【TIFF2015】「コスモス」彼の世界は、どんどんダークサイドに侵されて行く。目を覚まして! | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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15作目

東京国際映画祭 ワールド・フォーカス部門「コスモス」を観ました。


ストーリーは、
ヴィトルドは法学部の試験に失敗し、逃げるようにポルトガルの村にやってくる。家族経営の民宿に滞在すると、そこには躁状態の女主人、浮世離れした夫、唇のめくれた女中、そして美しい娘がいた。ヴィトルドは娘に恋をするが、娘はハンサムで優秀な建築家と結婚したばかりだった。一方、ヒモで吊るされた雀の死骸を森でみつけたヴィトルドは、そのイメージから逃れられなくなる…。

というお話です。


コスモス

この映画、面白かったなぁ。主人公がどんどん妄想の中に入って行ってしまい、現実と妄想の境が解らなくなって行くというお話なんです。


ヴィトルドは、法学部の試験で失敗して、次回に受かるように、勉強をしなければならず、静かなポルトガルの村にやってきます。海が見える部屋だと聞いて、楽しみにしていたのですが、友人の見つけた宿は予想とは違っていて、仕方なく、その近所の見晴らしの良さそうな宿を探します。

コスモス

近所に、良い宿が見つかり、そこに滞在することになるのですが、その宿は、家族で経営しており、経営者の夫婦と、その娘と夫、姪が暮らしていました。姪は、働き者で美しいのですが、事故で唇が捲れてしまっています。もう一人の既婚の娘は、完璧に美しく、ヴィトルドの興味を惹きます。

ヴィトルドは、この町に来る前に、婚約者に捨てられていて、精神的なショックを受けています。そのせいなのか、時々、現実と妄想との区別が付かなくなり、友人も、ちょっと心配している様子。しかし、イヤな事は忘れるようにと、海に行って泳いだり、騒いだりして、楽しんでいます。


コスモス

ある日、ヴィトルドが散歩をしていると、山道の途中に、スズメの首つり死体が吊るされています。驚いたヴィトルドは、誰がそんな酷い事をしたのか、突き止めようと、宿の家族を観察し始めるのですが、既婚娘のレナが、夫がいるにも関らず、奔放な事を知ります。レナを疑いながらも、彼女に惹かれて行き、自分の前の彼女と重なって行くヴィトルド。妄想は膨らんでいき、不思議な感覚に襲われ始めます。

レナの飼っていた猫が吊るされ、家族とヴィトルドたちは、海辺の別荘に宿を移し、そちらで気持ちを切り替えようとし、移動途中で、宿主の女性が、汚い神父を拾って、別荘の向かいます。別荘へ付くと、誰もがおかしな行動を取り始め、宿主の夫は二股に分かれた枝を持ちおかしな事をつぶやき、宿主の女は固まり、女たちに向かって男が酷い臭いがすると言い放ち、不穏な雰囲気に。そして、神父からもおかしな臭いが。ヴィトルドは正気に戻れるのか。後は、映画を観て下さいね。

コスモス

これ、普通の人が観たら、なんだか解らないと思うのですが、既に、村に着いた時からヴィトルドが壊れていたと思えば、それ程、苦労はしないんです。だって、途中で、友人の仕事も変わって行くし、吊るされた動物たちだって、本当は、木切れだったのかもしれない。でも、ヴィトルドにとっては、残酷な死体なんです。

コスモス

彼の妄想は進み、臭いを手がかりに、神父が蠅の王・ベゼルブブになったり、レナが王たちを誑かす姦淫婦となったり、ただ一人、心の美しい姪は、別荘に行くと、同じ顔をした親族の娘が居て、その娘は妊娠しています。ここまで読んで解って頂けると思うのですが、聖書のヨハネの黙示録に出てくる記述が、彼の目の前に広がって行くんです。ハルマゲドンですね。

コスモス

そして、最後の方で、ヴィトルドが、レナと入って行く宿の入り口には、”プロビデンスの目”が描かれており、究極の神を表しているので、そこで、エデンに入って行くのかなと思いました。ヴィトルドは、完全に自分の世界に入り込んでしまうんです。友人は、最後まで止めようとしているように見えるのですが、結局、彼を止められないんです。

まぁ、試験に失敗し、彼女にも去られて、繊細なヴィトルドは、自分の中に引きこもるしか無かったのかも知れません。でも、彼は幸せだと思います。だって、自分の望み通りの世界に入って行くのですから。周りなど、どーでも良いんです。人の幸せは、他人には解りません。何が幸せなのかは、個人が決める事。私には、そんな風に、この映画が見えました。面白かったです。

コスモス

私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。私は、こういう話、大好きなので、とっても楽しめました。理解しようとする内容では無く、感じる内容なんです。面白いですよ。日本公開は解りませんが、有名な監督の作品なので、単館でしてくれるかも。ぜひ、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ





東京国際映画祭 ワールド・フォーカス部門「コスモス」

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