20作目
東京国際映画祭 ワールド・フォーカス部門「タンジェリン」を観ました。
ストーリーは、
ロサンゼルスの夏のようなクリスマス・イブ。トランスジェンダーの娼婦シン・ディは、恋人の浮気相手を見つけてとっちめようと躍起になる。歌手を夢見る同業の友人アレクサンドラは、カフェでのライブが迫っている。アルメニア出身の心優しきタクシードライバーのラズミックは、変態ちっくな欲望を満たそうとしている…。iPhone5Sにアナモレンズを装着して撮られた映像の効果にも注目。
というお話です。
クリスマス・イブに、別荘(刑務所)から帰ってきたシンディ。友達のアレクサンドラと久しぶりにドーナツ屋で話していると、自分の彼氏・チェスターが白人女と浮気していた事を知ります。あ、一応、ことわっておきますが、シンディとアレクサンドラは、トランスジェンダーなので、身体は男ですが心は女なんです。2人は、その街で性的な奉仕を商売として暮らしています。
シンディは、チェスターの浮気が許せず、怒りに任せて、チェスターの行きそうなところを探し、友人たちにチェスターの居所を聞き出そうと躍起になります。アレクサンドラは、何度も止めるのですが、言う事を聞いて貰えず、仕方なく、シンディと別れて仕事をする事に。
シンディは、チェスターの浮気相手を探し出し、チェスターを交えて話をしようと移動していると、その日の夜7時から、アレクサンドラがライブを開くことを思い出し、その浮気相手も連れて、ライブ会場へと急ぎます。そして、アレクサンドラのライブは無事開催され、終わり、そして、シンディとアレクサンドラ、チェスターの浮気相手の3人で、チェスターが居ると思われるドーナツ屋へ。
そして、チェスターを責めるのですが、惚れた弱味で、結局、シンディはチェスターを責めきれず、今度はチェスターが衝撃的な告白をします。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。
最初の場面で、シンディとアレクサンドラがドーナツ屋で向き合っているのですが、嫌にキレいに見えるので、女性かなって思ってしまったのですが、良く見ると、ゴッツくて、あ、男だって解るんです。あ、でも、女性として生きているんですけどね。2人の話を聞いていると、シンディが刑務所から出所してきたとこだって事が解ってきます。そんな彼女に、アレクサンドラが、つい、白人の女性と浮気をしていたという噂を話てしまったところから、この話は急展開。彼女たちの日常を描きだします。
私、イマイチ、解らないのが、この映画の中でもいるのですが、男性で、妻も子供も居るのに、男性が好きっていう人の事。あるタクシー運転手は、妻子も居るのですが、男性との行為が好きで、道端で娼婦を拾ったら、下半身を見てみると女だったことが判って、怒って、車から追い出す場面があるのですが、そんなに女性が嫌なのに、よく結婚して、子供も作れたなぁと思ってしまいました。で、アレクサンドラとお金を払って楽しむんですね。うーん、どっちでも良いのか、無理して女性を抱いて、子供を作ったのか、良く分かりません。
そりゃ、同性でも、凄くキレイな人を見ると、ステキだなぁとは思うけど、性的な対象には全く思えないんですけど、このどちらでも良いっていう人の気持ちが理解出来ず、それが解らないと、何となく、この映画の本当の部分が解らないのかなぁと思い、ちょっと寂しい気持ちになりました。
この映画は、男とか女とか、そういう性別を超えて、人々が生きているという姿を生々しく描いていて、とても面白く、斬新な内容だと思いました。そして、これ、iPhone5で撮影しているそうなんです。iPhoneで、こんなに綺麗で面白い映像が撮れるなんて、驚きました。もちろん、技術もあるのだろうけど、これを観てしまうと、映画の予算が足りないから作れないと言っているのが、おかしくなって来てしまいます。
そりゃ、素晴らしい映画を作るのに、予算が必要なのはわかりますが、こういうインディーズ映画を、身近なもので作り上げると言う事も大切なんじゃないかと思います。インディーズで話題になって、予算を集めて、本当の大作を作れば良いんじゃないのかな。まず、工夫が大切だってことを、この映画で知りました。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。映画関係の仕事をしたいと思っている方なら、やっぱり、こういうiPhone5で撮影したような映画を観ておくことって、大切なんじゃないかしら。構成も上手いですよ。日本公開してくれるかなぁ。もしダメでも、この映画なら、もしかしたら、DVDで出るか、ネット配信があるかも知れません。ぜひ、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
東京国際映画祭 ワールド・フォーカス部門「タンジェリン」
http://2015.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=139