【TIFF2015】「ニーゼ」現代の精神医学の元は、ニーゼの考え方だったんですね。素晴らしい! | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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18作目

東京国際映画祭 コンペティション部門「ニーゼ」を観ました。


ストーリーは、
ショック療法が正しいものとされ、暴れる患者を人間扱いしない精神病院に、女医のニーゼが着任する。芸術療法を含む画期的な改革案を導入するが、彼女の前に男性社会の厚い壁が立ちはだかる。ユングの理論を実践し、常識に挑む勇気を持った精神科医の苦闘をストレートに描く感動の実話。
というお話です。


ニーゼ

ブラジルの国立精神病院に、ニーゼという女性の精神科医が赴任してきます。彼女は、自分の考えを持っており、その時代にもてはやされていたロボトミー手術には反対していました。なぜなら、精神病は、治療が出来ると考えていたからです。

ニーゼは、他の精神科医と対立しながらも、自分の考えを貫き、患者たちを顧客と考え、彼らをもてなす場所を作り、そこで動物たちとの交流、そして絵画を学ばせることを始めます。自由に、彼らの心の解放を促し、ストレスを与えずに、無意識の状態を絵に向かわせるという手法で、治療を進めて行きます。その治療は、それまでの精神医学とは全く異なり、他の医者とは相容れませんし、院長も受け容れてくれません。

ニーゼ

まして、ニーゼは女性です。この時代、南米で、女性が男性の世界で、先を走るような事は受け入れられなかったんです。何処までも意地悪されて、彼女の考えは、聞いて貰えませんでした。ニーゼがユングに手紙を書くのですが、その手紙に返信してきたユングさえも、精神医学で先進を走っている彼女を男性と思っていたのです。まさか、女性がそんなことをさせて貰えているということが、珍しかったのでしょう。

ニーゼ

彼女の治療は、実を結び始め、患者たちは、素晴らしい絵や彫像を作りあげます。その作品の素晴らしさに感銘を受けた、カメラマンや記者が、ぜひ、病院では無く、外で展覧会を開くべきだと助言し、外での展覧会が成功すれば、ニーゼの治療も味方が増えて、やりやすくなるはずだと言います。そして、ニーゼは、彼らの言葉を聞き、病院内だけでなく、外でも展覧会を開くようになり、その治療は、世界に広がって行きます。そして、ロボトミー手術は、問題とされて、施術されなくなりました。良かったですね。

ニーゼ

ニーゼは、それからも自分の仕事を休む事無く、精力的に患者の治療に尽くしました。90歳超えても頑張っていたそうです。後は、映画を観て下さいね。

この映画、素晴らしかったなぁ。こんな事が、昔、南米ブラジルで行われていたなんて、驚きました。てっきり、こういう治療の仕方は、ヨーロッパやアメリカが先進なのかと思っていたら、ブラジルで素晴らしい革命が起きたんですね。ビックリしました。こんな素晴らしい先生がいたなんて、本当に良かった。


ニーゼ

まず、ニーゼさんは、患者さんたちを、庭に出して、自由に散策させるんです。それまで、部屋の中ばかりで、人によっては拘束されていたのに、そんな彼らが、外に出られただけで、ちょっと表情が変わってくるんです。ちゃんと、観ている人に伝わるように描いているのって、凄いでしょ。そして、患者さんたちは、犬を飼い始めて変わり、絵を描き始めて変わり、これ程に人って変わるんだと言うほど、変化が解るように描かれていました。


だから、この映画は、ニーゼ先生も凄いんだけど、周りの患者役の俳優さんたちもスゴイんです。観ていると、その変化が嬉しくなって来てしまうんですもん。そして、ニーゼ先生の下で働く、介護の人々も、表情が柔らかくなり、患者に対しての気持ちも変わって行きます。

ニーゼ

精神が壊れてしまって、人に攻撃的になる事もあるけど、その攻撃性って、ロボトミーをしなくても、緩和させる事が出来るのだと言う事が、ニーゼの研究で判ってきているのに、他の先生方は、それを全く受け入れようとしないんです。何で、そんなに頭が固いんだろうって思いました。この頃は、まだ、女の考えに左右されるなんて、プライドが許せなかったのでしょうね。心の貧しい人達です。こんな先生たちが、精神科医をやっているのかと思うと、ニーゼも先行き不安だったでしょうね。

ニーゼの治療を認めた人達もとても多くて、彼女の周りに沢山の弟子が出来て、彼女が提言したことを患者にやるようになり、世界に広がったのかな。ニーゼは、この頃、命を狙われたりもあったようですよ。味方も多かったけど、敵も多かったんです。大変だったみたいですが、そこは、今回は、描かれていません。でも、無事で良かったですね。

ニーゼ

私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。これ、マジで驚いてしまって、何で、もっと早くに話題にならなかったんだろうと言うほど、今の精神医学に対しての革命だと思うような内容でした。この人が居なかったら、精神病と診断されたら、ただ監禁されるだけの一生になってしまっていたのではないかと思います。そんな素晴らしい人を描いた映画なので、ぜひ、日本公開して欲しいです。ぜひ、観てみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ





東京国際映画祭 コンペティション部門「ニーゼ」

http://2015.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=23