【TIFF2015】「さようなら」人間の生って何なんでしょうね。何をもって生きるとするのかな。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

8作目

東京国際映画祭 コンペティション部門「さようなら」を観ました。


ストーリーは、
放射能に侵された近未来の日本。各国と提携して敷かれた計画的避難体制のもと国民は、国外へと次々と避難していく。その光景をよそに、避難優先順位下位の為に取り残された外国人の難民、ターニャ。そして幼いころから病弱な彼女をサポートするアンドロイドのレオナ。やがて、ほとんどの人々が消えていく中、遂にターニャはレオナに見守られながら最期の時を迎えることになる・・・・・。

というお話です。


さようなら

長野の高原の中腹に住んでいるターニャは、南アフリカから難民として日本にやってきました。両親と共にやってきたのですが、今は、ターニャだけ。ターニャは、敏志と付き合っていて、一緒に居る時はしあわせそうなのですが、あまり一緒に居る事が出来ません。


日本は、原発の爆発により壊滅状態となり、国民は日本から避難する事を余儀なくされました。一気に避難する訳にも行かず、難民として受け入れてくれる国を見つけて避難するのですが、そう簡単には行きません。政府は、国民を順番に避難させる事とし、人々は、国からの避難通知を待って、海外移住することになります。


さようなら

ターニャは、一人で暮らしているのですが、敏志は年老いた両親を抱え、おまけに父親に認知症が出ていて、その世話だけでも大変なんです。だからターニャと居られる時間も限られているし、彼女の面倒までも見る事が出来ません。ターニャは、敏志と結婚したいと思っているのですが、そこには大きな問題もあります。


ターニャは、既に一度難民となり日本に来ているので日本国民では無く、まして余命が少ないので、海外移民の順番は末尾の方なんです。そのターニャと結婚するという事は、相手の順番も下がってしまうという事であり、敏志には、年老いた両親の面倒を見て行かなくてはならないという事情もあり、簡単にターニャを引き受ける訳に行かなかったと思うんです。ターニャは、敏志を待っていたのですが、敏志は両親を連れて海外に移民が決まり、ターニャの元を去ってしまいます。


さようなら

一人、死を待つターニャに寄り添うロボット・レオナは、すべてターニャから学習しているので、まるでターニャの分身なんです。自分の分身であるレオナと2人、誰も居なくなった場所で、静かに、その時を待つのでした。そして・・・。後は、映画を見て下さいね。


命というものについて考えてしまう内容でした。ターニャは、人間なのですがもうすぐ死を迎えることとなり、レオナはロボットなのでで死とは無縁ですが、そこに”命”は無いんですよね。レオナは、ターニャから学習して人に近い存在となってはいても、やっぱりロボット。ターニャにとって、レオナは、良き相談相手であり、友達だったけど、人では無くロボットなんです。


さようなら

でも、考えてみれば、自分をコピーして出来上がった人格なんですから、レオナは自分なんですよね。ターニャはレオナに「アナタを見ていたつもりで自分を見ていたのね。」というような事を言うのですが、ターニャは死んでも、レオナは永遠に生きていける。データさえコピーしていけば、そこにターニャの魂=ゴーストは生き続けるんです。あ、これ、「攻殻機動隊」が描いている、ゴーストという認識と同じだなって思いました。


もし、意識がデータ化出来るのであれば、原発事故が起ころうと、身体を変えて、そこに生き続ければ良いだけの事。有機物の肉体なんて、持っている必要も無くなるのだけれど、そもそも、魂=意識って、脳にあるんでしょうか。それとも、身体全体のDNAの中にあるのかな。人間って、不思議ですよね。DNAの中に、その人の設計図が入っているならば、脳が無くても良いのだろうけど、魂って、経験が蓄積されたデータだから、経験データは脳にあるのかな。うーん、解剖したって解らないよなぁ。


さようなら

ターニャの肉体は朽ちて行き、それを引継いだレオナには、もしかしたら魂が出来つつあったのかも知れません。日本の考え方では、物は大切にされれば、付喪神となり、命を得る事が出来ると言われているので、このレオナだって、ターニャに長い間寄り添っていたので、付喪神となって、命を得たのかも知れません。


怒られそうな考え方かも知れませんが、私は、もし、原発事故で日本に居られないと言われても、日本に残りたいと思います。放射能は、爆発した時に、既に浴びている訳でしょ。逃げれば、少しは長生き出来るかも知れないけど、どーせ細胞が破壊されてガンになって死んでいくなら、日本で死にますよ。


さようなら

それに、もしかして、人間の進化の方が早くて、放射能に耐性のある身体に変わっていくかも知れません。誰もが、逃げれば良いじゃんと言うのですが、放射能と付き合っていくという選択は無いんですかね。今、人間って、長生きになっちゃったけど、昔のように、早く結婚して子供を産んで、早く死んでいくというショートサイクルで回して行けば、それはそれで、良い国が出来るんじゃないの?そうすれば、年寄りがお金をキープして若い人たちが貧困になる事も無くなるでしょ。だって、お金を早く使わなくちゃと思うだろうからね。


あ、スミマセン。映画の内容は、もっと奥深いのですが、ターニャと敏志とレオナの事に関してだけ書いてしまいました。ターニャのお友達の女性や、結婚するという若者カップルなどの話もあるのですが、省いてしまってゴメンナサイ。映画を観て、確認してくださいね。

さようなら

私は、この映画、まぁ、お薦めしても良いかなと思います。面白い題材だと思ったのですが、今一つ、私は、ロボットに対して違和感を感じてしまいというか、このロボットが気持ち悪くて、私、ダメだったんです。マツコロイドだったら、まだ、親近感が沸いたと思うけど、このジェミノイドFは、恐くて、今にも襲ってくるんじゃないかと感じてしまって・・・。ゴメンナサイ。ちょっと変わった視点で観ていて、面白い映画ですよ。ぜひ、観に行ってみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ





東京国際映画祭 コンペティション部門「さようなら」

http://2015.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=27



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