習慣、終わらせなければ、民族がダメになります。イヤな事は誰もがイヤなのだから、自分の代で止めさせようよ。
私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。こういう問題を突きつける映画は、ぜひ、日本でも公開して欲しい。そして、女性の敵に女性がなっちゃダメです。女性同士で傷つけあってどーすんの。悪い伝統は、誰かが止めなければ終わりません。日本も、悪い伝統は止めて、良い伝統のみ、引き継いでいきましょう。ぜひ、観てみて下さい。でも、日本公開は、まだ決まっていないようです。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
東京国際映画祭 コンペティション部門「ガールズ・ハウス」
http://2015.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=13